
小学生になった頃
だったかな…
近所の友達と
ごっこ遊びを
してた時
その日
急に
ひとりの子が
コソコソと
話しかけてきた
うちね…
この前ケガしたとこ
治らんで…
気になるっちゃん

そう言って
うちに
見せてくれたのは
右手の甲

親指のつけね辺りに
プクッと盛り上がった
切り傷

お母さんが
傷が残るね…って
言うた

見えるとこやけん
可哀想って

それを聞いて
可哀想だなぁ…
って
本当に思ったんよ
そしてね
ここで待ってて!
と
言うて
空き地の隅に落ちていた
工事用の
ペタッとした
平たい
小さな板みたいな
金物を
拾ってきて
土の汚れを
うちがはいてた
ギンガムチェックの
赤いスカートで
きれいに
ピカピカ
になるまで拭いて
その子の傷に
ソッと
乗せ当てた
その上に
うちの
右の手のひらを
重ねて…
うちの左手で
支えるように
包んだ
これ以上
ひどくはならんよ

治るて

ぜったい

大丈夫て

そう言いながら
優しく
その子の手を
包んでた
あっ

ひーちゃん

温かくなってきたよ

そう言って
驚いてたっけ(笑)
しばらくして
重ねてたものを
全て外して
これでよか

大丈夫たい

ありがとう

治るよね

そんな会話を
したと思う
翌日
学校へ行く時に
慌てて走ってきた
その子に
腕を捕まれた

ひーちゃん

見て見て

朝起きたら
治っとった~

その子の
手の甲に
あったはずの傷は
跡形も無く
消えていた

喜ぶ…
その子の顔が
今でも忘れられない
ひーちゃん
お医者さんに
なればいいとに~

って
言われたんよね(笑)
すごく
照れくさかったな(笑)
小さい子供は
疑うことを
あまり知らない
信じるということが
どれだけ
強い力を持つのか
なんて…
大人になるにつれ
忘れかけていく
これは
うちと彼女が
信じて
疑わなかったから
できたことだと
思うてるよ