ちょっと多忙で、秋キュンバラードのアップが遅れてしまいました。


80'sにヒットしたバラードナンバーの中から、
ちょうどこの時期に聴きたい曲をセレクトしてみました。

今回は、1980年に自ら主演した映画の挿入歌として、
全米で大ヒットしたドラマチックなラブソングです。


ニール・ダイアモンド「ラブ・オン・ザ・ロックス」


ブログでは、ボクのAmeba IDの元となっている、
ハートライト(Heartlight)」(2009.10.8)
で、すっかりおなじみ(笑)ですが、

この記事も、もう3年以上も前の、
ブログ開始当初(まだ2回目)の、
ブログで最初に取り上げたナンバーなんですよね。

彼の曲は、その後ブログでは、
UB40の全米No.1ヒット「レッド・レッド・ワイン(Red Red Wine)」を取り上げたり、
バーブラ・ストライサンドやモンキーズなどの記事の際の話題としても
名前が登場していますが、
彼自身の曲としては、今回が2回目の登場なんですよね。


ニール・ダイアモンド自身が主演した映画、
「ジャズ・シンガー(The Jazz Singer)」の中で
映画の核となるシーンで使われた、せつないラブバラードです。

アルバム「ジャズ・シンガー(The Jazz Singer)」は、
サントラ作品ではあるものの、
全編を通して、ニール・ダイアモンドの歌を中心に収められており、
この曲も含めて、3曲のTop10ヒットを生み出した大ヒットアルバムです。


①映画の中で、ニール演じる主人公ジェスが自らの歌を
 スタジオ内で歌ってみるという重要なシーンで使われています。




②①のシーンをもとに作られた、この曲のフルバージョン。




③近年のBBCテレビショー番組でのライブから。
 最近でも精力的にライブ活動を行っており、
 ボーカリストとして全く衰えを見せていない元気なステージぶりです。



☆Neil Diamond "Love On The Rocks"
 from the soundtrack album "The Jazz Singer"
 1980年Billboard Hot100 最高位2位


Love on the rocks ain't no surprise
Pour me a drink,
And I'll tell you some lies
Got nothing to lose
So you just sing the blues, all the time

>> 行き止まりの愛、そう驚くことじゃない
>> ボクののどを潤して
>> そして君にちょっと嘘をつくんだろうね
>> もう失うものなどない
>> だから君はブルースを歌っているんだね、そうやってずっと

Gave you my heart, gave you my soul
You left me alone here
With nothing to hold
Yesterday's gone
Now all I want is a smile

>> ボクの心を、魂を君にあげてきたけど
>> 君はボクをここに一人ぼっちにしてしまった
>> 何も引き止めることもなく
>> 過ぎたことはしかたない
>> 今ボクが欲しいものはただ君の微笑みだけ

First they say they want you
How they really need you
Suddenly you find you're out there
Walking in a storm

>> 最初に彼らは君を求め
>> 君を本当に必要としていたんだ
>> 突然君はここから立ち去って
>> あらしの中を彷徨い歩いている

When they know they have you
Then they really have you
Nothing you can do or say
You've got to leave, just get away
We all know the song

>> 彼らが君を自分のものにしたとき
>> 本当に君を受け入れられていた
>> 君は何もできず、何も言えずに
>> 君はここを離れて、どこかに去ってしまうのか
>> ボクらは皆その歌を知っているというのに

You need what you need
You can say what you want
Not much you can do
When the feeling is gone
May be blue skies above,
But it's cold when your love's on the rocks

>> 君は自分に何が必要かわかっていて
>> 自分が何を欲しがっているか言える
>> 君ができることでは十分じゃない
>> 感情がなくなるとき
>> この空の上は青く澄み渡っているだろう
>> でもこの岩のような君の愛はただ冷たいだけ

First they say they want you
How they really need you
Suddenly you find you're out there
Walking in a storm

>> 最初に彼らは君を求め
>> 君を本当に必要としていたんだ
>> 突然君はここから立ち去って
>> あらしの中を彷徨い歩いている

When they know they have you
Then they really have you
Nothing you can do or say
You've got to leave, just get away
We all know the song

>> 彼らが君を自分のものにしたとき
>> 本当に君を受け入れられていた
>> 君は何もできず、何も言えずに
>> 君はここを離れて、どこかに去ってしまうのか
>> ボクらは皆その歌を知っているというのに

Love on the rocks
Ain't no big surprise
Just pour me a drink
And I'll tell you my lies
Yesterday's gone
Now all I want is a smile.....

