なんでもない という嘘 | ピアノ弾き語りシンガーソングライター松本佳奈のblog

「これ、買ってあげようか」

と言われると、
「ううん、大丈夫」

と断った。

ほんとうはすごくすごく欲しかったけど、断った。

「子供なのに謙虚でえらいね」

と褒められたから。

おなかが痛い時、
「学校まで車で送って行ってあげようか?」

と言われても、

「ううん、大丈夫」

と断った。

うずくまって立てなくても、

「歩いて行くから大丈夫」

と、断った。


「これ買って」とか、「車で送って行って」
なんて、一度も言ったことがなかったから、

大人になった今も、誰かに何かをしてほしい時、うまく頼めない。


甘えることはいけないことだと思ってきたから、

すべて自分一人でできなきゃいけないと思ってきたから、

いちばん辛い時、どうやって人に助けを求めていいのかわからない。


言われたことを素直に聞くこと、言われた通りにすること。
家族が期待しているような自分になること。

そればかり考えてきたから。



家族を離れて色んな人に出会うようになると、
それぞれに違う意見を言われて、その度にそれに合意して、

八方美人になってる自分が嫌だった。

ハッキリと自分の意見を言わなきゃいけない場面に出くわすとうまくものが言えず、

「これは嫌です」「できません」と、遠まわしにしか言えないことで相手を余計に怒らせて、

怒鳴られれば萎縮して、結局言うことを聞いてしまうか、縁を切って逃げるしかなくなってしまう。



とっさに嘘をつくことは自分を守る手段で、つかなくていい嘘までつくようになった。

「大丈夫」じゃないのに「大丈夫」と言うのだって、言ってみれば「嘘」だよね。

そしてそれは歪んでしまった甘えだ。

もう余計な嘘はつきたくない。