私がアメリカに帰る前日、私たちは自宅でデートをした。
私は、遠距離を楽しく過ごせるように、と、Tのために、アルバムを作っていた。
平成最後の夏!
と銘打って、一緒に過ごした夏の写真を数枚入れ、
「喧嘩した時に読んでね」
「さみしくなったら読んでね」
というような手紙も30枚ほど入れた。
彼は、アルバムを見るなり感極まっていたようで、泣きそうだったらしい。
彼も、前日の夜に手紙を書いてきてくれていた。
書きながら泣いてしまったらしい。
平成最後の最高の夏が終わってしまうのが悲しすぎる旨を書き連ねてくれていた。
でも、悲しいことを書いたら私が泣いてしまうので、明るいことを書こうと努め、私のどんなことが好きか、とか、そういうふうな惚気を書いてくれていた。
また、左から二行目を上から読むと、縦読みになっているというサプライズがあった。私があまりにも気づかなかったので、彼がしびれを切らして教えてくれた。
「今夜この 月が教へる 君のさま かく明るきは 良きたよりなれ」
まさかの、短歌になっていた。
ただ、古語が混じっていたため、意味がすぐにはいまいちしっくり来ず、作者のTに自ら解説させてしまった。
「遠距離中も、月はあなたの様子を教えてくれる。
このように月が明るいのは、あなたが元気だという便りであってくれ。」
という素晴らしい句であった。
それを読んで私はぼろぼろ泣きながら、彼と一緒にショッピングモールでうどんを食べ、遠距離前の幸せなひと時を過ごした。