百花繚乱たる人生-マーク・ライデン「ミート・トレイン」より


駅のホームへと続く階段の隅に一人の少年が俯いて座っていた


歳のころは小学生ぐらい


金色の髪をしたハーフの子だ


なぜかその少年の存在がちょっと気になりつつ


自分は程なくして到着した電車に乗り端の座席に座った


すると先程階段に座り込んでいた少年が電車に乗ってきた


手提げのバッグを床にズルズルと引きずり


どこか落ち着きがなくなんだかちょっと様子がおかしい


その少年


車内は空いているにもかかわらず自分の横にピッタリと座った


そして


「この電車は○○駅に行きますか?」


と聞いてきた


どうやら行き方が分からず迷っているようだ


彼の行き先は反対側のホームから出発する電車


しかも一回乗り換えなくてはならない


そのことを説明すると


少年は慌てて丁度停車していた電車に向かって駆けていった


しかしその電車を見ると特急で彼が降りる駅には停まらない


あっ!と思ったのも束の間


運が良いのか悪いのかタッチの差で間に合わず


少年が乗る寸前に扉は閉まってしまった


乗れなくて肩を落としガッカリする少年


よほどショックだったのかホームに座り込んでしまった


そんな光景を見ているうちに


自分が乗っている電車も静かに走り始め


少年の姿はあっという間に視界から消えてしまった


『彼は無事にたどり着けるのだろうか?』


少年のことが気になって気になって仕方がない