今年は、1985年の全米No.1ヒットに注目して、
おおよそその曲がNo.1を記録した日付に合わせて、
曲を紹介してきました。


前回、1985年12月7日と14日付の2週間No.1だった、
Mr.ミスターの「ブロウクン・ウィングス」に代わり、
1985年12月21日付から1986年1月11日付の4週間、
この年最後の全米No.1ヒットとなったのが、


ライオネル・リッチー「セイ・ユー・セイ・ミー」


前々回のUS No.1(24)の、
フィル・コリンズ&マリリン・マーティンの
セパレイト・ライブス(Separate Lives)」(2012.12.2)
と同じく、

テイラー・ハックフォード監督、
ミハイル・バリシニコフ、グレゴリー・ハインズ主演の映画、
「ホワイトナイツ/白夜(White Nights)」に使われた曲で、
信じることの大切さを言葉に発していこうという、
力強いメッセージの込められたナンバーで、


この曲が実質的映画主題歌ですが、
「ホワイトナイツ」のサントラには収録されず、
翌年にリリースされる、ライオネルのアルバム、
「セイ・ユー・セイ・ミー(Dancing On The Ceiling)」からの
先行ファーストシングルという形になっています。


①「セパレイト・ライブス」よりも大胆に映画シーンを盛り込んでいるPV。
 曲のイメージと同じくドラマチックな作りになっています。




②年代がわかりませんが、近年のライブビデオからの映像のようです。
 



③人気テレビ番組「デヴィッド・レターメンショー」の中で、
 今年話題となった、カントリー系のアーティストとのコラボによる
 セルフカバーアルバムでこの曲で共演した、カントリーシンガーの
 ジェイソン・アルディーンとのステージから。



☆Lionel Richie "Say You Say Me" from the album "Dancing On The Ceiling"
 1985~1986年Billboard Hot100 最高位1位(1985/12/21付~1986/1/11付


Say you, say me; say it for always
That's the way it should be
Say you, say me; say it together
Naturally

>> ほら君が、そうボクが、ずっとこう言い続けていくんだ
>> そうやって生きていくべきなんだ
>> ほら君が、そうボクが、ともに言い続けていくんだ
>> 気兼ねなどないようにね

I had a dream I had an awesome dream
People in the park playing games in the dark
And what they played was a masquerade
And from behind of walls of doubt a voice was crying out

>> 夢を見たんだ、恐ろしい夢を
>> 公園にいる人たちが暗闇の中で何かしている
>> それは何かって仮面舞踏会のようで
>> 見えない壁の後ろから泣き叫ぶ声が聞こえているんだ

Say you, say me; say it for always
That's the way it should be
Say you, say me; say it together
Naturally

>> ほら君が、そうボクが、ずっとこう言い続けていくんだ
>> そうやって生きていくべきなんだ
>> ほら君が、そうボクが、ともに言い続けていくんだ
>> 気兼ねなどないようにね

As we go down life's lonesome highway
Seems the hardest thing to do is to find a friend or two
A helping hand - Some one who understands
That when you feel you've lost your way
You've got some one there to say "I'll show you"

>> ボクらが進んでいく人生って孤独なハイウェイのようなもの
>> 友だちを一人二人見つけることってとてもつらいことに思えるよね
>> でもそんな君のことをわかってくれる誰かが差し伸べてくれる手があるんだ
>> そう、君が行く道を閉ざされたんじゃないかって思っていても
>> 「ボクが教えてあげるよ」って言ってくれる誰かを見つけたことになるんだよ

Say you, say me; say it for always
That's the way it should be
Say you, say me; say it together
Naturally

>> ほら君が、そうボクが、ずっとこう言い続けていくんだ
>> そうやって生きていくべきなんだ
>> ほら君が、そうボクが、ともに言い続けていくんだ
>> 気兼ねなどないようにね

So you think you know the answers - Oh no
'Cause the whole world has got you dancing
That's right - I'm telling you
It's time to start believing - Oh yes
Believing who you are: You are a shining star

>> 答えはわかっているって思ってないかい、そうじゃないだろ?
>> だってこの世界の中で君は踊っているんだから
>> そうさ、ボクが君に言い続けてるじゃないか
>> 信じることから始めるときなんだ、そうだよ
>> 信じ続けることが君自身のためなんだ、君は輝く星なんだから

Say you, say me; say it for always
That's the way it should be
Say you, say me; say it together
Naturally

>> ほら君が、そうボクが、ずっとこう言い続けていくんだ
>> そうやって生きていくべきなんだ
>> ほら君が、そうボクが、ともに言い続けていくんだ
>> 気兼ねなどないようにね

Say it together
Naturally

>> ともに言い続けていくんだ
>> 気兼ねなどないようにね


Say you, say meと言っている、この"say"は、
後に続くsay it~にかかっているんですが、
全部「言って」「言って」と訳してしまうとしつこいし、
どうも調べていると、"if"的な意味合いとか、
単なる「ねえ」「ほら」といった問いかけの言い回しに
使えばいいようなので、
この詞内では、「ほら君が、そうボクが」と
訳してみました。

