前週に引き続き、1985年の全米No.1ヒットシリーズです。


前回、1985年10月26日付でNo.1だった、
ホイットニー・ヒューストン「すべてをあなたに」に代わり、
1985年11月2日付でNo.1となった曲は、


スティーヴィー・ワンダー「パートタイム・ラヴァー」


ブログでは、「ウィ・アー・ザ・ワールド」を除き、
ソロでは、前回の全米No.1ヒット、
心の愛(I Just Called To Say I Love You)」(2011.10.13)
以来の登場。


オリジナルアルバムとしては1980年の
「ホッター・ザン・ジュライ(Hotter Than July)」以来となる20枚目。
間にベストアルバムと映画「ウーマン・イン・レッド」のサントラをはさみ、
1985年に発売された20枚目となる、
「イン・スクエア・サークル(In Square Circle)」からの
ファーストシングル。

浮気相手の女性とのいけない恋の気分を歌った
軽快なダンスポップナンバー。
彼にとっては、ポール・マッカートニーとのデュエットも含むと、
9曲目の全米No.1ヒットとなり、
日本でも大変なヒットとなりました。


①コンサートライブのシーンをメインに、
 詞の世界そのままの二組の夫婦の男女それぞれの、
 パートタイムラブを描いたPV。




②ちょうどこの曲が全米No.1となった1985年11月初旬、
 後楽園球場で行われた来日公演ライブステージ。




③2008年のロンドンでのライブから。
 


☆Stevie Wonder "Part Time Lover" from the album "In Square Circle"
 1985年Billboard Hot100 最高位1位(11/2付)


Call up, ring once, hang up the phone
To let me know you made it home
Don't want nothing to be wrong with part-time lover
If she isn't with me I'll blink the lights
To let you know tonight's the night
For me and you my part-time lover

>> 電話のベルが1回だけ鳴って切れたなら
>> 君が家に着いたって合図なんだ
>> とんでもないことなど起こってほしくないんだよ、パートタイムラヴァーにはね
>> 彼女が一緒にいないときにライトを点滅させるよ
>> それが君に今夜は大丈夫って知らせる合図さ
>> ボクと君、一夜の恋人同士さ

We are undercover passion on the run
Chasing love up against the sun
We are strangers by day, lovers by night
Knowing it's so wrong, but feeling so right

>> ボクら表にできない情熱で駆け抜け
>> 太陽に背を向けて恋を追い求めている
>> ボクら昼間は他人同士、でも夜は恋人同士
>> それがいけないこととわかってても、たまらない気分なのさ

If I'm with friends and we should meet
Just pass me by, don't even speak
Know the word's "discreet" with part-time lovers
But if there's some emergency
Have a male friend to ask for me
So then she won't peek its really you my part-time lover

>> もしボクが友達といるときに君と出会ってしまっても
>> ただ通り過ぎるだけ、話さえ交わさない
>> 「慎重」という言葉が大事なのさ、ボクらパートタイムラヴァーズには
>> でも何か危険なことが起こったなら
>> 男友達と一緒にボクをたずねてくるんだ
>> そうすれば彼女は君のことボクの浮気相手なんて思わないだろうからさ

We are undercover passion on the run
Chasing love up against the sun
We are strangers by day, lovers by night
Knowing it's so wrong, but feeling so right

>> ボクら表にできない情熱で駆け抜け
>> 太陽に背を向けて恋を追い求めている
>> ボクら昼間は他人同士、でも夜は恋人同士
>> それがいけないこととわかってても、たまらない気分なのさ

We are undercover passion on the run
Chasing love up against the sun
We are strangers by day, lovers by night
Knowing it's so wrong, but feeling so right

>> ボクら表にできない情熱で駆け抜け
>> 太陽に背を向けて恋を追い求めている
>> ボクら昼間は他人同士、でも夜は恋人同士
>> それがいけないこととわかってても、たまらない気分なのさ

I've got something that I must tell
Last night someone rang our doorbell
And it was not you my part-time lover
And then a man called our exchange
But didn't want to leave his name
I guess that two can play the game of part-time lovers

