昼休みに更新(^^)


存命の指揮者の中では、最もマーラーに精通している指揮者の一人が、ハイティンクだと思います。

彼によるマーラーの第5番の交響曲の正規録音は、フィリップスへの全集録音(コンセルトヘボウ管)、いわゆるクリスマス・マチネでのライブ(コンセルトヘボウ管)、残念ながらフィリップスの経営悪化で全集録音が途中で頓挫したベルリン・フィルとの録音、そしてフランス国立管との2004年のライブがあろうかと思います。
(この他のライブ録音の海賊盤のCD-Rは山ほど出てますが、小生は海賊盤には手を出さない主義なので、ここでは割愛)


今日はその中でも最新のフランス国立管とのシャンゼリゼ劇場でのライブを



まず演奏時間でいくと

全集録音(1970年)…71分
クリスマス・マチネ(1986年)…72分
ベルリン・フィル(1988年)…78分
フランス国立管(2004年)…78分

(おおよその時間と考えてください)


これだけを見て興味深いのは3点。

まずは、最初の全集録音とその後のクリスマス・マチネの録音とが、16年も経過しているのに、ほとんど演奏時間が変わらないこと。

次に、クリスマス・マチネのわずか2年後(正確には1年半後)のベルリン・フィル盤になると、途端に演奏時間が延びていること。

そしてベルリン・フィル盤から再び16年を経たフランス国立管盤の演奏時間が、ベルリン・フィル盤とほぼ変わらないということ。


多くの指揮者が年齢を重ねるのに比例するようにテンポが遅めになり、演奏時間も延びる傾向がありますが、ハイティンクは最古のものと最新のものとを比較すれば確かに延びていますが、その間の変化がかなりいびつ(と言うと語弊がありますが)。


さらに演奏時間がほぼ同じの最後の2つの録音を比較すると、とっても面白いことが。



ベルリン・フィルは第4楽章の有名なアダージェットに13分余りをかけているのに対し、フランス国立管盤は10分そこそこ。

では、この差をどこで埋めているかというと、主に第3楽章。
ベルリン・フィル盤は約19分なのに対し、フランス国立管盤は21分超え。

確信犯的にスローテンポでやりたがる異端児指揮者は別として、一般的な演奏の中でも、19分でもかなり遅めな方ですが、21分というのは尋常ではない長さです。
(もちろんこの楽章にはリピートの指示がある箇所は無いので、演奏している小節の数は同じ)。

21分ともなると、ハイドンやモーツァルトの交響曲の1曲分になりそうです(笑)


ただ、不思議なのは、このフランス国立管盤を聴いても、特別にダレた感じがするわけでもなく、奇異な感じがするわけでもないこと。

これをマゼールがやったら、スケルツォ楽章だけに相当な変態演奏になってるかと思いますがw

やっぱりこれがハイティンクのすごいところなのかなぁと思います。


ちょっと話は逸れますが、フランス国立管の音も思っていたほどフランス的なものではないなぁと感じました(もちろん曲目のせいもあるんでしょうが)。

例えば、このハイティンクの演奏の40年ほど前のホーレンシュタインがこのオケを振ったマーラーの第9番なんかは、明らかに独墺系のオケとは違う音色を醸し出してました。


年齢的にも、「円熟」という言葉より「晩年」(失礼)という言葉が相応しい時期にいるハイティンク、是非ともコンセルトヘボウ、ロンドン響、シカゴ響、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、バイエルン放送響、いずれのオケでもいいので、正規の最新録音を聴いてみたいです。

正規盤では最新のフランス国立管盤から、どのような進化(深化)を遂げているかワクワクしてしまいます。



それにしても、第3楽章で活躍するホルツクラッパーは、オケによって音色が全く異なるので、それを聴き比べるのも楽しいです。

ちょっと変態チックですが(^^)