高校二年生になった。
靴箱の位置が移動し、私とTの靴箱は奇跡的に隣あわせになった。朝は登校しているか、夜は下校しているかの確認がしやすく、手紙も入れやすい。靴箱の置き手紙はもはや恒例となっていたので、便利になって嬉しかった。
Tは文化祭でのリーダーシップが光ったため、クラスの委員長になった。授業のはじめに彼がかける号令が、隣の私のクラスにまで聞こえてきて幸せな気分だった。
高校二年生に上がる際、クラス分けはないものの、文系理系に分かれるという点で、大きく環境が変化する。
京都大学医学部を目指すTは理系を、東京大学文科一類を目指す私は文系を選んだ。
お互い勉強が忙しくなり、彼は塾を3つほど掛け持ちしていた。
だが、そのうちの1つの塾は、私の家と同じ方向にあったため、週に一回、バスで一緒に帰る時間ができた。今までは五分ほど歩くだけだったので、かなりの進展である。
バスの中で、私と彼は、大学の話をするようになった。
彼は大学について知ったうえでの京大、私は日本一の名に釣られて東大。もちろんそれ以外にも理由は色々あるのだが、お互いの意思は固く、遠距離になるからという理由で変更する気はさらさらなかった。
もちろん、彼に、東大の医学部もいいやん、と言ってみたこともある。実力も十分だ。だが、彼は、京大に決めていた。
バスの中では、いつも私たちは一番後ろの席に手を繋いで座った。腕を組んだこともあるのだが、彼の腕は筋肉がつきすぎて太くて、組むとジェットコースターの安全バーのようだったので、基本的には手を繋いでいた。
そんなわけで、毎週火曜日に30分ほど一緒に過ごせる時間を手に入れた私たちは、一方でそれぞれの道へと進みはじめた。