Q.クレジットカードで事業に関する支払いをしたのですが、お店から受け取った利用明細書をなくしてしまいました。

 

 クレジット会社から送られてくる請求明細書で経費計上してもらえますか?

 


 A.支払の内容が分かれば、経費計上は可能です。

 

 経費計上するために、領収書等の保存は必須ではなく、実際に支払ったかどうかが分かればいいためです。

 

 しかし基本的には、お店から受け取った利用明細書も保管いただく必要があります。

 

 クレジットカード請求明細書には購入した日付や金額、お店の名前などが記載されているため、一見請求明細書から経費計上しても問題ないように思いますが、何を購入したのか分かりません。

 

 何を購入したのか分からないと、例えばアマゾンで1万円支払ったとしても、事務用品を購入したのか、スタッフ用の飲料を購入したのか分かりません。

 

 商品の内容が分かる利用明細書やレシートを保管していることが最もいいですが、なくしてしまった場合は、何を購入したか後から見ても分かるように、自身でメモ書きをしておくようにしましょう。


 しかし、消費税を計算するうえでは、クレジットカード請求明細書だけでは足りず、お店からもらう利用明細書やレシートも保管しなければなりません。

 

 なぜなら、消費税の計算をするうえで経費として認めてもらうためには、領収書等の保存が必須となるためです。

 

 上述に記載したように、メモ書きだけではだめで、利用明細書やレシートなど領収書のかわりとなる書類の保存が必要なのです。

 

 歯科医院は消費税の免税事業者や課税事業者であっても、簡易課税(売上だけをみて消費税を計算する方法)を採用されているところが多いので、自費診療を多く行っているクリニック以外は、利用明細書を保存しなくても大きな影響はないのかもしれません。

 

 しかし、余計なリスクを負わないためにも、クレジットカードを利用した際は、忘れずに利用明細書も取っていただければと思います。

 令和6年6月1日に事務所を下記の通り移転しました。

 

  〒220-8120

   横浜市西区みなとみらい2-2-1

   横浜ランドマークタワー20階

 

 これを機に、気持ちを新たに、より一層業務に専心する所存でございます。

 

 独立して約1年経過しましたが、歯科専門税理士は税理士全体を見てもあまりおらず、覚えていただきやすいこともあってか、最近はご紹介やご相談をいただくことも増えてきました。

 

 本当にありがたい限りです。

 

 これに満足せず、自身の知識や経験をあげ、歯科医師の先生方のお役にたてるよう、これからも日々精進してまいります。

 

 大岩佐衣税理士事務所

   大岩 佐衣

 

 

 医療法人の理事長をしています。

 現時点では、後継者がおらず、第3者に事業譲渡することも考えていないため、このまま後継者が見つからなければ、数年後には医療法人を解散させたいと思っています。

 

 医療法人を解散させることになった場合、テナント契約の違約金は発生するのでしょうか?

 


 契約期間の満了まで借りず、中途解約をする場合には、テナント契約の違約金が発生する可能性があります。


 歯科医院として使用するテナントを借りる場合、行政から賃貸借契約期間につき指導があります。

 

 行政は安定して継続的に事業を続けてほしいと考えており、2~3年の短い賃貸借契約では、申請時に却下される可能性があるので、10年など長い期間で賃貸借契約をするクリニックが多いかと思います。

 

 賃貸借契約の中途解約の違約金については、契約パターンにより異なります。

 

 賃貸借契約には、定期建物賃貸借契約と普通建物借家賃貸借契約の2パターンがあります。


(1)定期建物賃貸借契約


 更新はなく、貸主との合意できた場合のみ再契約できる可能性があります。

 契約期間満了までに中途解約をした場合には、あらかじめ決めた定期の期間を借りないと契約違反となってしまうため、残存期間分の違約金を支払う必要があります。


(2)普通建物借家賃貸借契約


 更新は、基本的に借主が希望すれば可能となります。

 契約期間満了までに中途解約をした場合の違約金の取り扱いは、契約内容により様々です。数か月分の家賃相当額の違約金を支払う契約となっている場合もあれば、一定の期間前までに解約の予告をすれば違約金は発生しない場合もあります。

 定期建物賃貸借契約は更新もできなければ、中途解約も原則としてできず、できたとしても多額の違約金が発生してしまう可能性があります。

 

 また、普通建物借家賃貸借契約でも違約金が発生する可能性があるので、契約書を改めてご確認いただければと思います。

 待合室に飾る絵画を購入しようと考えています。絵画は経費計上できるのでしょうか?

