「TTF 2016」初日公演レポの続きです!



⑤FRANK BLACKFIRE (19:50~21:00)


約20分の入念なセットチェンジの後、場内が暗転し、ダースベーダーのテーマがSEで流れ

ステージを覆ったカーテンが開くと…。

ダースベーダーマスクを被った上半身裸のフランクがステージ中央でメロイックサインを上げる!

…が、お腹が スゴイ事に…(汗)。




昨年末にリリースされた最新ソロアルバム「BACK ON FIRE」のオープニングを飾るインストナンバーで

アメリカの探偵ドラマのテーマ曲「Peter Gunn」でライヴがスタート!


「サプライズ」と告知されていたバック・バンド・メンバーは、数年前 一緒にセッションしていた

元KREATORのオリジナル・ベーシスト、ロブ・フィオレッティでは無く、

「BACK ON FIRE」をフランクと共に共同プロデュースし、ベーシストとしても参加していた

元AT VANCEのジョン・A.B.C.・スミスと、謎のスキンヘッドのドラマー。

(SA MUSICのA君のブログによると、元AT VANCE/FIREWIND等のマーク・クロスだったそうです。)


アルバムの流れ通り「Victims Of Society」が続く。

俺はフランクの来日が決定して直ぐに「BACK ON FIRE」を購入し聴き込んで来ました。

この曲はサビのメロディーが耳に残るストレートなスラッシュチューンで、ライヴで聴くのを楽しみにしていましたが、CDで聴くよりも、フランクのヴォーカルが不安定で、ギターも1本なので

ギターソロに入ると急に音が薄っぺらくなる…。

しかも、ヴォーカルを取りながらギターを弾く事に無理があるのか、ミスピッキングが目立つ…(汗)。


バックの元AT VANCE組みは演奏力に問題は無いが、「バンド」としてのバランスが悪く

それぞれのパートがそれぞれのお仕事をしている感じで、まるで当日初顔合わせの即席セッションバンドの様だ。

「フランク・ブラックファイァーが炎と共に帰って来たぜ!ニューアルバムからだ!」

と、フランクが叫び、新譜から「Insane Human Race」、更に「Sound Thrashing」をプレイ。

しかし、前述の通りCDのサウンドは再現されず、グダグダな感じ…(汗)。


「古い曲が聴きたいか?お前らの心を改めろ!」

と、フランク在籍時のKREATORのアルバムのタイトルトラック「Renewal」がプレイされる!

本家KREATORのメニューにも久しく入って無い曲で、この曲が大阪でプレイされるのは

1993年4月4日、MODA HALLで開催された初来日公演以来ではないだろうか?

KREATORファンの俺としては、本来なら感涙モノの選曲でしたが、

CDではツインギターで、しかもミレ・ペトロッツァのキレのあるヴォーカルで聴いているだけに

FRANK BLACKFIREバンドの厚みの無いサウンドにフランクの こもったヴォーカルでは

残念ながら、全く再現出来ていない…(涙)。


「お前ら、覚えてるか?」とフランクがオーディエンスに問いかけ、SODOMの代表曲

「Remember the Fallen」をプレイするが、先程の「Renewal」と2曲連続でミドルテンポの曲を続けた事で

フロアのオーディエンスのテンションが明らかに降下する…(汗)。


「白人も黒人も黄色人種も関係無いぜ!」とプチ政治的発言を行い、メッセージ色のい強い

KREATORの名曲「People of the Lie」をプレイするが、この曲も やはりCDのサウンドを全く再現出来ず

本来この曲が持つ殺傷能力は発揮出来無かった為、フロアの盛り上がりはイマイチでした…。


美女について歌った曲」との紹介で、新譜の最後に収録された、「Wicked Sister」がプレイされるが

「BACK ON FIRE」の収録曲で俺が唯一好きじゃない スラッシュ色が皆無のキレの無い曲で、

フランク擁護派の俺でも多少テンションが下がりました…(汗)。


すっかり、テンションの下がったフロアに向かって「お前ら、疲れてるのか !?」

と、フランクが問いかけると、温かいオーディエンス達が「No!」と返す。

…皆んな、優しいね(笑)。


ここで演奏されたのが、SODOMの名盤「AGENT ORANGE」に収録されたスピードスラッシュチューン

「Tired and Red」で、ここへ来て初めてモッシュサークルが起こりました!

