休憩時間に更新(^^)


今日は、往年のドイツの指揮者フリッツ・ブッシュのCDを

・ベートーヴェン 「レオノーレ」第2番
・モーツァルト 交響曲第36番
・メンデルスゾーン 交響曲第4番
・ブラームス 「悲劇的序曲」
・ウェーバー 「魔弾の射手」序曲
・ハイドン 協奏交響曲
・ブラームス 交響曲第2番
・シュトラウス 「ドン・ファン」


オーケストラは、「ドン・ファン」がロンドン・フィルで、それ以外はブッシュが首席指揮者を務めたデンマーク国立放送響。

録音年は、1936年の「ドン・ファン」を除き、1950年前後、つまり彼の早すぎる晩年の録音です。


フリッツ・ブッシュは、日本ではなかなか日の当たらない指揮者ですよね。

比較的入手しやすいのは、ナチスを嫌いドイツを離れた彼が、英国のグラインドボーンで録音したモーツァルトのオペラあたりでしょうか?


この人は、ブラームスの作品を世に広めることに尽力したフリッツ・シュタインバッハにケルンで学び(ということは、クナッパーツブッシュと同門)、ドイツ各地の歌劇場で指揮者を務め、1918年から1922年までシュトゥットガルト国立歌劇場の音楽総監督を、そしてナチス政権が誕生する1933年まではドレスデン国立歌劇場の音楽総監督を務めています。

彼は1890年生まれですから、いかに若くしてドイツでもトップクラスの歌劇場の音楽総監督を務めていたかが窺えます。

後の話になりますが、1955年に再建されることとなるウィーン国立歌劇場の音楽監督の候補に、父クライバー、クラウス、ベームと並んで挙がっていたくらいですから、その手腕がいかばかりだったかと思います。

そして、既にアコースティック録音の時代から、DGに録音を行っています。


これほどのキャリアの人が、今日ではなかなか脚光を浴びないのはやはりいくつか理由があろうかとは思います:

まずは、1951年に亡くなってしまうという不幸。

やはり、とりわけ指揮者は長生きしてなんぼというところがありますよね(苦笑)。


そして、ナチスを逃れて亡命した先のポストが、グラインドボーンにしろ、デンマークのオケにしろ、ストックホルム・フィルにしろ、音楽産業で考えた時に、お世辞にも有利とはいかなかったと思います。


最後に、同時代には化け物みたいな指揮者が独墺圏には山のようにいたことでしょう。

同い年が父クライバー、3つ下がクレメンス・クラウス、4つ下がベーム、5つ下がロスバウト、反対に2つ上がクナッパーツブッシュ、4つ上がフルトヴェングラー、5つ上がクレンペラー、7つ上がアーベントロートと、今日のドイツの指揮者界を考えると、なんとも凄まじいメンツ!



彼らの中では、ロスバウトは別として、ブッシュが最も清新というか、現代的な解釈をした指揮者だと思います(ノイエ・ザッハリヒカイトの代表的な音楽家の一人によく挙げられますよね)。

ライブで残ってるデンマーク国立放送響とのベートーヴェンの第九なんかも、フルトヴェングラーより遥かにトスカニーニに近い音楽作りだし。


他には、やはり忘れてはならないのが、オペラでの業績。

モーツァルトとR.シュトラウスを得意にしたほか、何よりもドイツでのヴェルディ・ルネサンスの最大の功労者であったこと。

ブッシュが現れる頃までのドイツの歌劇場では、イタリア物だと僅かなベルカント物の作品とヴェルディのごく有名な作品を除くと、ヴェリズモ物が席巻していました。

そんな中で、ブッシュはドレスデンで次々とヴェルディのオペラを蘇演していきました。

そんなブッシュによるヴェルディのオペラの全曲録音が、私の知る限り「オテロ」、「仮面舞踏会」、「運命の力」くらいしかないのは、痛恨の極み。




ダラダラと能書きを垂れましたが(^-^;)

個人的にこのCDで気に入ったのは、メンデルスゾーンの「イタリア」。

フレージングが実にきっちりとしていて、とても好きになれました。


モーツァルトの「リンツ」なども、やはりこの世代の指揮者としては、際立ってロマン派の影が薄い演奏だと思います。


「魔弾の射手」になると、アーティキュレーションの卓越したところを聴かせてくれますし、序曲だけとはいえ、本編の音楽が幾つも含まれているこの序曲を聴けば、何となく彼が振ったであろう「魔弾…」の全曲のイメージが想像できます。


ブラームスの第2交響曲も辛口。

第1楽章の44小節からのVnによる美しいメロディも、スコアにはdolceと指示があるのに、全然dolceではなく、サラッとしたもの。

録音の状態がもう少し良ければ、木管の細かいパッセージも聞き取れるのですが、これは無い物ねだりというものですね。


EMIの録音による「ドン・ファン」は、ピッチがおかしいまま復刻されてるのが残念。




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