風邪もだいぶましになってきましたが、この連休中は病院以外は、引きこもりでした。
なので、ずいぶん前に購入しながら、聴いてなかったCDを今頃聴いています

ワーグナー 「パルジファル」
パルジファル…ヴォルフガング・ヴィントガッセン
アンフォルタス…グスタフ・ナイトリンガー
クンドリー…マルタ・メードル
グルネマンツ…オットー・フォン・ローア
クリングゾル…ハインツ・クラーマー
ライトナー&パリ・オペラ座管、シュトゥットガルト国立歌劇場合唱団
1954年3月26日のガルニエ宮でのライヴ。
まずは驚かされるのは、音質の素晴らしさ。
とても1954年のものとは思えません。
10年後の録音と言われても不思議ではないくらい新鮮な音です。
ライトナーと言えば、日本では「時々N響に客演に来ていたお爺さん」というイメージでしょうか?
ただ本場でのライトナーは、20年以上にわたりシュトゥットガルト国立歌劇場を率いて、黄金時代を築いた人(若き日のカルロス・クライバーも彼の下で働いてますね)。
あまり復刻されていませんが、戦後のまだ貧弱だったDGに300枚ほどの録音も残しています。
そして、このシュトゥットガルトからそっくりパリに連れて行った歌手陣を見ても判るように、戦後のバイロイトを支えた錚々たるワーグナー歌手をこの歌劇場は抱えており、俗に「冬のバイロイト」と呼ばれるほど、ワーグナーでは定評がありました。
そんなライトナーが、パリにワーグナーでパリに殴り込みをかけたわけです。
先般亡くなられた音楽学者で評論家の遠山一行氏は、当時パリに留学中で、氏によれば大抵のコンサートは容易にチケットが取れ、パリの音楽活動はあまり好調ではなかったそうです(唯一の例外がフルトヴェングラーの公演で、この時ばかりはチケットを手に入れるために列ができたとのこと)。
そしてやはり戦後間もないということで、ドイツ系の音楽家があまり人気がなかったそうです。
そんな中で、ドイツの歌手陣をそっくりそのまま連れてきて、よりによってヒトラーの愛したワーグナー作品をパリのオペラ座でかけるわけですから、かなりの冒険だったかも知れません。
しかしこの演奏はほんとうに素晴らしい!
一般にこの曲のベスト盤、あるいはファーストチョイスには、クナッパーツブッシュがバイロイトで振ったフィリップスの録音が挙げられますが、個人的には断然こちらのライトナー盤に軍配を上げたいと思います。
歌手陣が好調で(メードルのあの独特な声も聞き取れます)、パリのオペラ座のオケも健闘しています。
(各幕後のカーテンコールでの凄まじい熱狂的な拍手がそれを物語ってます)
クナッパーツブッシュの指揮は、確かにベテランらしく深く掘り下げた音楽ですが、なかなか前に進まない音楽です(この作品の性格にもよるのでしょうが)。
他方、一世代後のライトナーは、そうしたある種の停滞感がなくて、非常に聴きやすいです。
当時のライトナーは、まだ42歳。
恐るべき才能の持ち主だということが十分に窺える名演です。
こういう歌劇場育ちの指揮者を、日本のすくなからぬファンは地味と軽視しがちですが、実にもったいない!
あとは、やっぱりバイロイトの独特な音響よりは、こちらのほうが聴きやすいです。
もっと早くに聴いておくべきでした(^^;)