しかし、途中で「疲れ切ったフランクが倒れる」と言う演出を行うが、観客は何が起こったか理解できず

せっかくイイ感じに暖まって来たフロアに水を差した形になってしまったのが残念!


「もっと古い曲が聴きたいか !?」とフランクがオーディエンスを煽り初期SODOMの代表曲

「Sodomy and Lust」をプレイすると、鬱憤の溜まっているファン達はモッシュサークルを慣行!


ここでフランクが挨拶を行い、バンドが一旦 バックステージに下がろうとするが、時間が押していたので

Mさんの指示でそのままステージに留まり、最後に「PERSECTION MANIA」収録の初期SODOMの定番曲

「Bombenhagel」をギターソロをフューチャーして10分近くプレイ!

個人的には楽しかったけど、SODOMに興味の無いオーディエンスにとっては退屈だったかも?

それでも、スピーディーなパートではフロアでモッシュサークルが発生し盛り上がってました。


終わってみれば、前半は新曲中心、後半はSODOM/KREATORの名曲を中心とした構成で、

俺は、最新アルバム「BACK ON FIRE」を聴き込んで楽しみにしていたのですが、

ハッキリ言って、ライヴでは全く再現出来ていませんでした。

セットリストに記載されていた「Beautiful World」と「Strange Ways」の2曲が、恐らく時間の都合で

カットされてましたが、外して正解だったと思います。


先月来日公演を行ったKREATORが、意図的では無いとは思いますが、フランク在籍時の

名盤「COMA OF SOULS」、初来日公演を実現させた「RENEWAL」、「CAUSE OF CONFLICT」の

3枚からの曲をプレイしなかっただけに、「Renewal」と「People of the Lie」を生で聴けた事は嬉しかったが

4人編成のKREATORのサウンドを、この即席バンド(?)で再現する事に無理があったと思います。


個人的には「Remember the Fallen」はさて置き、終盤のSODOM 3連発は楽しめました!

元々3人編成の曲なので、サウンド的には違和感は無かったし、フランクのミス・ピッキングを含め

初期SODOMの生々しさを再現出来ていたと思います。

勿論、トム・エンジェルリッパーに比べてフランクは、ハッキリ言ってヴォーカリストとしては劣るので

初期SODOM独特の禍々しさは再現出来てませんでしたが…。


FRANK BLACKFIREの初日公演は、ぶっちゃけチグハグな演奏で、

まるで 本来公開すべきでは無いリハーサルを観せて貰っている様な感覚でした。

フランク、ジョン、マーク3人がステージに立って演奏したのって、実はこれが初めてだったりして…。


とは言え、VENOM INC.のドタキャンを受け初日公演への出演を快諾してくれた心意気には感謝するし

演奏の出来はともかく、スラッシュ然とした新曲も好みだし、KREATOR、SODOMの名曲を生で聴けて

楽しかったです!



⑥WHIPLASH (21:20~22:25)


「TTF 2016」初日も、いよいよ大トリのWHIPLASHを残すのみ!

予定時間を約30分オーバーし21時20分頃場内が暗転し、SE無しでステージを覆ったカーテンが開く。

上手側にバンドのブレイン、マーク・ポータロ(G/Vo)、下手側にデヴィッド・デロング(B)

後方に昨年バンドに復帰したオリジナルドラマー、トニー・スカグリオンがスタンバイしている姿が

露わになり、歓声が沸き起こる!



バンドがPRITTY MAIDSの名曲「Back to Back」にそっくりなイントロを奏で、

名盤1st「POWER AND PAIN」に収録されたスピードスラッシュチューン「Last Man Alive」でライヴがスタート!

先程のFRANK BLACKFIREと打って代わって3ピースとは思えないブ暑いサウンドで

オーディエンスの心を掴み、一気に前方フロアの圧力が上がる!


「オーサカー!会えて嬉しいぜ!アリガトー!」と、ポータロが挨拶を行い1stから「Spit on Your Grave」、
初期のデモ曲をやき直した6thアルバム「THRASHBACK」から「Killing On Monroe Street」をプレイ!


フロアから「WHIPLASH!」コールが沸き起こる中、ポータロが缶ビールを掲げ、

「カンパーイ!楽しむ準備は出来てるか?Thrash to kill!Blood will spill!」

とオーディエンスに唱和させ、1stのオープニングを飾るスピードチューン、

その名も「Stage Dive」をコールすると、当然の様にステージダイバーが続出 !!


