いよいよ、2012年も残り3日たらずとなってしまいました。


社会的にも、音楽界にもいろいろなことが多かった2012年でしたが、
今回と、12月31日の2回で、今年の音楽を振り返っていきたいと思います。


まず今回は、今年のアメリカのミュージックシーンを、
Billboardマガジンの年間チャートを中心に、
ヒットナンバーを紹介していきたいと思います。


2012年のBillboard Hot100では、
13曲の全米No.1ヒットが生まれました。

<2012年、Billboard Hot100 No.1ソングリスト>

◎LMFAO「セクシー・アンド・アイ・ノウ・イット(Sexy And I Know It)」
 1/7,14付(2週間)
◎リアーナ「ウィ・ファウンド・ラブ ft. カルヴィン・ハリス(We Found Love)」
1/21,28付(2週間)(2011/11/12~12/31付(8週間))
◎アデル「セット・ファイア・トゥ・ザ・レイン(Set Fire To The Rain)」
2/4,11付(2週間)
◎ケリー・クラークソン「ストロンガー(Stronger(What Doesn't Kill You))」
 2/18,25,3/10付(3週間)
◎ケイティ・ペリー「パート・オブ・ミー(Part Of Me)」
 3/3付(1週間)
◎ファン.「伝説のヤングマン~ウィ・アー・ヤング ft. ジャネル・モネイ(We Are Young)」
 3/17~4/21付(6週間)
◎ゴティエ「サムバディ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ノウ~失恋サムバディ feat. キンブラ(Somebody That I Used To Know)」
 4/28~6/16付(8週間)
◎カーリー・レイ・ジェプセン「コール・ミー・メイビー(Call Me Maybe)」
 6/23~8/18付(9週間)
◎フロー・ライダー「情熱のウイッスル(Whistle)」
 8/25,9/15付(2週間)
◎テイラー・スウィフト「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない(We Are Never Ever Getting Back Together)」
 9/1,8,22付(3週間)
◎マルーン5「ワン・モア・ナイト(One More Night)」
 9/29~11/24付(9週間)
◎リアーナ「ダイアモンズ(Diamonds)」
 12/1~15付(3週間)
◎ブルーノ・マーズ「ロックト・アウト・オブ・ヘブン(Locked Out Of Heaven)」
 12/22,29付(2週間)


いずれのナンバーも、日本の洋楽ラジオでもよくオンエアされていたナンバーばかりです。

昨年までの、ハイパーなダンスチューンというよりも、
ポップス、ロック、R&B、カントリーといろいろなタイプの曲が並んでいるのと、
全体に新しい、若いアーティストの台頭が目立つ2012年のヒットチャートでした。

Billboardの年間チャートは、昨年2011年12月から今年2012年11月末までの、
1年間のチャートを集計したもので、

曲単位のCDセールス、ダウンロード数、ラジオオンエア数をもとに集計される、
Billboard Hot100と、
アルバムのCDセールス、ダウンロード数をもとに集計される、
Billboard Top200の二つのチャートをもとにしています。


今年は、まずこのBillboardの主要年間チャートをコンパクトにまとめた
動画から紹介します。

◎Billboard 2012 Year-End Chart
 ・Top Artists (Top5):Hot100とTop200の両方を集計した、
  まさに2012年を代表するアーティストTop5
 ・Top New Artists (Top5):Top Artistsの中で、
  今年の新人アーティストのみを集計したTop5
 ・Hot100 Songs (Top10):Billboard Hot100の年間チャート。
  今年を代表する10曲
 ・Top Radio Songs (Top5);ラジオオンエアチャートである、
  Top Radio Songsの曲を集計したTop5
 ・Top Radio Song Artists (Top5):Top Radio Songの
  アーティストを集計したTop5




さらに、お時間とおヒマのある方は(笑)、
昨年同様、今年のBillboard Hot100 Songsの100曲を、
ダイジェストした、この動画もご覧ください(40分以上あります)




よく見ていると、例年通りカントリーとラップ、ダンスものもかなり目立つものの、
昨年までは全く不振だったロック系のナンバーや、
ポップでわかりやすいナンバーもかなり増えてきていることがわかります。

そして特徴的なのは、日本同様、アイドルポップスが増えていること。
ワン・ダイレクションやザ・ウォンテッド、カーリー・レイ・ジェプセン、
テイラー・スウィフト・・・と、ヤングポップスへの回帰が起こってるのかなと
思わせるメンバーがそろっています。


