昨日の続きになります。

 

Yはお母さんの態度がHさんにとって「酷すぎるよね」とグチグチ言っていましたが、私の意見は「その状況を招いた元凶は君だよ、Y」というもので、何度か伝えていたのですが、多分理解していないでしょう。

 

Hさんが危ない人間であることはさておき、お母さんとの鉢合わせに関しては彼は事故の被害者であるとの認識でいます。

家庭持ちであることを知られている上、必要最低限の言葉しか発しないお母さんに見据えられ、どうしたらいいのか分からない状況にいきなり直面させられて、頼みの恋人はオロオロヘラヘラするばかりで何の役にも立たない、守りもしてくれない。

追い詰められて余裕がなくなり、Yと対峙する私に攻撃の矛先を向けるも「あなたに話しかけているわけではありません」と言われる始末。

50を超えた男として、非常に恥ずかしく、みじめな経験をしたことと思います。可哀想に。本件に関しては彼に同情しかない。

 

何で私がこんなデグレったYと関係を継続しているかを改めて考える機会にもなったから、アウトプットしておきます。

今回の件は本当にレベルが低くて呆れも通り越して無感情になったが、私はそれでもYを人間として尊敬している。まだ尊敬の念はある。
12年ほど前、社会人になってから知り合った仲だった。

まさかこんなに長く関係が続くとは思っていなかった。
最初はお互いに飲んで楽しむ関係だったが、彼女は嘘偽りなく彼女の過去を私に教えてくれ、真剣な悩みでは相談相手に私を選んでくれた。
純粋で明るく、年の差を全く感じさせず対等に付き合ってくれる彼女が、実は悩みを抱え込みひた隠してしまう性格の優しく繊細な人であることも知っている。
彼女が悩んで苦しい時、話を聞き、気晴らしに小旅行をして、立ち直った彼女が前を向いて元気に笑っているのを見るのが私は好きだ。

出会った当初、不倫をしていた彼女に同じように叱責をして、それでも私の中で許すことのできないことをやらかした彼女を突き放し(言葉でね)、一度距離を置いた。
冷却期間は1、2年ほどだったろうか。

色々と乗り超えて、仕事に精を出していた彼女から「また会ってご飯したりお酒を飲みたい」と誘われて、様子を見に行くつもりで再会をした。

一つのことに熱中する彼女が仕事に集中した時の成果の出方はえぐい。熱意をもって仕事に取り組み「大変だ」と言いながらも充実した時間を過ごしている彼女を知って、私は嬉しかった。
それからはブランクを感じさせない、それまで通りのやり取りに戻ったが、それも私にとっては「なんて自然なんだろう」と不思議に思うほどのことだった。
大体の場合、一度切れるとそれなりの理由で切れているというのもあり、そうそう修復などしないのだが、彼女は私にとってそうした不思議な世界を体験させてくれる大切な存在だ。

だからこそ、彼女が明らかに誤った方向に進んでいる時には、「できる限り」ではあるが私は何が何でもそれを阻止する努力をするし、今回がそれだ。

 

彼女の熱意はすごい。のめり込み方も半端ではない。
その集中力が間違った方向に向けられれば、彼女は色んなものを失うかもしれない。
それは自分の健康や、体の一部や、社会的信用や、友人かもしれない。

とりあえず現状で上記4点は失いかけているので、マジでこの辺で止めてもらいたいのだ。

ただ、彼女に私の考えが響いているかは分からないのが正直なところでもある。
私も心のある人間で、自分の人生というのがある。
私ができることをやって、万策尽きた時、彼女が変わらず現実逃避を続けて一時の快楽や愉悦に浸ることを選ぶのであれば、私はもう何もできない。

そして私は、今のYのような人間は自分の人生に関わってほしくない、そんな人間と自分の人生の時間を使いたくないという信条を持っている。
なので、今この時点で目を覚ましてもらいたい。
Yにお別れの挨拶はしたくはないが、このままだとそれが現実になってしまいそうな予感がする。

Hさんとお母さんの喫煙所対峙事件の後は、Yが恋人の後を追いかけて戻ってくるまでお母さんの口汚い感想タイムとなり、私達は迷惑客になっていた。
もちろん美味しいはずのコース料理は味わいもヘチマもあったもんじゃなく、せっかくのロブスターとホタテのグリルが冷めて固くなっていた。

そしてYが戻って来て「ごめん」を連発。
私達の機嫌を直してさっさとこの話から逃げたいのか、「ごめん」「分かってる」「もういいから」と同じワードの無限ループ。
だが私がこの機会をみすみす逃すはずが無かろう。『鉄は熱いうちに打て』と言うが、喉元を過ぎて熱さを忘れたYには何も響かない。今しかない。
本当にお店と利用客には申し訳なかったが、この事態を招いた責任を私はYに押し付けた。

