流れ星は野蛮人の祈り
ゼノンかく語りき
(1)どんなものも、ある瞬間に、ある1つの場所を占める場合、静止している。
(2)矢は、飛んでいるあいだどの瞬間においても、ある1つの場所を占める。
(3)ゆえに、矢は、飛んでいるあいだのどの瞬間においても、静止している。
(4)飛んでいるあいだの時間は、そのあいだの瞬間から成り立っている。
(5)ゆえに、矢は、飛んでいるあいだじゅう静止している。
要は、
「飛んでいる矢も、各瞬間にはある一点に位置して止まっている。そして、どの瞬間についても同じことが言えるので、結局、飛んでいるあいだじゅう矢は止まっている」
ということになる
止まってしまった時間
ゼノンのパラドックスでは、時間による「運動」はみかけの姿にすぎず、あくまで「静止(の総和)」こそが本当の姿だ、ということを表している
そもそも我々が時間と呼ぶものは1「年」だったり1「日」だったり、単位として換算できるもの・数値化できるものを指す
しかし1年というものは、厳密にいえば 地球が太陽の周りを1周した軌跡にすぎないし
1日は地球が1回転したということを人間が恣意的に基準化しているにすぎない
つまり、それはあくまで規則的な運動の軌跡をなぞっているだけで、時間の説明には全くなっていない
時間にとって、運動や生成消滅といった変化は必ず伴うものであり、本質的なものである
止まってしまった時間
止まってしまった世界
ユートピア
ユートピアには時間が流れていない
ユートピア、いわゆる理想郷とは、犯罪は全くおこらないし生活やお金に困ることもない、自由や平等・自分の存在意義を考える必要もないような、いわば完成された世界のことだ
しかし、完全な世界では、すでに完成されてるため、選択肢の余地がない
つまり答えが1つだけの、一元化された世界に他ならない
それは徹底された管理下のもとに秩序だてられ、一元化された自由や一元化された平等など、それらのことについて考える必要がないのではなく、
予めそれらの基準以外のことを考えることを認めない・考える余地のない世界を意味する
さらに、すでに完璧であるが故にその世界では、発展というような概念も生まれてこない
つまり、歴史的・或いは時間的に止まってしまった世界ということになる
このことから、確かに反するもののない社会という意味では平和で理想的であるが、
それを成立させるためには人間らしさを圧殺し他の思想などを全く認めないような、機械的な社会といえるだろう
では一体何を以て、「完全」といえるのだろうか
完全とは、すべて備わっていて、足りないところのないこと
完全とは欠点がなく、すべてに及ぶこと
しかし、完全にも1つだけ包括し得ない領域がある
それは「不完全」
例外なくすべて包括していなければいけない完全性は、当然不完全性をも含む概念でなければならない
しかし、完全性と不完全性は相対する概念であり、決して両立・共存することはできない
したがって、完全とは、初めから矛盾をはらんでいる概念にほかならない
では、完全な世界=完全性と不完全性を両立・共存させたような、矛盾した世界 は存在するのだろうか
ここだよ、ここ
今お前が生きているこの矛盾だらけの世界こそが
完璧なんだよ
理性では割り切れない、不条理にあふれているにもかかわらず
それに必死に抗って微妙なバランスを保っているこの世界こそが
完全なんだよ