このところ、「'85 US No.1」のシリーズばかりが続いて、
なかなか普通に曲を紹介するタイミングがなかったのですが、

秋も深まってきていることだし、
秋に聴きたい心にくるバラード曲を
いくつか取り上げたいなと思い、

途中No.1シリーズははさみつつも、
しばらくこの秋のバラードコレクションでもしたいなと思います。

ブログではこれまでも秋シーズンには、
「秋風の恋」とか「落ち葉のコンチェルト」「落ち葉のメロディ」
など、いずれも実際には秋だの落ち葉などが歌詞に出てこなくても、
秋をイメージさせるバラード曲をいくつも紹介してきました。

なかなか「秋」がタイトルについたり、
歌詞に入り込んできたりする曲はそんなにないと思うので、
今回取り上げるのは、やはり80年代のヒット曲の中から、
心がきゅんとなるようないくつかの曲なのですが、

これまでブログでは意外と取り上げたことのなかったバンドや
アーティストのナンバーが多く入ることになりそうです。


さて、今回は1982年、ちょうど今頃全米でヒットを記録していた、
イーグルスのギター、キーボーディストであり、
リードボーカリストとしても名曲の多い彼のソロヒットから。


グレン・フライ「恋人」


意外ですが、ブログでイーグルス関係やメンバーのソロナンバーなど、
今まで一度も取り上げてなかったんですよね。


イーグルスというと、ドラムスのドン・ヘンリーとともに、
多くのヒット曲でリードボーカルをとっているのがグレン・フライ。


その彼が、イーグルス活動休止宣言のあった1982年に、
初のソロアルバム「ノー・ファン・アラウド(No Fun Aloud)」からの
セカンドシングルで、
グレン・フライ本来の味わいのあるボーカルと、
サックスの響きが印象的なラブバラードです。


①ボーカルシーンをメインに、
 やわらかい雰囲気の曲同様、曲の世界をイメージさせるPV。
 ちゃんとラストに撮影というオチまでついてますが^^;
 シーンでは雪も降ってますね。




②何年のものかはわからないのですが、
 彼の見た目的には90年代以降のものと思われる、
 アイルランド・ダブリンでのライブから。
 バックにTOTOのメンバーが何人かいるように見えます。



☆Glenn Frey "The One You Love" from the album "No Fun Aloud"
 1982年Billboard Hot100 最高位15位


I know you need a friend, someone you can talk to
Who will understand what you're going through
When it comes to love, there's no easy answer
Only you can say what you're gonna do

>> 君は話を聞いてくれる友達がほしいんだね
>> 君に起こっている出来事をわかってくれる友達が
>> それが愛に変わるかどうかなんて簡単にはわからないさ
>> ただ君がどうしたいのか話してくれなくちゃね

I heard you on the phone, you took his number
Said you weren't alone, but you'd call him soon
Isn't he the guy, the guy who left you cryin'?
Isn't he the one who made you blue?

>> 君は電話をかけてたよね、奴の電話番号に
>> 今一人じゃないから、すぐに電話し直すって言ってたよね
>> そいつなんだろ、君を泣かせた奴は?
>> 君を落ち込ませた奴って?

When you remember those nights in his arms
You know you gotta make up your mind

>> 君が彼の腕に抱かれていたあの夜
>> 君は心を決めるべきだったんだよね

Are you gonna stay with the one who loves you
Or are you goin' back to the one you love?
Someone's gonna cry when they know they've lost you
Someone's gonna thank the stars above

>> 君を愛している男とここにいるつもりかい?
>> それとも君が愛している奴のところに行くつもりかい?
>> どちらか一人は君を失って泣くことになるし
>> どちらか一人は星の瞬きに感謝することになるんだ

What you gonna say when he comes over?
There's no easy way to see this through
All the broken dreams, all the disappointment
Oh girl, what you gonna do?

>> 奴が戻ってきたら君はどう弁解するんだい?
>> この状況を見過ごすなんて簡単じゃないと思うよ
>> 夢は潰えて、失望のどん底に
>> ねえ、君はどうしようっていうの?

Your heart keeps sayin' it's just not fair
But still you gotta make up your mind

>> 君の心はこんなことおかしいって言い続けているけど
>> でも今こそ君は心を決めるべきなんだよ

Are you gonna stay with the one who loves you
Or are you goin' back to the one you love?
Someone's gonna cry when they know they've lost you
Someone's gonna thank the stars above

>> 君を愛している男とここにいるつもりかい?
>> それとも君が愛している奴のところに行くつもりかい?
>> どちらか一人は君を失って泣くことになるし
>> どちらか一人は星の瞬きに感謝することになるんだ


彼にもてあそばれ、泣かされているのに、
彼を捨てきれない彼女と、
その彼女の相談相手をしつつも、
本当に好きなのは自分なのだということを、
静かに見守りながらも訴え続けている自分。

それぞれにやりきれない気持ちをかかえた
男と女の心模様を描いたせつない曲ですね。


ボクがイーグルスを聞き出した高校時代というのが、
「ホテル・カリフォルニア(Hotel California)」で頂点を極め、
日本でも大変な人気を誇っていた時期で、
時流に乗る形で聴き始めた感じなのですが、

