最近やたらとマーラーの第5番の交響曲を聴いてるんですが、今日はメータが指揮したものを。


メータによるこの曲の正規録音は、古いものからロサンゼルス・フィル、ニューヨーク・フィル、そしてバイエルン国立歌劇場管とのものがあろうかと思います。


今日はその中から一番古いロサンゼルス・フィルとのものを



この曲のあらゆる録音の中でも、かなり速い部類に入るもので、65分程です(メータは最新盤でも72分程度だったは)。

とは言え、マーラー協会の(21世紀に入り新たに校訂される前の一般的な)校訂によるペータース版のスコアでは、校訂者により演奏時間は約65分とされてますから、その意味では、模範的なのかも知れませんね。


録音は1976年のもので、メータはまだ40歳。
アナログ録音末期のデッカによる録音で、音質は極めて良いですね♪

第1楽章最後の大太鼓のpppのトレモロなんかもよく録れてます。


この録音がなされたのは、メータは15年務めたロサンゼルス・フィルの音楽監督をこの翌年に退任し、後任はジュリーニになるというタイミング。

デッカによるメータのマーラーの交響曲の録音は、ウィーン・フィルとの「復活」をはじめ、実に素晴らしいものが揃ってますが、結局全曲録音に至らなかったのは、残念の極みです。


この演奏でも、メータの特質がよく表れた演奏で、深刻ぶることもなく、極めて直球なかなり陽性なマーラーです(たぶんこの辺りが評価の分かれ目なんだろうなぁ…)。

個人的には、ねちっこいバーンスタインの演奏や、とにかくきれまくった演奏をしようと恣意的なテンシュテットの演奏なんかよりは、よほどタイプです(^-^)


何時ものことながら、スコアを見てると本当に煩いまでのマーラーの指示の数々。


ちょっと脇道に逸れますが、ヴェルディとトスカニーニのやり取りを思い出してしまいました。

若き日のトスカニーニが、ヴェルディの「テ・デウム」をピアノで弾きながら、「ここにはrit.が必要なのでは?」とヴェルディに問うと、ヴェルディは「その通り」と返答。
トスカニーニがなぜrit.とスコアに書かなかったのかを問うと、ヴェルディ曰く「誇張されるのが嫌だから」。


マーラーもたぶんそういう誇張を嫌ったのでしょうね。
自身も指揮者だからよく分かっていたからこそ、こと細かに指示を与えて、ご丁寧に「ここが頂点」とか書いてくれてます。

ほんとうにそういう誇張をさせる余地のないまでに綿密な指示のあるスコアなんですが、それでもやっぱりいろいろ誇張されてしまうのは、マーラーとしてそ本意ではないのでしょうが…


そこへいくと、メータの解釈は実に素直なスコアリーディングに基づくものだと思います。

テンポについても、元々マーラーの指示が細かいので、それ以上の余計なアゴーギクの多用をメータは控えています。


それにしても、「ホルン協奏曲」とでも言うべき第3楽章のオブリガート・ホルンは大変ですね。
音域もさることながら、ffから289小節のppppまでヴォリュームの調節まで、ほんとうに神経と体力を使いますね。

これを「オイシイ」と感じるか「やだなぁ」と感じるかは、奏者次第でしょうが、ほんとうに長大なしかし素晴らしいスケルツォです。



そろそろ、イスラエル・フィルとの録音でもいいのですが、ウィーン・フィルとの録音も期待したいところ。

メータは存命の指揮者のなかでは、ウィーン・フィルとの付き合いが一番長い指揮者のはず。
(1959年にウィーン・フィルデビューですから、まだ23歳だったんですね!)

ぜひ、両者によるこの曲の今の演奏を録音として聴きたいです♪