80年代の全米No.1ヒットをとりあげる、「US No.1」シリーズとして、
今年は、1986年のBillboard Hot100でのNo.1ヒットを紹介していきます。


前回、1985年12月21日付から1986年1月11日付でNo.1であった、
ライオネル・リッチー「セイ・ユー・セイ・ミー」に代わり、

1986年1月18日付から2月8日付までの4週間No.1となったのが、


ディオンヌ&フレンズ「愛のハーモニー」


元々は1982年の映画「ラブ・IN・ニューヨーク(Night Shift)」の中で、
ロッド・スチュワートによって歌われていた一曲で、
作詞作曲はキャロル・ベイヤー・セイガーとバート・バカラック。

この曲が、バートと旧知の中である、ディオンヌ・ワーウィックに
スティーヴィー・ワンダー、エルトン・ジョン、グラディス・ナイトの4人によって、
新たにレコーディングされ、全米4週間の大ヒットとなりました。

その際、当時まだその治療の発展途上であったAIDSの研究のための助成金として、
女優のエリザベス・テイラーらによって支持された、
「米国エイズ研究財団」へのチャリティーソングとして、
世界中に広く認知されたことでも知られている曲です。


①まさに夢の共演と言える、4人のボーカル(スティーヴィーのハーモニカ付)でのPV。




②その4人が共演した1988年のライブステージから。
 曲後半で、オールスター総登場で、
 作曲者、バート・バカラックをはじめ、
 大先輩アレサ・フランクリンやバリー・マニロウ、
 ホイットニー・ヒューストンなどの姿も見える、超豪華なステージです。




③2000年代初めと思われる、ディオンヌ、スティーヴィーと、
 ホイットニー・ヒューストン、ルーサー・ヴァンドロスの4人によるステージ。
 ホイットニーとルーサーを偲ぶ動画として投稿されていました。



☆Dionne & Friends "That's What Friends Are For" from the album "Friends"
 1986年Billboard Hot100 最高位1位(1/18-2/8付の4週間)


(Dionne)
And I never thought I'd feel this way
And as far as I'm concerned
I'm glad I got the chance to say
That I do believe I love you

>> こんな風に感じたことはなかったわ
>> 私がこうしていればずっと
>> こう言うチャンスがあるっていうことがうれしいの
>> あなたを愛していると信じていられることを

And if I should ever go away
Well, then close your eyes and try to feel
The way we do today
And then if you can remember

>> そしてもし私がここを離れてしまっても
>> あなたの瞳を閉じて感じてみてほしいの
>> 私たちが今日するべきことを
>> あなたがずっと覚えていられるならば

Keep smilin', keep shinin'
Knowin' you can always count on me, for sure
That's what friends are for
For good times and bad times
I'll be on your side forever more
That's what friends are for

>> 微笑み続けて、輝き続けて
>> 確かに、あなたは私をいつでも頼りにできるってわかってほしいの
>> 友だちってそういうものでしょう
>> いい時も辛い時も
>> 私は永遠にずっとあなたの味方でいるでしょう
>> それが友達というものだから

(Stevie)
Well, you came and opened me
And now there's so much more I see
And so by the way I thank you

>> そうさ、君がこうやって来て、ボクの心を開いてくれた
>> そして今、目に見えるもの以上のものがここにあるんだ
>> とにかく君には感謝でいっぱいさ

(Elton)
Whoa, and then for the times when we're apart
Well, then close your eyes and know
These words are comin' from my heart
And then if you can remember, oh

>> おお、そしてボクらが離れ離れで過ごしているときは
>> そうだよ、瞳を閉じて思い浮かべるんだ
>> これらの言葉はボクの心の中から生まれたものだから
>> もし君が覚えていられるならね

(Stevie)
Keep smiling, keep shining
Knowing you can always count on me, for sure
That's what friends are for
In good times, in bad times
I'll be on your side forever more
Oh, that's what friends are for

>> 微笑み続けて、輝き続けて
>> 確かに、君はボクをいつでも頼りにできるってわかってほしいんだ
>> 友だちってそういうものだろう
>> いい時も悪い時も
>> ボクは永遠にずっと君の味方でいるだろう
>> それが友達というものだから

(Gladys)
Whoa... oh... oh... keep smilin', keep shinin'
Knowin' you can always count on me, for sure
That's what friends are for
For good times and bad times
I'll be on your side forever more
That's what friends are for

>> おお・・・微笑み続けて、輝き続けて
>> 確かに、あなたは私をいつでも頼りにできるってわかってほしいの
>> 友だちってそういうものでしょう
>> いい時も辛い時も
>> 私は永遠にずっとあなたの味方でいるでしょう
>> それが友達というものだから

(Elton / Friends chorus)
Keep smilin', keep shinin'
Knowin' you can always count on me, oh, for sure
'Cause I tell you that's what friends are for
For good times and for bad times
I'll be on your side forever more
That's what friends are for (That's what friends are for)

