こんにちは。KANZOです。

 

今回は駅のホームに開設された診療所について書いてみようと思います。

 

JR東日本が2022年4月に東京の西国分寺駅のホームに対面とオンライン診療を組み合わせたハイブリッドの診療所を開設し、今後も広がりを見せそうだという記事を読みました。(令和5年6月14日の日経新聞より)

 

医療業界にいながらこのような事業形態が進んでいることを恥ずかしながら、初めて知り、さすがに東京は最先端だなと改めて感じました。

 

今回は記事の内容以外で自分事として感じた「駅ホームの診療所」のよさを書いてみようと思います。

 


まず患者にとってのメリットは

  1. 駅構内にあるので利便性が高い
  2. 通勤通学の隙間時間に利用できる
といったことが挙げられるようにやはり利便性の良さが受診のハードルを下げることにつながり、結果的に患者の健康増進につながるのではと感じます。
 
次に医療機関にとってのメリットは
  1. 集患・増患が他の医療機関に比べ有利
  2. 遠方の求職者も採用可能になることから職員採用に有利
といったことが挙げられます。医療機関の立地によっては、高齢者の方がタクシーや家族に送迎してもらって受診しているような場面も数多く見てきたので、そのような方にとっては選ばれる理由の一つになりえるのではないでしょうか。
 
またこれは患者にとってメリットであるだけではなく、従業員を採用するにあたっても大きなPRポイントであるように思います。少々遠方の求職者も採用できることから、採用活動のエリアも広げることができます。
 
副次的に職員駐車場を設けなくてよい(あるいは数台でよい)ことによる地代の削減もみこめそうです。そうなれば固定費が抑えられることもメリットでしょう。
 
次に鉄道会社にとってのメリットは
  1. 診療所利用による鉄道利用客の増加
  2. 地代収入の確保
でしょう。鉄道会社は今や人口減少による利用客減で本業だけでは食べていけない時代です。不動産や旅行代理店に加え、新たな利益を生むビジネスにはこれからもどんどん参入していくでしょう。
 
駅のホームのように狭い場所でも開業できるうえ、インフラとしての使命を果たすという意味でも、医療業界への参入は大変意義があるように思います。
 
最後に診療所が開設される地域にとってのメリットは
  1. 診療所を目的地とした人の移動と経済効果が見込める
  2. 人口の少ない地域にあっても、交通の便が良いことにより広範囲にわたって集患できることから、医療偏在や不在の解消につながる
といったことが考えられます。
 
先ほども述べたとおり高齢者の方は家族の送迎やタクシー、公共交通機関の乗り継ぎで来院される方も少なくありません。
 
身寄りのない方や収入の少ない方はタクシー代の捻出も一苦労です。
 
そういったいわゆる交通弱者の方の希望になりえるのが、ホームの診療所なのかもしれません。
 
以上のように良い点ばかり書きましたが、当然新しいことをする中では実務上では問題も多くあるのだろうと思います。
 
ですが、人口減少や医療格差を解決する新たな手法として患者・医療機関・鉄道会社・地域の四方よしの「駅ホームの診療所」に今後も期待して注目していきたいと思います。