 


 クリニックの待合室に飾る絵画は、絵画の取得価額によって、経費計上できるか否か取り扱いがことなります。


 絵画の取得価額には、絵画の代金のみならず、額縁や絵画を運んでもらう運賃、据付費などが含まれます。


(1)30万円未満の絵画


  1点あたり30万円未満の絵画は、購入時に消耗品として、全額を経費計上できます。
  

 なお、10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産として3年間にわたって経費計上することも可能です。

 

 一括償却資産として計上した場合は、償却資産税の対象外となりますので、償却資産税を少しでも抑えたい場合は、購入時に全額を経費計上せず、一括償却資産として計上することをおすすめします。


(2)30万円以上100万円未満の絵画


  1点あたり30万円以上100万円未満の絵画は、減価償却資産として8年かけて経費計上できます。

 

 ただし、古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないものなどのように、時間の経過により価値が減少しないものは、減価償却をすることができません。


(3)100万円以上の絵画


  1点あたり100万円以上の絵画は、原則として購入時に一括経費計上したり、減価償却して経費計上することはできません。

 

 ただし、時間の経過によりその価値が減少することが明らかなものについては、減価償却をすることができます。

 

 例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものは減価償却して経費計上することができます。

 

 待合室に飾る絵画は、不特定多数の者が利用する場所の展示用の絵画と考えられるため、100万円以上の絵画でも減価償却して経費計上できる可能性があります。

 

 ただし、待合室に飾る絵画でも、ガラスケースに収納されている等、退色や傷付きが生じないように展示されているものについては、減価償却できません。


 待合室に飾る経費は、絵画の取得価額により取り扱いが異なります。

 絵画を購入検討される際は、事前に税理士に相談のうえ、取り扱いを確認していただければと思います。

 医療法人やMS法人の役員やスタッフの方が、自身の給与から退職金を積み立てることができるとてもお得な退職金制度、「はぐくみ基金」をご存じでしょうか?

 

 はぐくみ基金は、退職金共済とは異なり、法人の役員も加入することができ、イデコのように原則60歳まで受け取ることができないということもなく、いいことづくしの制度です。


当ブログでは、はぐくみ基金についてご紹介します。


1.加入要件


 はぐくみ基金は、70歳未満の厚生年金の被保険者である医療法人、MS法人の役員やスタッフが加入することができます。

 

 厚生年金の被保険者とはなれない個人事業主の院長先生は加入することができません。

 

 また、2期連続債務超過の法人、役員のみの法人、設立1年未満の法人などの役員やスタッフもも加入できません。


2.メリット


(1)法人側のメリット


・スタッフなどの加入者が掛金を負担するため、法人側で掛金の負担なく退職金制度を構築することができる


・退職金掛金分の給与月額が下がるため、社会保険料負担額を下げることができる


(2)加入者側のメリット


・退職金掛金分の給与月額が下がるため、社会保険料及び所得税負担額を下げることができる


・加入期間が1か月以上あれば、掛金の元本が保証される


・資産運用は大手生命保険会社などが行うため、イデコなどのように加入者自身が運用する必要はない


・退職時だけでなく、休職時、育児介護の休業時に受給することができる


・月1,000円~最大給与の20%まで、掛金の変更が制限なくできる


・受給時に税金の優遇制度があり、税金を抑えることができる


3.デメリット


(1)法人側のデメリット


・掛金の積立不足が生じた場合、法人が不足分を補填しなければいけない可能性がある


・導入・運用コストが発生する


(2)加入者側のデメリット


・給与月額が下がることにより、将来もらえる厚生年金、失業給付が減る可能性がある

 はぐくみ基金に加入するためには、㈱ベタープレイスという加入事務委託業者に問い合わせして、説明会または面談に参加することから始まります。


 法人側の費用負担を抑えて退職金制度を整備したい場合は、はぐくみ基金をご検討いただければと思います。