前回に引き続き、今回も1986年の全米No.1ヒット紹介シリーズです。
前回、1986年5月3日付でNo.1だった、
ロバート・パーマー「恋におぼれて」に代わり、
1986年5月10日付でNo.1となったのは、
ペット・ショップ・ボーイズ「ウエスト・エンド・ガールズ」
今年1月31日に紹介したドリーム・アカデミー以来、
久々に、80'sブリティッシュインヴェイジョン、
「英国襲撃シリーズ35」でもあります。
イギリスの人気音楽雑誌のライターだった、
ボーカルでソングタイターのニール・テナントと、
ロンドンの学生だったキーボードのクリス・ロウが、
1981年に知り合って結成した、エレクトリックポップデュオ。
1984年にファーストレコーディングされ、
1985年から86年にかけて、世界的に大ヒットを記録した、
ポップでミステリアスなダンスサウンドと、
ラップ風ボーカルが印象的なナンバーです。
①曲の世界観とともに、彼ら自身のスタイルを大きくイメージづけたPV。
②はっきりと表示されていませんが、
おそらくヒット当時の「Top Of The Pops」あたりでの
TVライブから。
③2009年のロンドンでのライブステージから。
彼ら自身の雰囲気が変わらないのと、
音が基本的にCDそのままな部分もあるので、
あまり変わった印象がないのですが、
それでも、大ヒット作なりのオーディエンスコールもあり、
曲に合わせたパフォーマンスも今風で見どころ大です。
☆Pet Shop Boys "West End Girls" from the album "Please"
1986年Billboard Hot100 最高位1位(5/10付)
Sometimes you're better off dead
There's gun in your hand and it's pointing at your head
You think you're mad, too unstable
Kicking in chairs and knocking down tables
In a restaurant in a West End town
Call the police, there's a madman around
Running down underground to a dive bar
In a West End town
>> 時々、君は死んだほうがマシじゃないかって
>> 手にした銃をこめかみに当ててる
>> 自分はおかしいんじゃないか、気が変になりすぎて
>> いすを蹴飛ばしたり、机を殴りつけたり
>> ウエストエンドタウンのレストランで
>> 警察を呼んでよ、変な人がウロウロしてるって
>> 地下の怪しいバーにもぐりこむんだ
>> このウエストエンドタウンで
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
West End girls
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズが
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズであふれてる
>> ウエストエンドガールズ
Too many shadows, whispering voices
Faces on posters, too many choices
If, when, why, what?
How much have you got?
Have you got it, do you get it, if so, how often?
And which do you choose, a hard or soft option?
(How much do you need?)
>> 重なる影と囁き声に溢れ
>> ポスターには顔、顔、顔、何を選べばいいやら
>> もし?いつ?なぜ?何?
>> あんたいくら持ってるの?
>> 金はあるの?手に入れた?ならどうする?いつものこと?
>> じゃあどれを選ぶの?ハードなやつとかソフトなものとか?
>> (あんたいくら欲しいんだい?)
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
West End girls
West End girls
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズが
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズであふれてる
>> ウエストエンドガールズ
>> ウエストエンドガールズ
(How much do you need?)
>> (あんたいくら欲しいんだい?)
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
Oooh West End town, a dead end world
East End boys, West End Girls
West End girls
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズが
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズであふれてる
>> ウエストエンドガールズ
You've got a heart of glass or a heart of stone
Just you wait 'til I get you home
We've got no future, we've got no past
Here today, built to last
In every city, in every nation
From Lake Geneva to the Finland station
(How far have you been?)
>> 君は脆いハートの持ち主か、硬いハートの持ち主か
>> ボクが君を家に送り届けるまで待っててくれよ
>> ボクらには未来もないし、過去もない
>> ただ今日を生き続けていくだけ
>> どんな街でも、どんな国でも
>> レマン湖からフィンランドの駅舎まで
>> (いったいどこから来たっていうの?)