「WHIPLASH!」コールが沸き起こるフロアにポータロがTシャツ投げ入れ、

オーサカー!ドモアリガト!特別な曲だぜ!」とタイトルコールを行い、1st収録の「Red Bomb」がプレイされる!


ここでメンバー紹介が行われ、セットリストに記載されていた「Walk the Plank」を飛ばし、

3rdアルバムのタイトルトラック「Insult to Injury」をプレイ!


曲が終わると ステージ上にWHIPLASHTと交流があるTHANATOTIC DESIREのメンバーが登場し、

オーディエンスを煽り、「WHIPLASH!」コールを促す。


セットリストに記載されていた「Messages in Blood」を飛ばし、新曲の「Sword Meet Skull」がプレイされ

1stコーラスをTHANATOTIC DESIREのウィル(B/Vo)が、2ndコーラスをベースのデヴィッドが担当。

キャッチーなスピードスラッシュで、オーディエンスの反応も上々でした!


美旋律の静かなイントロから一気に爆音に変わる1st収録の「War Monger」に続き

2nd「TICKET TO MAYHEM 」に収録された名曲「The Burning of Atlanta」がプレイされると

「Stage Dive」以来の盛り上がりとなり、ダイバーが続出!


2nd収録の「Spiral of Violence」に続き、ポータロのタイトルコールから名曲「Power Thrashing Death」が

プレイされ、ダイブ & モッシュの嵐で大盛り上がりの中、本編終了!

沸き起こる「WHIPLASH!」コールに応えメンバーが再登場し、ポータロが

「この曲は『This』って曲だ!」とタイトルコールを行うが、場内は「???」な雰囲気になる。

「THRASHBACK」収録のグル―ヴィーな曲だが、オーディエンスには馴染んでいない様でノリもイマイチ。


場内の雰囲気を察したポータロが、「これは覚えてるか?」と激しいギターソロを弾き始め

オーディエンスを沸かせ、最後に1stに収録されたスピードスラッシュの名曲

「Nailed to the Cross」がプレイされ、約65分の圧巻の「初来日公演」が終了!


名盤「POWER AND PAIN」リリース30周年を記念して(?)同アルバムの曲を軸にした

スピードスラッシュ中心の最高のセットリストでした!



「True Thrash Fest 2016」初日公演。


RIVERGE & FASTKLLの固定ファンの多い国産スラッシャーが安定の盛り上がりを見せ

ブラジルのVINGADOR 、ポーランドのTERRORDOMEの初来日若手スラッシャー陣は

勢いのあるライヴパフォーマンスで会場に集まったスラッシャーのハートを掴みました!


VENOM INC.の代役として急遽出演オファーを快諾したFRANK BLACKFIREは、

お世辞にも 空いた穴を埋めるだけのパフォーマンスが出来たとは言い難いが

個人的には多感な時期にハマっていたKREATOR/SODOMの名曲が聴けて嬉しかったです!


そして、なんと言っても最大の収穫は伝説の米国産スラッシャー「WHIPLASHの初来日公演」に参戦出来た事!

しかも、自分達が何者でファンが何を求めているか熟知した最高の選曲と圧巻のパフォーマンスで

圧殺してくれました!


VENOM INC.のドタキャンと言う、TTF始まって以来の「大ピンチ」となりましたが、終わってみれば

DJタイムを含め7時間半に亘りスラッシュ漬けの、充実した1日となりました!


更に、この「スラッシュメタルの祭典」はDay2に続きます!





「True Thrash Fest 2016 ・Day 1」 @ ESAKA MUSE(2016.02.13.)セットリスト


FRANK BLACKFIRE

1. Peter Gunn
2. Victims Of Society
3. Insane Human Race
4. Sound Thrashing
5. Renewal (KREATOR cover)
6. Remember the Fallen (SODOM cover)
7. People of the Lie (KREATOR cover)
8. Wicked Sister
9. Tired and Red (SODOM cover)
10. Sodomy and Lust (SODOM cover)
Encore
11. Bombenhagel (SODOM cover)


WHIPLASH

1. Last Man Alive

2. Spit on Your Grave
3. Killing On Monroe Street

4. Stage Dive

5. Red Bomb

6. Insult to Injury

7. Sword Meet Skull

8. War Monger

9. The Burning of Atlanta

10. Spiral of Violence

11. Power Thrashing Death

Encore
12. This
13. Guitar Solo

~ Nailed to the Cross