今日は、先日の九響の定期の余韻が残るブラームスの第3交響曲を、この曲を十八番にしたクナッパーツブッシュの指揮で♪
クナッパーツブッシュは、この曲の録音を1942年のエレクトローラへの商業録音からスタートして、死の2年前の1963年11月の録音まで、計8種類残しています。
これは彼のブラームスの交響曲の録音だけでなく、他の作曲家の全ての交響曲の録音を含めても最多です。
彼の8種類のこの交響曲の録音の中では、1950年のベルリン・フィルとの録音(正規音源からの復刻が未だに無し)や、1955年のフルトヴェングラーを追悼するザルツブルク音楽祭でのライブなどが有名でしょうか。
その他には、1958年のウィーン・フィルの定期演奏会でのライブも発掘されました

彼のこの曲の解釈は、みなさまもご存知の通り、冒頭の和音の重々しさと究極のスローテンポで、一聴しただけで「あっ、クナだ」と判る極めて独特なものです。
また、フルトヴェングラーなどと同じく、スコアにない箇所でティンパニを追加してるなど、いかにも昔の巨匠らしいものです。
今日は最後となった1963年の録音を

クナッパーツブッシュ&シュトゥットガルト放送響。
1963年11月15日の録音。
この日はオール・ブラームス・プロで、ここに収録されている第3交響曲と「ハイドンの主題による変奏曲」の他に、「悲劇的序曲」も演奏されており、こちらの録音も残されています。
この第3交響曲の録音は、LP時代には海賊盤で登場していましたし、CD時代になってからは、1990年前後に一世を風靡した謎のレーベル・ディスク・ルフランで発売されてました。
このディスク・ルフランの音質はかなり良くて、ホワイトノイズはありながらも、十分に聴けるものです。
他方で写真のヘンスラー盤は2006年に登場したもので、放送局の正規音源によるものなので、オーソリティーという意味では文句無しです。
リマスタリングでノイズを除去した分だけ、生々しさは後退した感じがしますが、だからと言って、わざわざ今となってはもはや流通してなくて、オークションなんかでも高値のつくディスク・ルフラン盤を購入すべきというほどの落差はありません。
演奏の内容は、クナ節によるブラ3の完成形とでも呼ぶべきもの。
演奏時間だけで内容をどうこう言うのは愚の骨頂かも知れませんが、42分を超える演奏時間からしても、異形の演奏だと思います。
たぶん、例えば最近のもので特に評価の高かったベルグルント&ヨーロッパ室内管の演奏なんかとは、180度方向性の違うものだと思います。
各声部を明快に表出させて見通しのよいものにするというベルグルントの世界(というか彼に限らず今風の)とは違い、スコアの縦方向のハーモニーと、durとmollとの間を揺らぐ(といっても、durの交響曲ながら大半をmollが占める独特な作品の)その変化の妙を楽しむべきかも知れません。
(もちろんそのクナならではの巨大な構築感も)
第1楽章の冒頭の和音も、速いテンポでサラッとやってしまうと、2小節目の短3度も「あれ?」っていう程度で済んでしまいますが、このスローテンポだと「この交響曲、mollだっけ?」と錯覚します。
(ブラームス自身の意図はここにあったのかしら?)
しかし、このテンポでやられると、ブレスは大変だろうなぁ(笑)
若い頃の録音から、この交響曲に対するクナッパーツブッシュの基本的なスタンスはほとんど変化していませんが、さすがにこの最後の録音ともなると、その解釈は完全に様式美のレベルに達しています。
そして第3楽章に聴く悲しみをこえた枯れた境地は、ちょっとなかなか聴けるものではありません。
まだ聴いたことはないけど、興味はあるという方には、是非ともです。
既成概念を覆されること請け合いです(^^)