>> 行き止まりの愛
>> そんなたいそう驚くことじゃない
>> ただちょっとボクののどを潤して
>> そして君にちょっと嘘をつくんだろうね
>> 過ぎたことはしかたない
>> 今ボクが欲しいものはただ君の微笑みだけ


「love on the rocks」とは、
座礁して行き場を失っている愛のことで、

気持ちが冷めてしまい、彼の元から離れようとする恋人と、
もう一度自分に微笑んでほしい自分との、
接点の見えなくなった愛を歌った、
せつないラブソングです。

彼の歌の魅力は、
やはり彼の声の持つ、ダイナミックさと繊細さ、
しゃがれた強い声を持っていながら、
時に優しく響く暖かさも持ち合わせていると思うんです。

いわゆる昔ながらのアメリカンポップスの王道を歩んでいる人で、
早くからエンターティナーとして、
アメリカンポップスの中心的存在として、
60年代後半から70年代にかけて、
「ソング・サング・ブルー(Song Sung Blue)」や、
バーブラ・ストライサンドとのデュエット、
「愛のたそがれ(You Don't Bring Me A Flower)」の
全米No.1ヒットをはじめとするヒット曲とともに、

ソングライターとして、
モンキーズの「アイム・ア・ビリーバー(I'm A Believer)」や
UB40のカバーで知られる「レッド・レッド・ワイン(Red Red Wine)」などの
多くのヒット曲を手掛けてきました。

そんな彼の曲にぴったり合うミュージシャンとして、
70年代から音楽的交流があったのが、
シャンソン歌手として世界的に知られた、
ジルベール・ベコーでした。

1979年のアルバムタイトル曲である、
「故郷の九月(September Morn)」は、
ニールとジルベールがともに書き、
それぞれでヒットさせたナンバーでした。
(ジルベールの作品タイトルは「C'est en Septembre)」)

「ジャズ・シンガー」のサントラアルバムの中では、
この「ラブ・オン・ザ・ロックス」他5曲で共作しており、
ジルベール自身も「愛の終わりに(L'Amour Est Mort)」として
作品を発表しております。

ニールの声質にフレンチポップスの哀愁がマッチして、
まさに秋にぴったりな曲だと思いませんか?


この曲の使われた「ジャズ・シンガー」という映画は、
元々は、1920年代、世界初のトーキー映画として上映された、
アル・ジョンソン主演の映画「ジャズ・シンガー(The Jazz Singer)」を、
リチャード・フライシャー、シドニー・フューリー監督が、
80年度版にリメイクした作品です。

ニューヨークに住む、ユダヤ人家族の中で育った、
ニール演じるヤッセル・ラビノビッチが、
厳しい戒律を重んじるユダヤ教の父親の元から飛び出し、
ジェス・ロビンの名でポップシンガーとして成功するも、
妻との離婚や周囲との軋轢に苦しみながら、
やがて恋人のもとに戻ってくるというストーリー。

父親役のローレンス・オリビエなどの名優が脇を固め、
映画としてはヒットしたものの、
ニール自身の俳優としての評価はいまいちで、
音楽家としては、この曲がゴールデングローブ賞の
楽曲賞に輝いたものの、
一方で、ゴールデンラズベリー賞の最悪男優賞も
受賞してしまいました。

この曲がBillboard Hot100では最高位2位を記録したほか、
サントラからは他にも、
名バラードである「ハロー・アゲイン(Hello Again)」が6位、
冒頭で歌われる「自由の国アメリカ(America)」が8位と、
シングルカットした3曲がいずれもTop10入りする大ヒットとなっています。



さて、次回は「'85 US No.1」シリーズが間に入りますが、
その「'85 US No.1」の曲も映画挿入歌となった、
ドラマチックなラブバラードで、秋キュンにぴったりのナンバーです。

その次の「秋キュン」ソングでは、
1988年にヒットした黒人女性シンガーによる、
ピアノの音色が美しいラブバラードを紹介したいと思います。


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