「これだけHさんを嫌っているお母さんがいるのに、君が長く席を外していたら不審がって様子を見に行くに決まっているでしょう。Hさんも心の準備ができないままいきなりお母さんに挨拶しなきゃいけなくなった上、恥ずかしい思いまでして。しかも、今私達は何の話をしていた?考えて行動してくれと伝えていたつもりだったんだけど、君の言動は感情のままじゃない。何も聞いていなかったってことかな?この数時間?」

「そんなことないよ。分かってるから、本当にごめん」

「何に対するごめんなのか説明してもらえる?」

「気分悪くさせちゃって、ごめん」

「何で私の気分が悪くなってるのか、その原因は何だと思う?」

「私がHさんの所に行っちゃって、3人のディナーだったのに、20分くらい2人だけにしちゃったから」

「全然違うし、今まで話していたこと聞いてたかい?まぁいいや、帰ったらもう一度聞くから、何で私達の気分が悪くなったのか考えておいて。あとこうなったのも君が少し考えて行動すれば回避できたはずだよ。この気まずい雰囲気を感じて反省してね」

結局我々の話が全く頭に入っていないことが判明。
手の施しようがないとはこのことか、と一瞬呆然としました。呆れとかそういうものじゃなく、どうしたらいいのかと途方に暮れるというか。
人生で初めて感じた感情?思い?感覚?でした。ありがとうございました。

ちなみに私達の会話の中でHさんの名前が出る度、不満を並べるお母さんの声は大きくなるので、その度にYは顔をしかめて「シーッ」と周りを気遣う素振りを見せていたが、それも私達の神経を逆撫でする要因にしかなりませんでした。

「シーじゃないでしょうがよ。君が招いた事態で何で私達が悪者扱いされるの」

「分かったから。ごめんって言ってんじゃん、周りに人もいるから」

「あの男は何だっていってんだよ、あんたすぐに戻ってこなかったけど、どうせあいつの後追っかけてたんだろ」

「シィーッ!」

この子まだ余裕あるな、と思いましたね。
本気で話を聞いて反省している時は黙って神妙な顔つきになり相槌を打つのですが、この挙動でYがとにかく私達2人を黙らせて本件を有耶無耶にしたいという魂胆が見えました。本当、嘘つけないね、君は。
チラチラ私達の後ろにある鏡を見て、こまめに顔面チェックしてるの知ってるぞ。

18時半のお寿司さんから始まったイブディナーは2件目のレストランで23時を超え、店もお客が引いて私達が最後という状態になっていたのでボチボチ帰ることに。
お母さんはYが諭吉さんを握らせてタクシーに乗せご帰宅してもらました。お母さんを見送った私達は深夜のMTGに向けて帰路に着く。

道中、「あ、行きつけのバー寄ってこっか」「話をするんだっていってんでしょうがよ」とのバカらしいやり取りがあって、何度目とも知れない「どうしようか」が頭をいっぱいにしましたが、とにかく彼女がこうなってしまった原因を何としてでも把握しておこうと目標を立て無事帰宅。時間は23時半を回っていました。

「まずはさっきの質問、家に着くまでに考えておいてって言ったけど、どう?」

「何だっけ」

「君が『気分を悪くさせてごめん』と謝ってくれたけど、君の何が原因で私の気分が悪くなったのかを教えてほしい」

鏡をチラ見していたからか、恋人のHさんと会えた嬉しさでいっぱいになっていたのか、やっぱり私の話は全然彼女の頭にかすりもしておらず、再度見当違いの原因と謝罪を述べられたのでもう一度訂正。

「長い時間をかけて考えて行動してほしいと伝えて君は『分かった』と言っていたけど、その話の最中に君はまた感情的に行動して事故を起こしたんだよ。裏切られた気分になったんだけど、私の伝え方がまずいのかな」

「そんなことない。大丈夫。本当にごめんね」

レストランを退店した時にお母さんの前で、今夜は私としっかりMTGするということと、その時Yには嘘をつかないということを誓ってもらっていました。
まずは現状を把握するために彼女の本心や悩みを聞かないといけない。私が心配に思っていることを伝えた上で、核心に移りました。

「お母さんはHさんなんかやめておけと言ってるけど、私は今の君に彼を切ることはできないと思う」

 

「うん。本当に好きになっちゃった。最初はそんなことなかったんだけど」

 