ということで、Billboard Hot100年間チャートから、
Top5ナンバーを紹介していきたいと思います。


⑤エリー・ゴールディング「ライツ」



☆Ellie Goulding "Lights" from the album "Halcyon (Bonus Track)"
 2012年Billboard Hot100 最高位2位

毎週のHot100のチャートをチェックしていて、
年間チャートでは、台風の目になりそうだなと思っていたのが、
この曲でした。

イギリス・ハートフォードシャー出身で、
明日30日で26歳になる、シンガーソングライター。
2010年にアルバム「ライツ(Lights)」でデビューし、
独特の感性の光るポップナンバーで、
イギリスでアイドル的人気も誇る女性シンガー。

ファーストアルバムのアディショナル盤として2011年にリリースされた、
「ブライト・ライツ(Bright Lights)」に、
イギリスでのシングルバージョンとして最初に収録されたのが、
この「ライツ」という曲で、
今年リリースのセカンドアルバム「ハルシオン(Halcyon)」にも、
ボーナストラックで入っています。

昨年暮れからアメリカでこの曲が話題となり、最高位2位ながら、
実にHot100チャートイン51週間のロングヒットで、
見事年間チャートNo.5となりました。


④マルーン5「ペイフォン feat. ウィズ・カリファ」



☆Maroon5 featuring Wiz Khalifa "Payphone" from the album "Overexposed"
 2012年Billboard Hot100 最高位2位

リリースのたびに、大ヒットを連発しているマルーン5が、
今年春にリリースした4枚目のオリジナルアルバム、
「オーヴァーエクスポーズド(Overexposed)」からのファーストシングルで、

ラッパーのウィズ・カリファをフィーチャーしたポップナンバーで、
PVの派手な銃撃戦とカーチェイスシーンでも話題になりました。

Hot100では、ちょうどゴティエとカーリー・レイ・ジェプセンに、
No.1を阻止されてしまい、6週間の最高位2位にとどまったものの、
ロングヒットを記録し、年間Top4となりました。

セカンドシングルの「ワン・モア・ナイト(One More Night)」が、
90年代のエイス・オブ・ベイスを思わせるようなポップレゲエナンバーで、
こちらは9月末から11月末まで、カーリー・レイ・ジェプセンと並ぶ、
9週連続No.1を記録しているものの、Hot100チャートイン週数の関係で、
年間チャートでは18位となっています。
(ちなみに、この曲にNo.1を阻まれ、7週間2位だったのが、
PSYの「江南スタイル(Gangnam Style)」だったんですよね)

今年10月には、一夜限りの武道館公演も大成功に終わり、
変わらず絶好調の彼らの2012年でした。


③ファン.「伝説のヤングマン~ウィ・アー・ヤング feat. ジャネル・モネイ」



☆Fun. featuring Janelle Monei "We Are Young" from the album "Some Nights"
 2012年Billboard Hot100 最高位1位(3/17~4/21付の6週間)

ニューヨークで2008年に結成された、今年最大の話題のロックトリオ。
今年リリースされたセカンドアルバム「サム・ナイツ~蒼い夜(Some Nights)」
からのファーストシングルで、

2月に行われた「スーパーボウル」のTV中継中、
シボレーのCMとして使われ、繰り返しオンエアされたことで話題となり、
無名バンドから、一気に全米No.1へと登りつめました。

ボーカルのネイト・ルイスのエモーショナルなボーカルと、
クイーンを思わせるドラマチックなロックサウンドで、
アルバムの方も大ヒットを記録し、
セカンドシングルの「サム・ナイツ(Some Nights)」も、
最高位3位の大ヒットを記録しています。

来年2月に開催される、グラミー賞で、主要4部門を含む、
最多6部門にノミネートされています。

ボク自身も、今年印象に残った曲でもあるので、
グラミーの折には、再度この曲をじっくり紹介したいと思います。


②カーリー・レイ・ジェプセン「コール・ミー・メイビー」



☆Carly Rae Jepsen "Call Me Maybe" from the album "Kiss"
 2012年Billboard Hot100 最高位1位(6/23~8/18付の9週間)

9月19日のブログで、すでに紹介済みのこの曲。

ジャスティン・ビーバーがこの曲を気に入り、ラジオから火をつけたことで、
今年最長の9週間No.1を記録したこの曲は、
アルバム「Kiss」ともども、いいタイミングでの来日プロモーション効果もあって、
日本でも大ヒットを記録しました。

彼女に関しては、あさって31日のブログでも、取り上げる予定です。



そして、2012年、年間Hot100のNo.1となった曲は、

ゴティエ「サムバディ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ノウ~失恋サムバディ feat. キンブラ」


