今日は往年のヴァイオリニスト、ブロニスワフ・ギンペルのソロで、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を♪
ギンペルは1911年、当時のオーストリア・ハンガリー帝国を構成するガリツィア王国の都レンベルク(ポーランド語ではルヴフ、ウクライナ語ではリヴィウ、現在はウクライナ領ということで、昨今のウクライナの東西の対立の淵源の一つだと言われる東西の文化の違いの西側の代表的な都市)生まれ。
10代でウィーン・フィルと共演し、イタリア国王やローマ教皇で御前演奏を行ったりしましたが、ユダヤ系のためヨーロッパを離れ、やはりドイツから逃れてきていたクレンペラーが音楽監督を務めるロサンゼルス・フィルのコンマスを務めます。
戦後は、「戦場のピアニスト」ことシュピルマンとデュオを組んだり、ドイツの音楽院で教鞭を執っています。
来日は1964年に一度あったきり。
そしてやはり高名なピアニストであった兄ヤコブとの共演の直前の1979年に他界。
録音としては、最近ベルリンでのRIASへの録音がまとまった形で登場しましたが、その他となると、流通状態のよろしくないVox社へのベートーヴェン、ドヴォルザーク、シベリウス、ブルッフ、ゴルトマルクの協奏曲がある他、ドイツのオイロディスクにブラームス、メンデルスゾーン、ドヴォルザーク、ブルッフ、チャイコフスキーの協奏曲の録音があります。
このうち、オイロディスクへの録音は、チャイコフスキーを除いてはかつて5,6年前に日本でもCD化されましたが、チャイコフスキーだけは既にオイロディスクから権利が離れてるとのことで、復刻から漏れてました。
ただ、かつてドイツのごった煮廉価盤レーベルから発売されていました(今は廃盤らしい)

伴奏はヨハネス・シューラー&バンベルク響で、1960年代の録音。
伴奏はドイツのオペラ関係のヒストリカル録音ではお馴染みのシューラー。
1894年生まれですから、ベームと同い年。
エッセン市の音楽総監督を経て、第二次大戦中は、ヘーガー、カラヤン等とともにベルリン国立歌劇場の指揮者を務めてます(よくこの時代のカラヤンの肩書としてベルリン国立歌劇場の音楽総監督という表記がありますが、これは完全に誤りで、カペルマイスターの一人に過ぎませんでした)。
戦後は長くハノーファーの歌劇場の音楽総監督を務めた昔ながらのドイツの指揮者で、1966年に亡くなっています。
こういう指揮者は、オペラ文化のない日本だと、「個性がない」とか言われて、不当に低く評価されてしまうのが、気の毒。
さてこのCDですが、廉価レーベルにありがちですが、左右のチャンネルが逆になってます(笑)
まぁ、ギンペルのソロを聴くなら、センターで音が録られてるので、よしとします。
スコアを見ながら聴きましたが、当時のこの作品の演奏としては珍しく、カットはほとんどありません。
演奏内容は、決して派手なところはなく、そういうのを期待される向きには、あまり肌が合わないかも知れませんね。
やはりこのヴァイオリニストの魅力は、ゆったりとしたテンポの箇所での歌い回しにあると個人的には思います。
決して下品にならない程度の仄かな甘さが、ポルタメントも含めて巧みだと思うんです。
個人的に好きなこの曲の演奏は、他にもミルシテインのライブ(クリュイタンス&ケルン・ギュルツェニヒ管)、タシュナーのライブ(ローター&ベルリン・フィル)、最近のだとヒラリー・ハーンの演奏等がありますが、このギンペル盤も折に触れて聴く録音です。
是非、LPからの板起こしなどではなく、マスターテープからのCD化を望みたいです。
しかし、オイロディスクが権利を持ってないとすると、どこが権利を持っているんだろう?