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
A West End town, a dead end world
East End Boys, West End girls
West End girls
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズが
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズであふれてる
>> ウエストエンドガールズ
West End girls
West End girls
(How far have you been?)
>> ウエストエンドガールズ
>> ウエストエンドガールズ
>> (いったいどこまで行ったら気が済むの?)
この1986年における彼らの登場、
(実際には85年暮れくらいから、イギリスチャートなどで話題にはなっていた)
この時には、また新たなニューウェーブダンス系のグループなのかという感じで、
彼らを眺めていたんですが、
どうも、80年代前半のパンク、ニューウェーブ系から進化した、
デュラン・デュラン的ダンスポップグループとは異なる雰囲気を持っていて、
当時は、まだ彼らの進化を理解できてなかったかもしれません。
しかし、今にして、彼らはまさに時代の先を行く存在で、
現在のヒップホップやクラブサウンドスタイルのベースとなった、
音楽づくりをしていたんだなと思わされます。
ようやく、時代が追い付いたんだなという感じです。
この曲の歌詞の舞台となっているロンドンは、
ちょうど中央あたりに位置するシティと呼ばれる金融街を中心として、
おおざっぱに西側をウエストエンド、東側をイーストエンドと呼んでいて、
ウエストエンドは文化的施設とかショッピング街、歓楽街が多い地域で、
一方イーストエンドは、労働者の街で移民の多い地域でもある、
対照的な分かれ方をしている街です。
この辺はボク自身行ったこともないので、
ロンドンに実際行かれた方や生活されていた方に聞いた方がいいかと思います。
ただ、よく「山の手と下町」とか「アップタウンとダウンタウン」という
分け方と同じかというとそういうわけでもなくて、
この歌詞の中でも描かれているように、
ウエストエンドの歓楽街の片隅で、
その日暮らしで遊び歩いたり、それこそ体を売ったりするような女性も多い場所で、
そんな悲哀を描いていたのかなと思わされる曲なんですよね。
当時ボクが、東京でこういうイメージを持っていた街というのが、
新宿とか六本木とか。
実際、ちゃんと歩いたことがそれほどなかったからだと思うんですが、
特に当時の六本木あたりは、
ディスコで何回か行ったことはあっても、
あまり近づきたくないなと思っていた場所ですね。
今の六本木ヒルズやミッドタウンがある六本木とは、
だいぶかけ離れたイメージを持っていた場所でした。
1983年にユーリズミックスが登場して、
「スウィート・ドリームス(Sweet Dreams (Are Made Of This)」が
全米No.1を獲得した時も、
その独特な雰囲気が最初わからない部分がありましたが、
彼らもまた、この曲で大ヒットを記録した当時は、
不思議な雰囲気をもった二人組で、
この先の音楽的広がりと現在でも続く人気を予想できませんでした。
ニール・テナントは、1954年イギリス北部のノースシールズ生まれの58歳、
クリス・ロウは、1958年ランカシャー生まれの54歳。
ニールは、ロンドンの大学で歴史学を学び、
卒業後にマンガ出版社を経て、
音楽雑誌として知られる「Smash Hits」の編集者になり、
同時に個人での音楽活動も行っていました。
一方、クリスはリバプールの大学を卒業後、
さらにロンドンで建築学を学んでいるところで、
1981年、この二人がロンドンのキングスロードにある
オーディオショップで、同じキーボードを見ていたことで知り合い、
デュオとして音楽活動をスタートさせます。
チェルシーにあるニールの下宿で共同生活し、
小さなレコーディングスタジオで何曲かを録音した中に、
この曲や、1987年に大ヒットする「哀しみの天使(It's A Sin)」などが
含まれていました。
当初、彼らは「ウエストエンド」というグループ名だったそうですが、
共通の友人がペットショップに務めているというところから、
ペットショップ・ボーイズというグループ名にしたということです。
当時、「Smash Hits」のライターだったニールが、
取材を通して知り合ったニューヨークのプロデューサー、
ボビー・オーランドにより、アメリカのマイナーダンスレーベルと契約し、
アメリカで「ウエストエンド・ガールズ」などをレコーディングします。
これが1984年にファーストバージョンとしてリリースされるのですが、
一部ヨーロッパでヒットしたものの、イギリス、アメリカでは受け入れられず、
さらに、プロデューサーのボビーとの契約問題でケンカ別れ状態になってしまいます。
