勤労感謝の日が土曜日に当たってしまい、三連休にならなかったのが残念な今日。
少し前に発売されたこのCDをご紹介
プフィッツナー ピアノ協奏曲 Es-dur
ツィモン・バルト(Pf)
ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
2011年9月のライブ。
私の偏愛して止まないプフィッツナー(1869-1949)の唯一のピアノ協奏曲。
名指揮者フリッツ・ブッシュに献呈され、1923年にブッシュが当時音楽総監督を務めていたドレスデン国立歌劇場管弦楽団と、ギーゼキングのソロで初演された作品です。
流れとしては、ブラームスの第2番の協奏曲→レーガーのピアノ協奏曲という系譜の上にある作品。
確かに調性はこの時代ですからかなり拡大されていますが、それでもソナタ形式を残していますし、ドイツ・ロマン派最後の作曲家と呼ばれるにふさわしい人が作っただけはあります。
音楽は極めて内省的で、同じような時代に作られたラフマニノフやプロコフィエフの作品なんかと比べると、いかにも地味だし、ピアニストの技巧をことさらにひけらかすような作品ではありません(もっとも、手元にスコアはあるんですが、ピアノ・パートは決して容易ではありません)。
戦前や戦中はドイツ国内でも頻繁に演奏された作品でしたが、プフィッツナーの他の作品と同じく、彼の死後はほぼ忘却の彼方に置かれてしまいました。
以前にも何度か取り上げたことのある作品なので、繰り返しになるかもしれませんが、形式面でいうとブラームスの第二協奏曲の影響が強いです。
楽章は4つだし、第2楽章にスケルツォ楽章を置き、第3楽章は緩徐楽章となり、弦楽器のソロが入ります。
他方、ベートーヴェンの「皇帝」へのオマージュも感じられ、調性はもちろんのこと、第1楽章の再現部が低弦のオスティナートで導かれたり、終楽章とその前の楽章がアタッカでつながり、しかも終楽章の第1主題がその前の楽章の最後で示唆される点などは、同じです。
なお、カデンツァは第4楽章のみに置かれ、フーガが展開され、調性もかなりぎりぎりのところでやっています。
旧来この曲の録音は、初演者のギーゼキングが1943年に録音したライブ盤(ビットナー&ハンブルク国立フィル)が決定盤でした。
他にも、別のピアニストによる2つ録音がありましたが、一方はオケが弱かったり、他方は大幅なカットが加えられたりと、なかなか録音に恵まれませんでしたが、ようやくここに来て、久方ぶりの録音の登場です。
それもこれも、熱烈なプフィッツナー信奉者のティーレマンのおかげかもしれません。
かつては、19世紀生まれのドイツ系の巨匠はいうまでもなく、20世紀生まれのヨッフム、カイルベルト、ライトナー、クーベリック、スイトナー、サヴァリッシュなどもしばしば取り上げていた作曲家ですが、20世紀後半生まれの指揮者は、ほとんど取り上げなくなってしまいましたね。
バルトのピアノは繊細さが前面に出た分、ギーゼキングのようなパワーはどちらかというと控えめです。
その代わり、フランス印象派の音楽に求められるような神経質なまでのデリケートさという点では、さすがという感じです(これは確かにスコアに書かれているとおりの音を鳴らしてます)。
カップリングはブゾーニとレーガーという、これまたなかなか通好みする渋い選曲です。
ちなみに、ブゾーニとプフィッツナーは紙上などで激しく議論を交わした関係でした。
ピアノに興味のある方は、是非このプフィッツナーの隠れた名作を聴かれてみて下さいませ。