「人を好きになる気持ちは大事にしていいと思うよ。お母さんの前で『なんであいつなんか好きになっちゃったんだろう』って言ってたけど、君の好きな人なら『あいつなんか』なんて言い方はしちゃいけないし、無理してそんな言い方しなくていいと思うよ」

「うん。好き。Hさん好き」

「それで、私はなんで君がこんな考えもなしに危ない環境に足を突っ込んでいるのか分からないんだけど、思い当たる原因ある?」

「・・うん」

「何だろう、教えてくれる?」

ここ1、2年で彼女の家族間で3つほどの内輪揉めがあり、私もそれは要点のみ聞いて知っていたのですが、思っていた以上にそれらが彼女のストレスとなっており、いつも通り酒に逃げたとのこと。

彼女にとってはこれまでの人生で一番重い揉め事が連続して続いたため、家でも朝昼晩問わずで飲むわ、外にも飲みに出掛けまくるわ、そこで悩みを忘れられる飲み方をしてくれる仲間(チンピラ君)を見つけ、その派手な飲み友達のそのまた友達だったHさんとも知り合って惚れこんでしまったとのこと。

その一瞬で苦しみから解放された気になっても、当然問題は根本から解消されたわけではないのでくすぶりますね。
くすぶりは焦げのようなものとなり、積み重なり、頑固な岩のようになっていくのだと思います。
溜め込んだ問題を忘れた気になっても、その岩は消えていません。


本人が解決していない、成長をしていないので、同じ問題が出てきたときに解き方が分からず、前回と同じようにくすぶって岩が肥大化するだけです。
くすぶりは自覚する度辛いものですが、それが大きければ大きいほど知覚する辛み、苦しみも大きいのではないでしょうか。


酒を使って忘れようとしても、間違った方向に突き進み、気が付いた時には取り返しのつかない損失、戻れないところまで来てしまい堕落するだけ。

同じレベルの仲間たちと。
低レベル同士で傷をなめ合い、他人を笑うなどして一時的な安心感を手に入れるため、大きな代償を払い続けていることに気が付かない。
気が付いていても、問題を直視して立ち向かう気力がなく、知らない振りをするしかない。そして知れず肥大化が進むどす黒い塊。


上っ面の誤魔化し方しやがって、酒で解決できるわけないだろ。そんなんだからいつまで経っても同じ課題に直面し続けるんだよ。

本当の支え合いを知らない人にありがちだと思いますが、なんでも1人で抱え込んでどうにかしようとしてしまう癖。

大事な人のためであれば、人は必ず解決に力を貸すはずです。
問題があれば解決方法を一緒に考え、悩み、試し、寄り添うはずです。
それができない人は、なんだかんだその相手よりも自分が大事で可愛くて自己保身をしているだけですね。
解決できる力や術がないから、表面では綺麗にまとめて自分の力の無さを棚上げするんだと思います。
いじめなんかではよくありますね。
力や術がないなら一緒に探せばいい、これから鍛えればいい。言葉や思考力を磨いて力にすればいい。
それができれば、その子が1人で同じような問題に直面した時に回避/解決できる武器になる。

「君のくすぶりを根本から取り除ける確証はないけど、少しでも軽くなるようにどこかに出かけてみようか。気晴らしの方法を色々2人で試してみよう」

私があの夜Yに掛けた言葉。
君はシンガポールに行きたい、あの有名なプールに入ってみたいと言った。
私はシンガポールにはプールだけ入りに行って、ホテルは物価が安めのタイでどうだろう、と返した。
あの時、Yの顔は眠そうだったけど少しだけ目に輝きが戻っていたように思う。

Yは12/25にHさんとクリスマスディナーに出掛けている。前から決まっていた予定だ。
お店は前日私達が雰囲気をぶち壊したあのレストラン。
あのレストランで彼女はHさんと話をしてくるらしい。
何をどう話すのか知る由もないが、激情に駆られ、入れ込んだら中々醒めない彼女が惚れた相手を前にして、ちゃんと話ができるだろうか。
またその場の雰囲気、感情に飲み込まれて、グダグダにならないだろうか。

ただ、Yは私に「これからも友達でいてくれる?」と聞いてきた。

今のYのような友達は要らない、無理だと伝えた後のことだ。
あとは信じて待つしかできない。

次に会う12/28で彼女がどのようなステップを踏んだのか、不安と希望を半々に感じながらその時を待とうと思います。


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小説風にまとめましたが、全部ノンフィクション。

なんのドラマだよって思いましたね、チンピラ君のボコボコ写真を送りつけられた時から。

こんな半ぐれドラマなんて興味もないですが、ある意味刺激的な世界なので、病んでいるYにしたら麻薬のように甘美なものなのでしょう。

早くこっちの世界に戻ってきてくれー。