イギリスに戻った二人は、改めてイギリスのパーロフォンレコードと契約し、
ファーストシングルとして、
「オポチュニティーズ(Oppotunities (Let's Make Lots Of Money))」を
リリースしますが、ヒットに至らず、
続いて、かつてレコーディングした、
「ウェストエンド・ガールズ」を新たなプロデューサー、
スティーヴン・ヘイグを迎えて再レコーディングし、
1985年10月にリリース。
これが、翌1986年の1月にイギリスでNo.1を記録すると、
ヨーロッパへ人気が飛び火し、
さらにアメリカでもダンスチャートをきっかけに話題となり、
見事に全米No.1に輝きます。
アメリカでは続いて、「オポチュニティーズ」が再リリースされ、
最高位10位の大ヒットを記録し、
これらの曲を含むファーストアルバム、
「ウエストエンド・ガールズ(Please)」もTop10ヒットとなりました。
全米ではNo.1ヒットは、この「ウエストエンド・ガールズ」のみですが、
イギリスでは他にも3曲のNo.1を記録したほか、
数多くのヒット曲をリリースしています。
セカンドアルバム「哀しみの天使(Actually)」からのシングル、
「哀しみの天使(It's A Sin)」、
往年のベテラン女性シンガー、ダスティ・スプリングフィールドと共演し、
全米2位を記録した、
「とどかぬ想い(What Have I Done To Deserve This)」、
さらに、ブレンダ・リーやウィリー・ネルソンの大ヒットを
エレクトロポップ化した、
「オールウェイズ・オン・マイ・マインド(Always On My Mind)」、
フランキー・ヴァリやボーイズ・タウン・ギャングの、
「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」と
U2の「約束の地(Where The Streets Have No Name)」を
マッシュアップしたという異色の作品、
「君の瞳に恋してる(Where The Streets Have No Name)」、
さらにヴィレッジ・ピープルのカバーである、
「ゴー・ウェスト(Go West)」といった、
カバー作品はとりわけ日本でも人気の高い作品です。
90年代、2000年代に入っても、
3~4年のペースでコンスタントにアルバムを発表し、
昨年2012年には、新作「エリシオン~理想郷(Elysium)」をリリース。
さらにテレビでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、
ロンドンオリンピックの閉会式でパフォーマンスも行いました。
この時は、衣装を身にまとった二人が、
トラックに乗って会場をグルグル回りながら歌うという(口パクかも)、
なんかあっという間のステージでしたね。
この直前に演奏してたのが、これまた80'sの人気バンド、マッドネス。
この動画にも出てくる、二人の後に登場した、
ワン・ダイレクションのステージが、
のちに日本でブレークするきっかけになったのかもしれませんね。
今年、さらに新作アルバムのリリースが予定されているとともに、
6年ぶりに、「Summer Sonic」での来日公演も予定されています。
1986年の全米No.1ヒットシリーズ、
次回は、来週5月17日の予定。
今年2月に続く2度目の登場。
そして、ファーストアルバムからの3曲連続No.1の3曲目。
元々はモハメド・アリの伝記映画のために書かれ、
ジョージ・ベンソンによりレコーディングされていた曲のカバー。
自分自身を信じ愛することで道を全うしたいという願いをこめた
壮大なバラードナンバーです。
ウエスト・エンド・ガールズ/ペット・ショップ・ボーイズ
¥1,500
Amazon.co.jp
前回、1986年5月3日付でNo.1だった、
ロバート・パーマー「恋におぼれて」に代わり、
1986年5月10日付でNo.1となったのは、
ペット・ショップ・ボーイズ「ウエスト・エンド・ガールズ」
今年1月31日に紹介したドリーム・アカデミー以来、
久々に、80'sブリティッシュインヴェイジョン、
「英国襲撃シリーズ35」でもあります。
イギリスの人気音楽雑誌のライターだった、
ボーカルでソングタイターのニール・テナントと、
ロンドンの学生だったキーボードのクリス・ロウが、
1981年に知り合って結成した、エレクトリックポップデュオ。
1984年にファーストレコーディングされ、
1985年から86年にかけて、世界的に大ヒットを記録した、
ポップでミステリアスなダンスサウンドと、
ラップ風ボーカルが印象的なナンバーです。
①曲の世界観とともに、彼ら自身のスタイルを大きくイメージづけたPV。
②はっきりと表示されていませんが、
おそらくヒット当時の「Top Of The Pops」あたりでの
TVライブから。
③2009年のロンドンでのライブステージから。
彼ら自身の雰囲気が変わらないのと、
音が基本的にCDそのままな部分もあるので、
