ローマ(3)
3分もしない内、オーナーとさっきの大男が息を切らしてやって来た。
大男はただの馬鹿だがさすがにオーナーはいかしてる。
私の大好きなアルパチーノに似てて、小柄ながら迫力がある。
「お前のカードは全部無効じゃないか」
「だから言ったじゃん」
おそらく、一度機械を通らなかったカードはガチャコンでは無理なんだろう。
(そりゃそうだよね)
「このペテン師、ふざけた野郎だ」
「いやぁ 君の顔ほどふざけてないよ」
二人の顔色がみるみる紅潮していく。
「ところでさっき貰い忘れたんだけどカードのレシート頂戴よ」
オーナーが三枚をビリビリに破き
「わかってんだろうな。俺の町でこんな事して無事に帰れないことくらい」
馬鹿が「ファック!」を大声で連発している。
泊まり客が鍵を受け取りたいのにビビッてフロントに近寄れず、10人位の白人が遠まきに見ている。
「ヘイ、ヘイ、ヘイ、アスホール ここはバリオーニだぞ。ハイクラスのレディー 達が怖がってるじゃないか。中卒のお前でもそれくらいわかるだろ」
とにかくこれで終わりね。
(どうもオーナーごちそう様~)
言おうかと思ったがその場で刺されそうな予感がしたので
「私は明日早いから失礼するよ」
階段をゆっくり上って行く。
このホテルでは一度アップグレードして2階に移っていた。
いい部屋は2階にあるみたい。
馬鹿ふたりがなにかイタリア語で喚いてたが、無視。
30分後下に降りてコンシェルに
「夜の内にホテル変えた方がいいかな」
笑いながら
「アブソルートリーノット。あんなチンピラ全く問題無いですよ」
「奴らマフィアじゃないの?」
「もしそうならあなたはとっくに殺されてます」
なるほど。
「サー あなたなら御解りだと思いますが、このホテルはこの地で130年 の歴史があります。
当然イタリア のあらゆるコネをもってます。
もし我々の大切なゲストに少しでもなにかあったら、当然奴等は生きて いけません。
どうか安心して御休み下さい」
もし同じ事をオークラや帝国のコンシェルが言ったら、皆腰を抜かすでしょう。
「すっごいねお前ら」
さすがに本場は違うねぇ。