「死神の棋譜」 奥泉 光著 | 50代からの読書

50代からの読書

子どもの頃から本が好き。若い頃はおもしろいと思えなかった本も今なら感動することもあり、読書を通して自分の変化を感じます。読書の記録を通して、50代の心の一端を残してみます。

 

「死神の棋譜」この世界観はけっこう好き

 

 

棋士を目指してがんばるが、あと一息及ばなかった数人の人たちの話。

 

現実に棋士として活躍されている方々の名前とか、実際に行われた対局のことなどが出てくるのだが、本筋はだいぶ幻想的な、少しホラーがかった世界観で進行する。

将棋にのめり込むあまり精神を病む人、あと一勝でプロ入りという所で挫折する人、登場人物はそのような不遇な人たちばかり。

物語の土台にあるのが、将棋と宗教を結びつけて興された将棋教と幻想の世界で行われる恐ろしい対局。

 

棋士でいること、棋士になることの苦しみ、葛藤、不安、あらゆる苦労をひとまとめにして、形として表したものが、この現実離れした幻想世界になったのかも、と想像した。

 

 

 

奥泉 光

1956年、山形県生まれ