あまり変わった印象がないのですが、
それでも、大ヒット作なりのオーディエンスコールもあり、
曲に合わせたパフォーマンスも今風で見どころ大です。
☆Pet Shop Boys "West End Girls" from the album "Please"
1986年Billboard Hot100 最高位1位(5/10付)
Sometimes you're better off dead
There's gun in your hand and it's pointing at your head
You think you're mad, too unstable
Kicking in chairs and knocking down tables
In a restaurant in a West End town
Call the police, there's a madman around
Running down underground to a dive bar
In a West End town
>> 時々、君は死んだほうがマシじゃないかって
>> 手にした銃をこめかみに当ててる
>> 自分はおかしいんじゃないか、気が変になりすぎて
>> いすを蹴飛ばしたり、机を殴りつけたり
>> ウエストエンドタウンのレストランで
>> 警察を呼んでよ、変な人がウロウロしてるって
>> 地下の怪しいバーにもぐりこむんだ
>> このウエストエンドタウンで
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
West End girls
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズが
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズであふれてる
>> ウエストエンドガールズ
Too many shadows, whispering voices
Faces on posters, too many choices
If, when, why, what?
How much have you got?
Have you got it, do you get it, if so, how often?
And which do you choose, a hard or soft option?
(How much do you need?)
>> 重なる影と囁き声に溢れ
>> ポスターには顔、顔、顔、何を選べばいいやら
>> もし?いつ?なぜ?何?
>> あんたいくら持ってるの?
>> 金はあるの?手に入れた?ならどうする?いつものこと?
>> じゃあどれを選ぶの?ハードなやつとかソフトなものとか?
>> (あんたいくら欲しいんだい?)
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
West End girls
West End girls
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズが
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズであふれてる
>> ウエストエンドガールズ
>> ウエストエンドガールズ
(How much do you need?)
>> (あんたいくら欲しいんだい?)
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
Oooh West End town, a dead end world
East End boys, West End Girls
West End girls
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズが
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズであふれてる
>> ウエストエンドガールズ
You've got a heart of glass or a heart of stone
Just you wait 'til I get you home
We've got no future, we've got no past
Here today, built to last
In every city, in every nation
From Lake Geneva to the Finland station
(How far have you been?)
>> 君は脆いハートの持ち主か、硬いハートの持ち主か
>> ボクが君を家に送り届けるまで待っててくれよ
>> ボクらには未来もないし、過去もない
>> ただ今日を生き続けていくだけ
>> どんな街でも、どんな国でも
>> レマン湖からフィンランドの駅舎まで
>> (いったいどこから来たっていうの?)
