私は専門ではないが、一番キャリアの長い仕事に回転体のシーリング材を扱っていたため、PINGやテーラーメイドから来月リリースされる高MOIドライバーについて持論を述べる。
両メーカーの謳い文句は、「マン振りしてもまっすぐ飛ぶ10Kドライバー」である。現在PGAでは飛び過ぎ防止のレギュレーションとして左右MOIの上限が5900g•cm2以下となっている。MOIとは慣性モーメントのことで、回転体が邪魔されないで一定方向に動き続けるチカラのことである。この数値が高いほどまっすぐ進もうとするわけだから、どでかいヘッドになればなるほど、またフェースと重心距離が離れるほどMOIは高くなる。10Kとは10,000のことであり単位はg*cm2となる。
グラム?平方センチ?
そう、単位はニュートン(N)なのだ。
PINGとテーラーメイドはアメリカのメーカーなのになぜ10Kと呼ばれるのか?アイザック・ニュートンの母語の英語だからだ。そりゃISOの都合上、10Kと呼ぶしかないのである。ちなみに10Kとは左右MOIと上下MOIの合計値である。
下の数値を見てほしい。これらは最新ドライバーと一つ前のMOI一覧である。
左右MOI上限5900g. cm²
G430 DR 8700(5300+3400)
G430 10K 10000(5900+4100)
STEALTH1 8467(5067+3400)
STEALTH2 8413(5013+3400)
STLTH2HD 8625(5225+3400)
Qi10 DR 10000(5900+4100)
これらはメーカーの発言を元に算出してみた。例えば『Qi10』のMOIは『STEALTH2HD』と比べ16%アップと言われている。左右のMOIを上限までと仮定すると、上下のMOIを最新の新幹線のように細長くしなければならない。上下のMOIを一律3,400g*cm2で仮定した結果が上記の合計値である。
『G430 MAX』や『STEALTH2 HD』が曲がらない名器だと崇められているのは、総MOIが8,700g*cm2まで到達しているからであり、さらに15%以上MOIが高くなれば、曲がるはずはない、どこに当たっても飛ぶと言われても過言ではないのだ。
私は『G430 10K』に期待している。かといってもすぐにはドライバーを変えないだろうが、テーラーよりもレフティを大切にしてくれているのがわかる。春休みにでも試打させてもらう予定である。