今日は、断続的に続けているベートーヴェンの第4交響曲を


パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル


2005年の録音。


近年完成したベートーヴェンの交響曲全曲録音の中でも、話題になったものの一つかと思います。

ベーレンライターのスコアを使用したものです。



時おり、パーヴォのベートーヴェンの解釈を「表面的」とか「薄っぺらい」とか言う方も見受けますが、スコアを見ながら聴くと、決してそんなことはありません。

このコンビでこの曲を生で聴いたことがあるので、余計にそう思います。



例えば、第1楽章の序奏の13小節目。
ここには、弦楽器はpizz.でfの指示があるのに対して、木管とホルンにはfpの指示があり、()付きでdimin.と指示があります。

ヤルヴィはこれをしっかりとやっていて、余韻だけが残るような響きを作ってます。


また提示部に入ると、やはりテンポはベートーヴェンのメトロノームの指示に従っているようで、速いですね。

121小節からは2分音符が連続し、最初の3小節はppの指示、その後にクレシェンドの指示があり、132小節でfの指示があります。

しばしば、少なからぬ指揮者が132小節のfをffくらいで鳴らしていますが、この後の161小節に本当にffの指示が登場します。

そのことも頭にいれてか、ヤルヴィはしっかりとfで抑えています。


それと、全曲に通じて言えるのは、スタッカートの有無について、かなり厳格に弾かせていますね。


第4楽章については、24小節の2拍目のティンパニの8分音符2つ(B→F)をはっきりと叩かせて、非常に鋭い打ち込みになってます。

この辺りは、まるでロックのドラムのようで(私自身はロックは聴きませんが(^-^;))、こういうところは嫌いな人は嫌いなんでしょうね。

でも、ベートーヴェンは「エロイカ」、第8番、第九なんかでも、ティンパニにかなり斬新な叩かせ方をしてますし、むしろベートーヴェンの意図はヤルヴィの叩かせ方に近かったのかも知れません。


ヴィブラートはかけないし、管楽器はそれこそカラヤンのように倍管にしないし、弦楽器もモダンオケに比べてプルトは少ないので、モダンオケのガンガン鳴らす演奏に慣れた耳には、確かに「薄く」聴こえるのかも知れません。

ただ、解釈が「薄っぺらい」ということは、決してないと思います。



ついでに思い出したのが、今世紀に入ってハイティンクがロンドン響と完成させたベートーヴェンの交響曲全曲録音。

まさかハイティンクがと思ったんですが、彼もベーレンライターのスコアを使ってます。
彼ほどのベテランが、新たなスコアで勉強し直して、新たに自身の解釈を世に問うというのも、非常に野心的で興味深いものでした。

これまでのコンセルトヘボウとの全曲録音からさらに進化したハイティンクを聴けます。


いずれにしても、ちゃんとスコアで確認して聴かずに、「薄っぺらい」とか「表面的だ」とか評するのは、一生懸命楽譜と向き合っている音楽家に失礼だなと改めて思った次第。


自戒の念を込めて。