In a West End town, a dead end world
The East End boys and West End girls
A West End town, a dead end world
East End Boys, West End girls
West End girls
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズが
>> ウエストエンドタウン、そこは行き止まりの世界
>> イーストエンドボーイズとウエストエンドガールズであふれてる
>> ウエストエンドガールズ
West End girls
West End girls
(How far have you been?)
>> ウエストエンドガールズ
>> ウエストエンドガールズ
>> (いったいどこまで行ったら気が済むの?)
この1986年における彼らの登場、
(実際には85年暮れくらいから、イギリスチャートなどで話題にはなっていた)
この時には、また新たなニューウェーブダンス系のグループなのかという感じで、
彼らを眺めていたんですが、
どうも、80年代前半のパンク、ニューウェーブ系から進化した、
デュラン・デュラン的ダンスポップグループとは異なる雰囲気を持っていて、
当時は、まだ彼らの進化を理解できてなかったかもしれません。
しかし、今にして、彼らはまさに時代の先を行く存在で、
現在のヒップホップやクラブサウンドスタイルのベースとなった、
音楽づくりをしていたんだなと思わされます。
ようやく、時代が追い付いたんだなという感じです。
この曲の歌詞の舞台となっているロンドンは、
ちょうど中央あたりに位置するシティと呼ばれる金融街を中心として、
おおざっぱに西側をウエストエンド、東側をイーストエンドと呼んでいて、
ウエストエンドは文化的施設とかショッピング街、歓楽街が多い地域で、
一方イーストエンドは、労働者の街で移民の多い地域でもある、
対照的な分かれ方をしている街です。
この辺はボク自身行ったこともないので、
ロンドンに実際行かれた方や生活されていた方に聞いた方がいいかと思います。
ただ、よく「山の手と下町」とか「アップタウンとダウンタウン」という
分け方と同じかというとそういうわけでもなくて、
この歌詞の中でも描かれているように、
ウエストエンドの歓楽街の片隅で、
その日暮らしで遊び歩いたり、それこそ体を売ったりするような女性も多い場所で、
そんな悲哀を描いていたのかなと思わされる曲なんですよね。
当時ボクが、東京でこういうイメージを持っていた街というのが、
新宿とか六本木とか。
実際、ちゃんと歩いたことがそれほどなかったからだと思うんですが、
特に当時の六本木あたりは、
ディスコで何回か行ったことはあっても、
あまり近づきたくないなと思っていた場所ですね。
今の六本木ヒルズやミッドタウンがある六本木とは、
だいぶかけ離れたイメージを持っていた場所でした。
1983年にユーリズミックスが登場して、
「スウィート・ドリームス(Sweet Dreams (Are Made Of This)」が
全米No.1を獲得した時も、
その独特な雰囲気が最初わからない部分がありましたが、
彼らもまた、この曲で大ヒットを記録した当時は、
不思議な雰囲気をもった二人組で、
この先の音楽的広がりと現在でも続く人気を予想できませんでした。
ニール・テナントは、1954年イギリス北部のノースシールズ生まれの58歳、
クリス・ロウは、1958年ランカシャー生まれの54歳。
ニールは、ロンドンの大学で歴史学を学び、
卒業後にマンガ出版社を経て、
音楽雑誌として知られる「Smash Hits」の編集者になり、
同時に個人での音楽活動も行っていました。
一方、クリスはリバプールの大学を卒業後、
さらにロンドンで建築学を学んでいるところで、
1981年、この二人がロンドンのキングスロードにある
オーディオショップで、同じキーボードを見ていたことで知り合い、
デュオとして音楽活動をスタートさせます。
チェルシーにあるニールの下宿で共同生活し、
小さなレコーディングスタジオで何曲かを録音した中に、
この曲や、1987年に大ヒットする「哀しみの天使(It's A Sin)」などが
含まれていました。
当初、彼らは「ウエストエンド」というグループ名だったそうですが、
共通の友人がペットショップに務めているというところから、