ベルギー生まれ、オーストラリア在住のシンガーソングライター。

独特の感性と個性的ボーカルとサウンドで、
ロックともポップスともダンスミュージックとも分けづらい、
耳に貼りつくようなインパクトあるサウンドで、
男女間の別れの際に生じている苛立ちや悲しみを表現したナンバーです。


①ちょっと気持ち悪いとの声もある、話題をさらったアーティスティックなPV。




②2011年のオーストラリアの音楽賞「ARIAアワード」でのステージから。



☆Gotye featuring Kimbra "Somebody That I Used To Know)」
from the album "Making Mirrors"
2012年Billboard Hot100 最高位1位(4/28~6/16付の8週間)


[Gotye part: ]
Now and then I think of when we were together
Like when you said you felt so happy you could die
Told myself that you were right for me
But felt so lonely in your company
But that was love and it's an ache I still remember

>> ずっとボクらが一緒だったときのことを考えているんだ
>> こんなに幸せで死んじゃうかもなんてこと君は言ってたよね
>> だから君がそう言うのは正しいんだって自分に言い聞かせてた
>> でも君の居場所ではずっと孤独だった
>> でもそれは愛で、今でもずっと痛みを伴っているんだ

You can get addicted to a certain kind of sadness
Like resignation to the end, always the end
So when we found that we could not make sense
Well you said that we would still be friends
But I'll admit that I was glad it was over

>> 君はある種のかなしみに溺れようとする
>> 破局へのあきらめというか、いやもう終わってるよね
>> だからボクらこうしていても仕方ないとわかった途端
>> 私たち良い友達でいましょうなんて言うんだよね
>> いやボクは終わったことを喜ぶべきなのだろうね

But you didn't have to cut me off
Make out like it never happened and that we were nothing
And I don't even need your love
But you treat me like a stranger and that feels so rough
No you didn't have to stoop so low
Have your friends collect your records and then change your number
I guess that I don't need that though
Now you're just somebody that I used to know

>> でも君はボクを切り捨てる必要があったの?
>> 何も起こらなかったばかりか、最初からボクらの関係なんてなかったことにしているよね
>> もう君の愛なんて必要はないさ
>> でもそんなに他人みたいに邪険に扱うってどういうこと?
>> ねえ君はそんなに逃げ隠れする必要あるの?
>> 君のレコードを取りに君の友達を遣したり、電話番号まで変えたんだね
>> そんなことまでする必要あるのかな?
>> もう君は単なる昔の知り合いに過ぎないんだね

Now you're just somebody that I used to know
Now you're just somebody that I used to know

>> もう君は単なる昔の知り合いに過ぎないんだね
>> どこかで出会ったことがあるような誰かに過ぎないんだね

[Kimbra part:]
Now and then I think of all the times you screwed me over
But had me believing it was always something that I'd done
But I don't wanna live that way
Reading into every word you say
You said that you could let it go
And I wouldn't catch you hung up on somebody that you used to know

>> ずっと私はあなたに騙され続けた日々のことを考えているわ
>> でもそれは自分がいけなかったんだってずっと信じるようにしていた
>> でも私はそんな生き方したくないから
>> あなたの言う言葉一つ一つを聞き入れてきたつもりよ
>> あなたはもうどこにだっていけるさって言ったわね
>> だから私の知っていた誰かに引き止められないようにするつもりよ

[Gotye:]
But you didn't have to cut me off
Make out like it never happened and that we were nothing
And I don't even need your love
But you treat me like a stranger and that feels so rough
No you didn't have to stoop so low
Have your friends collect your records and then change your number
I guess that I don't need that though
Now you're just somebody that I used to know

>> でも君はボクを切り捨てる必要があったの?
>> 何も起こらなかったばかりか、最初からボクらの関係なんてなかったことにしているよね
>> もう君の愛なんて必要はないさ
>> でもそんなに他人みたいに邪険に扱うってどういうこと?
>> ねえ君はそんなに逃げ隠れする必要あるの?
>> 君のレコードを取りに君の友達を遣したり、電話番号まで変えたんだね
>> そんなことまでする必要あるのかな?
>> もう君は単なる昔の知り合いに過ぎないんだね

Somebody
(I used to know)
Somebody
(Now you're just somebody that I used to know)
Somebody
(I used to know)
Somebody
(Now you're just somebody that I used to know)

>> 誰かに
>> (ボクの知っていた)
>> 誰かに
>> (もう君は単なる昔の知り合いに過ぎないんだね)
>> 誰かに
>> (ボクの知っていた)
>> 誰かに
>> (もう君は単なる昔の知り合いに過ぎないんだね)

