今日は、フルトヴェングラーが指揮したベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を。
フルトヴェングラーの同曲の録音に関しては、最古のものが1944年のエーリヒ・レーン(当時のベルリン・フィルのコンマス)とのライブ、そして戦後の3種類のメニューインとの録音、そしてシュナイダーハンとのライブがあります。
興味深いのは、フルトヴェングラーはベートーヴェンの作品を最重要のレパートリーにしていましたが、ことヴァイオリン協奏曲に関しては、演奏記録を繰ってみると、戦後では上記の他には、ウィーン・フィルとの演奏旅行でコンマスのボスコフスキーをソリストにした演奏会の記録がある程度。
むしろ、ブラームスや戦後になって演奏が可能になったメンデルスゾーンの協奏曲のほうが、演奏機会は多かったようです。
また、戦前はちょっと今ではフルトヴェングラーのレパートリーとしては考えられないような協奏曲も演奏していて、フーベルマンをソリストに迎えたチャイコフスキーの協奏曲、フランチェスカッティをソリストに迎えたパガニーニの協奏曲、ミルシテインをソリストに迎えたドヴォルザークの協奏曲など、是非とも聴いてみたかったものが並んでます。
さて、今日聴くのは最古のレーンとの演奏

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
エーリヒ・レーン(Vn)
フルトヴェングラー&ベルリン・フィル
1944年1月12日の録音。
この2週間ほど後に、空襲で破壊された旧フィルハーモニーでの最後の演奏会の録音。
1934年に24歳でベルリン・フィルのコンマスに就任し、戦後は新設の北ドイツ放送響のコンマスに転出したレーン。
ベルリン・フィルのコンマス時代にソリストとして残した録音としては他にモーツァルトの第3番の協奏曲(指揮はアーベントロート)、ヘンデルの合奏協奏曲(指揮はクナッパーツブッシュ)なんかが有名なところでしょうか。
個人的には、フルトヴェングラーが残した
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の中でも、このレーンとの録音が一番好きです。
レーンがこのオケのコンマスということもあり、ピッタリとくるというのもあるのでしょう。
特に第2楽章のソロのデリケートさとテヌートの用い方の巧さ、それにしっかりと寄り添うフルトヴェングラーの伴奏も見事です。
テクニックだけなら、たぶん現代の若手のほうが巧いのかもしれないですが、この自由でありながら、しっかりと合わせるところは合わせるというバランスの良さはさすがだと感心した次第。