最後の体育祭のシーズンになり、足の怪我が完治しない彼は、デコレーションパネルの責任者になっていた。

幾何学を駆使したような細工や仕掛けを盛り込んだ巨大パネル作りを仕切っていた彼は、悔しいが、少しかっこよかった。

「パネルすごいね!」と声をかけてみたこともあるが、完全に無視された。




彼はその時期、体育祭で同じチームになった女の子を好きになっていたらしく、一緒に帰ったことも少しあるらしい。結局付き合うには及ばなかったらしいが、なんとなく私と顔のタイプが似た子だった気がする。

(今年の夏、彼のアイパッドを、彼の許可を得て見ていたときに、彼女の写真が一枚入っていたので、おそらく相当好きだったのだと思う。)


私としては、かっこよく活躍する姿を見て、少し彼に未練を感じ始めており、彼が新しく恋をしていると聞いて多少の複雑な気持ちを感じていた。彼の読書感想文が都道府県の最高賞を受賞したときには、その文章を見ながら、この文才は前までは私への手紙に生かされていたのになぁ、などと思ってしまった。


しかし、彼と付き合ったら苦労するよー、かわいそうに、などと思ってなんとか感情を落ち着けていた。

別れてから、私とTとは一切口をきかなかった。友達に戻りたい、という約束は果たされず、友達でさえと無くなってしまった。廊下ですれ違っても、完全に無視だった。



Tと別れた私は、勉強にひたすら打ち込んだ。


高校三年生になってから、本格的にハーバード大学を受けることを決めたので、英語のテストや課外活動、コンテストへの参加など、ストレスだらけの生活を送っていた。

また、東大も受けることにしたので、そちらの勉強にも手が抜けなかった。


私と別れてから、Tはますますキツい性格になっていた。すぐにキレる、すぐに睨む、慢性的に目つきが悪い。一言で言うと、すごく怖い人間になっていた。



模擬試験を受けるたび、私は、彼の成績を気にしないでおこうと思いつつ、気にしていた。

彼は、京大模試のランキングで必ず上位に名前が載っており、医学部合格も余裕だと思われた。


そんな彼を陰ながら尊敬する一方で、全く成績に余裕がなかった私は焦りに焦っていた。



彼は数学の問題を作るのが大好きで、難問を作っては「T模試」と銘打ってばらまいていた。(実際にばらまいていたのは彼の友達らしい。)

それが私の手に回ってくることもしばしばあったが、「勉強に余裕がありすぎる元カレ」の話題というのは、私からするとストレス以外のなにものでもなく、それらを振り払うように、私はひたすら勉強した。


「東大は甘くない」「日米併願は無理がある」と言っていた彼を見返してやろうと思って、ただひたすらに勉強した。

高校三年生は、Tとの交際が途絶えた時期ではありますが、私にとってはとても濃い時間だったので、色々と書こうと思います。

カテゴリーとしては、恋愛、でなく、受験勉強、のほうがぴったりかと…。

大学受験編、お楽しみください。