最後の体育祭のシーズンになり、足の怪我が完治しない彼は、デコレーションパネルの責任者になっていた。
幾何学を駆使したような細工や仕掛けを盛り込んだ巨大パネル作りを仕切っていた彼は、悔しいが、少しかっこよかった。
「パネルすごいね!」と声をかけてみたこともあるが、完全に無視された。
彼はその時期、体育祭で同じチームになった女の子を好きになっていたらしく、一緒に帰ったことも少しあるらしい。結局付き合うには及ばなかったらしいが、なんとなく私と顔のタイプが似た子だった気がする。
(今年の夏、彼のアイパッドを、彼の許可を得て見ていたときに、彼女の写真が一枚入っていたので、おそらく相当好きだったのだと思う。)
私としては、かっこよく活躍する姿を見て、少し彼に未練を感じ始めており、彼が新しく恋をしていると聞いて多少の複雑な気持ちを感じていた。彼の読書感想文が都道府県の最高賞を受賞したときには、その文章を見ながら、この文才は前までは私への手紙に生かされていたのになぁ、などと思ってしまった。
しかし、彼と付き合ったら苦労するよー、かわいそうに、などと思ってなんとか感情を落ち着けていた。