あと、最初の仮面舞踏会の一節は何のことやら?
とも思ったんですが、
人が見えないところで体裁などといった仮面をかぶって
生きていることや、
その軋轢に苦しんでいる、「君」の人生のことを
言ってるのかなとも思いました。


映画の件は、前回お話しした通りですが、
フィル・コリンズの時は、
2年以上前にすでに出来上がっていた、
スティーブン・ビショップの曲を取り上げて、
デュエットレコーディングしたのに対して、

この曲は、映画の完成を受けて、
テイラー・ハックフォード監督が、
ライオネル・リッチーへの曲の依頼をしたところ、
ライオネルのマネージャーのケン・クレイガンから、
次に予定しているニューアルバムの曲から、
すでに出来上がっている、この映画にふさわしい曲があると、
この曲を使用することになったのです。

そして、年末から翌年にかけて、
Hot100チャートお休みの週(1986/1/4)も含めて、
4週間の全米No.1ヒットとなりました。

曲のインパクトがこちらの方があったのと、
実質的主題歌であったこともあってか、
翌年のアカデミー賞では、
この曲が最優秀歌曲賞を受賞しています。

ところが、この曲を映画主題歌としてシングルリリースしたものの、
「ホワイトナイツ」サントラのアルバム収録については、
ライオネルの所属レコード会社であるモータウンが、
サントラ発売元のアトランティックレコードへの提供を拒否したため、
これだけの大ヒットであるにもかかわらず、
サントラに収録されないという事態が起きてしまいました。

ライオネルは、この時点で翌年にリリースするオリジナルアルバム、
「セイ・ユー・セイ・ミー」の制作中で、
リリースが結局、翌1986年7月になってしまったのですが、
その時点でのアルバムリリースのことを考えてのことだったのかもしれません。

したがって、この曲がアルバムからの先行ファーストシングルとなり、
さらに、アルバム発売前の1986年6月にはアルバムタイトル曲の、
「ダンシング・オン・ザ・シーリング(Dancing On The Ceiling)」を
先行セカンドシングルとしてリリースし、最高位2位を記録しました。

アルバムは400万枚のセールスを記録しましたが、
3枚目のシングル「愛に抱かれて(Love Will Conquer All)」(9位)
4枚目のシングル「バレリーナ・ガール(Ballerina Girl)」(7位)と続いたものの、

1981年のダイアナ・ロスとのデュエット「エンドレス・ラブ(Endless Love)」
以降、ずっと続けてきたソロでのシングル連続Top10記録が、
5枚目のシングル「セ・ラ(Se La)」(20位)でSTOPしてしまい(計13曲連続)、

それ以降、全米No.1はおろか、Top10ヒットも現時点では出ていない状況でした。

この5年くらいの間に、自らのヒットはもちろんのこと、
ケニー・ロジャースなどのプロデュースや、
「USA For Africa」の参画など、
忙しく音楽業界に関わってきたライオネルが、
ここで一気に疲れを感じて、10年間の休業状態に入ってしまったのでした。

90年代後半以降は、ようやく作品作りを再開して、
3,4年に1枚くらいのペースで、大ヒット曲こそないものの、
マイペースで作品作りとライブを続けてきました。
ご存じのとおり、その間に娘さん(ニコール・リッチー)の
タレントでの活動もありましたね。

そして、何と言っても今年、
かねてから交流の深かったカントリーミュージック界と手を組み、

彼の作品を、カントリー系アーティストとデュエットの形で、
セルフカバーしていく企画アルバム、
「ベストデュエット~タスキーギ(Tuskegee)」がリリースされ、
アルバムとしては、この「セイ・ユー・セイ・ミー」以来の
全米No,1を記録しました。
先ごろ発表された、2012年のBillboard年間アルバム200でも、
堂々の9位に入っています。

このアルバムにおいて、「セイ・ユー・セイ・ミー」は、
北米盤と日本盤では、③のビデオにあるように、
現在カントリー界でも最も人気のある男性シンガーの一人、
ジェイソン・アルディーンとデュエットしています。
また、ヨーロッパ盤では、デンマークのシンガー、
ラスマス・シーバッハとデュエットしています。

このように、このアルバムの収録パターンは、
リリース国によっていくらか違っていて、
日本でも11月にリリースされた日本盤では、
「エンドレス・ラブ」は、
クリスタル・ケイとのデュエットになっています。


1985年のUS No.1ヒットは、
前年引き継ぎのマドンナ「ライク・ア・ヴァージン」を除くと、
全部で26曲。
(「セパレイト・ライブス」以降は、1986年の年間チャート扱い)

この中でワム!「ケアレス・ウィスパー」が、
Billboard Hot100年間No.1を獲得しました。

この企画は、来年1986年の全米No.1ヒットシリーズとして、
来年1月18日からスタートの予定です。

アメリカ、イギリスの4人のスーパースターが、
エリザベス・テイラーの提唱した、
「エイズ・チャリティー」基金のために、
元々はロッド・スチュワートが歌っていたナンバーをカバーし、
大ヒットさせたナンバーです。


さて、もうすぐクリスマスイブですね。

今年も何か素敵なクリスマスソングを紹介したいですね。


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