ペットショップ・ボーイズというグループ名にしたということです。
当時、「Smash Hits」のライターだったニールが、
取材を通して知り合ったニューヨークのプロデューサー、
ボビー・オーランドにより、アメリカのマイナーダンスレーベルと契約し、
アメリカで「ウエストエンド・ガールズ」などをレコーディングします。
これが1984年にファーストバージョンとしてリリースされるのですが、
一部ヨーロッパでヒットしたものの、イギリス、アメリカでは受け入れられず、
さらに、プロデューサーのボビーとの契約問題でケンカ別れ状態になってしまいます。
イギリスに戻った二人は、改めてイギリスのパーロフォンレコードと契約し、
ファーストシングルとして、
「オポチュニティーズ(Oppotunities (Let's Make Lots Of Money))」を
リリースしますが、ヒットに至らず、
続いて、かつてレコーディングした、
「ウェストエンド・ガールズ」を新たなプロデューサー、
スティーヴン・ヘイグを迎えて再レコーディングし、
1985年10月にリリース。
これが、翌1986年の1月にイギリスでNo.1を記録すると、
ヨーロッパへ人気が飛び火し、
さらにアメリカでもダンスチャートをきっかけに話題となり、
見事に全米No.1に輝きます。
アメリカでは続いて、「オポチュニティーズ」が再リリースされ、
最高位10位の大ヒットを記録し、
これらの曲を含むファーストアルバム、
「ウエストエンド・ガールズ(Please)」もTop10ヒットとなりました。
全米ではNo.1ヒットは、この「ウエストエンド・ガールズ」のみですが、
イギリスでは他にも3曲のNo.1を記録したほか、
数多くのヒット曲をリリースしています。
セカンドアルバム「哀しみの天使(Actually)」からのシングル、
「哀しみの天使(It's A Sin)」、
往年のベテラン女性シンガー、ダスティ・スプリングフィールドと共演し、
全米2位を記録した、
「とどかぬ想い(What Have I Done To Deserve This)」、
さらに、ブレンダ・リーやウィリー・ネルソンの大ヒットを
エレクトロポップ化した、
「オールウェイズ・オン・マイ・マインド(Always On My Mind)」、
フランキー・ヴァリやボーイズ・タウン・ギャングの、
「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」と
U2の「約束の地(Where The Streets Have No Name)」を
マッシュアップしたという異色の作品、
「君の瞳に恋してる(Where The Streets Have No Name)」、
さらにヴィレッジ・ピープルのカバーである、
「ゴー・ウェスト(Go West)」といった、
カバー作品はとりわけ日本でも人気の高い作品です。
90年代、2000年代に入っても、
3~4年のペースでコンスタントにアルバムを発表し、
昨年2012年には、新作「エリシオン~理想郷(Elysium)」をリリース。
さらにテレビでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、
ロンドンオリンピックの閉会式でパフォーマンスも行いました。
この時は、衣装を身にまとった二人が、
トラックに乗って会場をグルグル回りながら歌うという(口パクかも)、
なんかあっという間のステージでしたね。
この直前に演奏してたのが、これまた80'sの人気バンド、マッドネス。
この動画にも出てくる、二人の後に登場した、
ワン・ダイレクションのステージが、
のちに日本でブレークするきっかけになったのかもしれませんね。
今年、さらに新作アルバムのリリースが予定されているとともに、
6年ぶりに、「Summer Sonic」での来日公演も予定されています。
1986年の全米No.1ヒットシリーズ、
次回は、来週5月17日の予定。
今年2月に続く2度目の登場。
そして、ファーストアルバムからの3曲連続No.1の3曲目。
元々はモハメド・アリの伝記映画のために書かれ、
ジョージ・ベンソンによりレコーディングされていた曲のカバー。
自分自身を信じ愛することで道を全うしたいという願いをこめた
壮大なバラードナンバーです。
ウエスト・エンド・ガールズ/ペット・ショップ・ボーイズ
¥1,500
Amazon.co.jp