舞台こそわが家 「濱田めぐみ20周年記念コンサート SPECIAL ENCORE」 | オンナひとり気まま日記

オンナひとり気まま日記

大好きなラグジュアリーホテルや、外で見つけた美味しいものの話がメインです。日々の徒然の他、脱線話も色々。

劇団四季退団後も、数多くの舞台で大活躍のミュージカル界の歌姫、濱田めぐみ様。

「ウィキッド」日本版のオリジナルキャストとしての彼女を知ってから、YouTubeで数々の動画を見るうち、何だか凄まじい吸引力のある役者さんだなあと意識するように。

でも、結局四季時代の舞台は一度も見ることは叶わず、退団後も含めてナマの舞台って、「シラノ」しか見てなかったことに気付く。いやはや、動画だけで既にあれこれ見た気になっていたとは。

で、本当は先週末に六本木で開かれた20周年コンサートに行きたかったけど、そちらのチケットが早々に売り切れてしまったため、18日の仕事帰りに渋谷オーチャードホールでのアンコール公演へ。

この日は、四季でいきなりヒロインに抜擢された「美女と野獣」の「わが家」から、スタート。

四季時代のナンバーは他には、「星の定め」(アイーダ)、「自由を求めて」(ウィキッド)、「Someone to Watch over Me 」(クレイジー・フォー・ユー)、「手をすり抜けて」(マンマ・ミーア)だったかな。あと、四季での持ち役とは違うのでしょうが、「メモリー」(キャッツ)も。

どれもめぐ様の溢れんばかりのパワーと情感が3階席までビシビシ伝わってきました。
このうち、「メモリー」と「自由を求めて」は、ちょうど1週間前のシアターオーブでのニューイヤー・ミュージカル・コンサートで、レイチェル・タッカーも歌っていた曲でした。

「メモリー」はどちらも本当に互角というくらいの素晴らしさですが、「自由を求めて」(Defying Gravity)は、うーむ、アレンジがあまり好みではなく、レイチェルの歌っていたものの方が好きかな?いっそ、アレンジするなら、大胆にロックバージョンとかでも、めぐ様の声量が活きて面白かったかも。イギリスの別のエルファバ女優、ケリー・エリスがブライアン・メイとのコラボで歌ってたみたいなのが聞いてみたいかも。

「ラブ・ネバー・ダイ」の「愛は死なず」では、ファルセットでの高音も美しく、「2回目の成人式だから…ジャズクラブみたいな大人の雰囲気でも大丈夫だよね?」とMCで本人も語っていた、「胸の振り子」や「黄昏のビギン」まで、何と幅広い曲をこなしてしまわれること!
きっと演歌だって情念たっぷりに歌ってくれるだろうし、いつか聞いてみたい。

しかし、これだけの技術力をもって何でも自分のものとして歌えるめぐ様だけど、不思議と「易々と」とか「軽々と」という形容がしっくりこない感じ。勿論、聞き手に負担を強いるとか、疲れさせるというのではないけれど、何か、聞く側にもそれなりに真剣に対峙することを、目に見えない力、あるいは「圧」で求めているような、そんな歌声。

彼女のようなタイプは、使い古した表現だと「憑依型」とか、「役者バカ」だとかいうのだろうけど、いわゆる計算尽くした役作りとかいうアプローチとは無縁の、ある種シャーマン的な資質を持った方なんだな、とつくづく思う。

この日、「舞台こそ人生の全て、家よりも長く時間を過ごしてきた劇場がわが家」と幾度となく語っていためぐ様。こんな風に、自分の全てと言い切れるものに出会える人生って、やっぱり相応のエネルギーを持った人じゃないと生きられないもんかなと思ったり。安易に羨ましいとか言ってはいけない気がした、何となく。

あ、最後にせっかくの豪華ゲスト、鹿賀丈史さんと田代万里生さんについても少し。
3年前にみた「シラノ」は、ちょうど鹿賀シラノ、濱田ロクサーヌ、田代クリスチャンという組み合わせでしたっけ。

田代さん、気合い満点のソロ、「サンセット大通り」で魅せてくれたのは勿論ですが、トークもこんなにお上手とは。微妙な間合いの先輩二人の中で、その安定感が際立っていました(笑)。

鹿賀さんは「20年前って何してましたかー?」、「レ・ミゼラブルやって、テレビも色々やってたね」という流れから、ジャベール役のソロ、「星よ」へ。

…脱力系ジャベール。

ううむ。実際に鹿賀ジャベールを舞台で拝見していないので、あれこれ批評はしないでおきますが。こういうのもありなんでしょうか。


終演後のオーチャードホール出入口。
観客は女性が圧倒的大多数。ヅカファンと微妙にかぶったり、かぶらなかったりしそうな客層。