(I used to know)
(That I used to know)
(I used to know)
Somebody

>> (ボクの知っていた)
>> (単なる知り合いに)
>> (ボクの知っていた)
>> どこかの誰かに


シンセの音が中心のようにも思えるのだけど、
②のライブ映像でもわかるように、ドラムスやギターも繊細に使われていて、
細やかさとしっかりした音作りがされている曲なんですよね。

ボーカルもなんとなくボソボソと歌ったかと思うと、
イラつき気味に高音をあげたりと、不思議な魅力があって、
これまでの全米の年間No.1とは、
明らかに異なる個性を持ったナンバーだと思います。

詞は見ての通りで、
別れ際の男のあきらめの悪さとか、いじましさとか、
女側の言い訳とかをセリフ調に歌っていて、

聴いていて、決して気持ちのいいタイプの曲ではないけど、
間違いなく、今年を思い出す耳に残るナンバーだと思います。

それにしても、この邦題は・・・
(トシちゃんじゃないんだから)。

ファン.の「伝説のヤングマン」とか、
フロー・ライダーの「情熱のウィッスル」
(アルバムは「俺たちワイルドワンズ」)なんて、
70年代、80年代を髣髴とさせる日本タイトルが、
ずいぶんありましたね。
テイラー・スウィフトの「私たち絶対に絶対にヨリを戻したりしない」なんて、
すごい直訳まんまの邦題もありましたが^^;


本名、ウーター・デ・バッカーというゴティエは、
1980年生まれで今年32歳。
出生地はベルギーのブルージュで、オランダ系ベルギー人のようですね。
2歳の時に、オーストラリアのメルボルンに移住し、
ピアノとドラムスを中心にあらゆる楽器をプレイできる才能を
10代のうちに身に着けているようです。

2001年21歳の時に、自主制作でCDを作成し、
その時に、フランス語的な名前であるゴティエというアーティスト名で、
活動を始めます。
このころ、まだ学生だったゴティエは、大学で日本語を専攻していて、
今年の夏にサマーソニックで来日した折には、
テレビなどでも流暢な日本語を披露していたほどです。

2003年にファーストアルバム「Boardface」をオーストラリア国内でリリース。
2006年のセカンドアルバム「Like Drawing Blood」が、
オーストラリアでダブルミリオンの大ヒットを記録します。

そこから5年ちょっと間をあけてリリースされた、3枚目のアルバム、
「メイキング・ミラーズ(Making Mirrors)」で、
世界的にデビューを果たし、この曲が8週間全米でNo.1を記録し、
見事、今年を代表する年間No.1ヒットを記録しました。

そのNo.1となるきっかけの一つとなったのが、
おなじみTVシリーズ「GLEE」で使われたことです。


動画はおそらくアップできないと思われるので、
音源のみですが、こちらで聴けます。




オリジナルでは、ニュージーランドの女性シンガー、キンブラが、
言い訳がましい女性役でこの曲に見事なカラミを入れていますが、
「GLEE」では、ダレン・クリスと彼の兄役でゲスト出演した、
マット・ボマーがこの曲を歌っています。
(見た人、フォローよろしく)


来年には単独での来日公演も予定されています。

この曲もグラミー賞では3部門ノミネートをしており、
できれば、続くヒットが欲しいところですが、
今のところ、ヒット曲としてはこの曲1曲のみで、
今後、新たな展開を期待したいところです。


最後に、今年の年間アルバムチャート、
Billboard 200から、Top5の紹介です。

1.アデル「21」
2.マイケル・ブーブレ「クリスマス(Christmas)」
3.ドレイク「テイク・ケア(Take Care)」
4.テイラー・スウィフト「レッド(Red)」
5.ワン・ダイレクション「アップ・オール・ナイト(Up All Night)」

アデルの「21」が実に2年連続で、年間アルバムチャートNo.1を記録しました。
グラミー賞効果もあったし、2年間チャート上位からほとんど落ちてなかったですしね。

びっくりなのは、2位のマイケル・ブーブレのクリスマスアルバム。
短期間ですが、驚異的売り上げを記録しているようです。

ワン・ダイレクションは、すごいですね。
ロンドンオリンピック効果もあったのかもしれませんが、
世界的なイギリスのボーイズグループとして、
一気にブレイクした感があります。


さて、次回大晦日31日は、
2012年の音楽シーンを振り返り、
色んな出来事とともに、
印象に残ったナンバーなどを紹介していきたいと思います。