彼らの曲の魅力がわかりかけてきたのは、
むしろ、この1982年に活動休止宣言により、
実質的に解散状態となり、
グレン・フライとドン・ヘンリーが、
それぞれにソロでヒット曲を出し始めたこのころだったかもしれません。

たぶん昔は、
「ホテル・カリフォルニア」や「呪われた夜」を歌ってるのがドン・ヘンリーで、
「テイク・イット・イージー」や「ニュー・キッド・イン・タウン」を
歌ってるのがグレン・フライというくらいの認識しかなかったと思います。

どちらかというと神経質で、ボーカルに魂を込めるような、
不器用でストイックな印象のあるドン・ヘンリーに対して、
いろいろな楽器をひきこなし、器用で人当たりもよさそうな、
曲の振れ幅も大きいように思えるのがグレン・フライという
印象はずっと持ち続けています。

ご存知の方も多いと思いますが、
イーグルスはドン・ヘンリーとグレン・フライが中心となり、
リンダ・ロンシュタットのバックバンドという形で集まった
ドン、グレン、そしてバーニー・レドン、ドン・フェルダーの4人によって
結成されたバンドで、

後にメンバーチェンジにより、ジョー・ウォルシュや、
ティモシー・B・シュミットが参加したのちも、
それぞれのメンバーがソロボーカルとしての作品を持ち、
さらにハーモニーが重要視された、
まさにボーカルバンドなのです。

グレン・フライは、1948年デトロイト生まれで今年64歳。
1971年にバンドリーダーとして、
ドン・ヘンリーとイーグルスを結成し、
アサイラムレコードからデビューして以降、
約10年の間に6枚のオリジナルアルバムと、
ベスト盤2枚、ライブ盤1枚をリリース。

その間、
「テイク・イット・イージー(Take It Easy)」
「いつわりの瞳(Lyin' Eyes)」
「ニュー・キッド・イン・タウン(New Kid In Town)」
「ハートエイク・トゥナイト(Heartache Tonight)」などの
ヒット曲でリードボーカルをとっています。

「ホテル・カリフォルニア」の大ヒットを頂点に、
バンド自体の膨張化、メンバー間の軋轢が大きくなり、
とりわけ長く一緒にやってきたドン・ヘンリーとの関係が
悪化してきた80年代前半、

まさに意を決してソロアルバムリリースをしたのが、
グレン・フライでした。

1982年のファーストアルバム、
「ノー・ファン・アラウド」から、
ファーストシングルの
「アイ・ファウンド・サムバディ(I Found Somebody)」は、
やはりサックスの印象的なロッカバラードで、
いくらかイーグルス色の出ている曲でしたが、

この「恋人」は、
サウンドとともに彼自身のボーカルも抑え気味で、
詞の持つ世界観が伝わる名曲だと思います。

彼のネームバリューにしては、
シングルとしてのHot100最高位が、
それぞれ31位、15位と、イマイチな感じでしたが、
大人のボーカルアルバムとして、
素晴らしいものだと思います。

同じ年にやや遅れてソロアルバム、
「アイ・キャント・スタンド・スティル(I Can't Stand Still)」
を発表したドン・ヘンリーは、
まさにタイプの違う彼らしい焦燥感や、社会への不満を募らせた
ロックアルバムを作り上げヒットを記録しました。

グレンは、1984年にセカンド・ソロアルバム、
「オールナイター(The Allnighter)」をリリース。
その後、大ヒット映画「ビバリーヒルズ・コップ」の挿入歌、
「ヒート・イズ・オン(The Heat Is On)」が、
Hot100で最高位2位の大ヒットを記録します。

先日のブログで取り上げた、TVドラマシリーズ、
「マイアミバイス」のサントラでの、
「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ(You Belong To The City)」も
最高位2位を記録しており、

さらに元々は「オールナイター」のアルバム収録曲であった、
「スマグラーズ・ブルース(Smuggler's Blues)」が、
この「マイアミバイス」のドラマ中の1話として取り上げられ、
グレン自身が俳優としてこのドラマに出演するなど、

彼のイメージは、
むしろこういうサントラヒットでとらえられている部分が大きいかも
しれません。

これまでに5枚のソロアルバムをリリースしていますが、
最新作が、20年ぶりに今年2012年にリリースされた、
「アフター・アワーズ(After Hours)」。

この作品も含め、
むしろソウルフルで温かみのあるボーカルと、
大人のロックサウンドを聴かせてくれるのが、
グレン・フライの魅力だと思います。


イーグルスとしても、1994年に再結成後には、
これまでに2枚のアルバムと、
3回のワールドツアーを行っていて、

ボクは、1995年の「ヘル・フリーゼズ・オーヴァー」ツアーと、
2004年の「フェアウェル・ツアー」を
東京ドームで見ています。
(フェアウェルにはならなかったですが)

2004年の時は、
ちょうど小田原から仕事終わりで東京ドームに駆けつけたのですが、
このツアーでのオープニングで演奏された、
アコースティックギターのみでの「ホテル・カリフォルニア」には
間に合わず、
何曲か聴き逃して残念な想いをした覚えがありますね。


さて、次回は、
おそらく「'85 US No.1」シリーズをはさんで、
ボクのアメーバIDの元となっている
「ハートライト」でおなじみのシンガーが、
1980年、彼自身が主演した映画の挿入歌として、
全米No.1ヒットとなった、
ラブバラードを紹介します。


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