>> 微笑み続けて、輝き続けて
>> 確かに、あなたは私をいつでも頼りにできるってわかってほしいの
>> だって友だちってそういうものだって言ってるだろう
>> いい時も辛い時も
>> 私は永遠にずっとあなたの味方でいるでしょう
>> それが友達というものだから(それが友達というものだから)

(Dionne & Friends)
On me, for sure
That's what friends are for
Keep smilin', keep shinin'

>> 私よ、確かに
>> 友だちってそういうものよね
>> 微笑み続けて、輝き続けて


わかりやすいメロディーと、力強くやさしいメッセージ。
そして、この4人だからこその各パートの個性とハーモニーの聴ける、
80年代を代表する名曲の一つですね。


先にも書いた通り、この曲はもともと、
映画「ラブ・IN・ニューヨーク(Night Shift)」の中で、
ロッド・スチュワートによって歌われている曲なのです。



この映画サントラのプロデュースがバート・バカラックであり、
彼にとっての80年代以降のソングライティングパートナーであり、
一時妻でもあった、キャロル・ベイヤー・セイガーとの作品なのです。

一聴しても、彼らしい優しくもメリハリの利いた、
素晴らしいメロディーですよね。

ロッドも、現在の彼ならきっと似合う曲なのでしょうが、
当時のロッドは、まだセクシーバリバリの兄貴といった感じで、
今ひとつこの曲にはあってなかったのかもしれません。

ディオンヌ・ワーウィックとバート・バカラックは、
そもそも60年代後半から70年代前半にかけての、
彼女を象徴するシンガーとソングライターのコンビで、
当時のバカラックのソングライティングパートナーと言えば、
昨年惜しくも他界したハル・デイヴィッドでした。

そんなバカラックも70年代にはヒット曲に恵まれず、
ハル・デイヴィッドとのコンビを解消し、
そのことが原因で、ディオンヌとも疎遠になってしまいます。

80年代に入り、新しいソングライティングパートナーであり、
82年には結婚した、キャロル・ベイヤー・セイガーとのコンビで、
再びヒット曲を次々と生み出していきました。

その代表格が、映画「ミスター・アーサー(Mr.Arthur)」主題歌である、
クリストファー・クロスの全米No.1ヒット、
「ニューヨーク・シティ・セレナーデ(Arthur's Theme(Best That You Can Do))」
(クリストファー・クロス、ピーター・アレンとも共作)。

そして、ニール・ダイアモンドの「ハートライト(Heartlight)」も、
このコンビ(ニール・ダイアモンドも共作)による作品です。

一方で、やはり70年代には一時不振に陥っていたディオンヌも、
バリー・マニロウやビージーズ、ルーサー・ヴァンドロスといった
シンガーソングライター仲間たちによって、
80年代に入り、再び輝きを取り戻していたところで、

1985年のディオンヌのアルバム、
「ウィズアウト・オブ・ユア・ラブ(Finder Of Lost Loves)」より、
再び、バカラックとのコンビ復活となったのです。

このアルバムで、初めてスティーヴィー・ワンダーとの共演が実現し、
(実際には、スティーヴィーのサントラアルバム「ウーマン・イン・レッド」での
共演がある)

そのタイミングで、バカラックがかつて作った「愛のハーモニー」を
ディオンヌとスティーヴィーの二人にデュエットさせようと提案し、
二人も了承したことが、このレコードが生まれるきっかけでした。

さらに、バカラックの友人である、エリザベス・テイラーが、
80年代当時、まだその原因や治療法が十分検証、確立されておらず、
偏見も手伝って、大きな社会問題となっていたAIDSの問題に
真剣に取り組んでいることから、
この曲をチャリティー曲としてはどうかというアイデアとしても了承され、
その収益を、
「米国AIDS研究財団(American Foundation for AIDS Reserch(AMFER))」
に寄付するという形になりました。


レコーディングには、さらにディオンヌの友人である、
グラディス・ナイト&ザ・ピップスのリードボーカルである、
グラディス・ナイトが呼ばれ、
さらに、曲に力強さを加えるボーカルとして、エルトン・ジョンが参加し、
この4人でディオンヌ&フレンズというユニットとして歌われたのでした。

この曲は、1985年の暮れにリリースされた、
ディオンヌのアルバム「フレンズ(Friends)」にも収録されていますが、
彼らのこの歌唱が、1986年のグラミー賞の最優秀楽曲賞を受賞し、
曲そのものも、1986年の年間No.1となる大ヒットを記録しました。

この曲の成功は、単にすぐれたヒット曲が生まれたというだけでなく、
後のAIDSの研究費として寄付されたチャリティーソングとして、
後の研究開発の援助となったとともに、
AIDSに対しての偏見をなくし、同じ世界に生きる友として、
共に歩んでいこうという、相互理解の精神を伝えていった功績もあったと思います。

2011年2月にAMFERの設立25周年を記念して、
この4人で再び集まり、ニューヨークでチャリティーとして、
再びこの曲が演奏されたのでした。


次回「'86 US No.1」シリーズは、2月15日の予定。

そのディオンヌのいとこであり、②③の動画にも登場している彼女の、
前作に続く2曲連続のNo.1ヒット。
こちらは、華やかなダンスポップナンバーです。


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