>> 君に伝えなきゃいけないことがあるんだ
>> 夕べ誰かがうちのドアベルを鳴らしたんだ
>> でもそれはボクのパートタイムラヴァー、君じゃなかったんだ
>> そしてそいつはうちの電話交換を呼び出したけど
>> やつは名前を告げなかったんだ
>> そうか不倫カップルって二組できるんだよなって思ったのさ

You and me, part-time lovers
But, she and he, part-time lovers

>> 君とボク、一夜の恋人同士
>> でも、彼女と彼も、そんなパートタイムラヴァーズ


前回ホイットニーの「すべてをあなたに」の全米No.1に続き、
不倫ソングが全米No.1になってしまったという、
これはたまたまなのか、当時の世相を反映しているのか。
日本でも、TBS系ドラマ「金曜日の妻たち」シリーズが高視聴率で放映され、
ちょうどこの時期には第3作「恋に落ちて」として、
タイトル曲が小林明子の歌で大ヒットした年でもありましたね。

「すべてをあなたに」が家族ある男性への表には出せない、
一途な思いを耐え忍んで歌っているのに対して、
この「パートタイム・ラヴァー」は、
自分の好き勝手で浮気を楽しんでいる、
しかも妻もまた同じように浮気相手の女性の夫と浮気しているという、
世界観はかなり違う歌ですね。

この詞に出てくる名前を名乗らない男からの電話で、
当時付き合っていた彼女へと取り次ぐよう言われ、
彼女の秘密を知ってしまったという経験もあるらしく、

歌に使われている、浮気相手の彼女への連絡方法とか、
誰かと会う時に男友達を連れていくとかなどの方法を
実際使ってる人って多いんじゃないかって思ったらしいですね。


スティーヴィー自身、2度の結婚離婚の上、
何人かの女性とは未婚のまま子供も作っていて、
また他に付き合っていた女性から、
不当に訴えられることもあるなど、
かなり女性遍歴も多い人なんですよね。

1970年に最初の奥さんである、
R&Bシンガーのシリータ・ライトと結婚したものの、2年後に離婚。
その後もレコーディングなどビジネス上での付き合いは続き、
この曲ではバックコーラスにも参加しています。

その3年後には、当時付き合っていた彼の音楽出版会社の秘書だった
ヨランダ・シモンズとの間に、
後にシンガーとしてもデビューするアイーシャ・モリスが生まれ、
この時の喜びを「可愛いアイシャ(Isn't She Lovely)」で
歌ったことはよく知られてますね。

ヨランダさんとは結局結婚はせず、
さらに同じくこの曲でバックコーラスで参加している
メロディー・マッカリーとの間にも、
結婚せずに、ムンタズ・ワンダーという息子が生まれていて、
彼もまた日本先行でシンガーとしてデビューしているんですよね。

2001年に2人目の奥さん、カイ・ミラードさんと結婚していますが、
すでに数年前から別居していて、今年8月には正式に離婚したそうです。
彼女との間にも子供が2人いて、
公にされてないものも含めると7人の子供がいるといわれています。


そういう話をもとにこの曲を聴いてしまうと、
う~ん・・・と考えたくもなりますが、
いずれにしろ、時代的にも転換期にあった曲だと
言えるのかもしれませんね。

その転換期というのが、音楽的部分にも表れていて、
元々多彩な楽器を駆使してレコーディングしていた彼ですが、
80年代に入り、シンセであらゆる楽器の音色を一人で作り上げるスタイルが
この最新アルバムですっかり確立し、
一部の曲にアディショナルギターやサックスを入れているほかは、
ほとんど彼一人でデジタル音源を作って録音しているのです。

今では当たり前な音楽の作り方かもしれないのですが、
テクノミュージックというのではなく、
ポピュラー音楽の作り手の一人として、
すごい技術を身に着けた先駆者であるともいえるのです。

なお、この曲のバックボーカルには、
先に記したシリータ・ライトやメロディ・マッカリーのほか、
アース、ウィンド&ファイアーのフィリップ・ベイリーなどが参加し、
とりわけ、ルーサー・ヴァンドロスは、
何フレーズかではリードボーカルも務めています。


アルバム「イン・スクエア・サークル」からは、この曲のほかに、
軽快なR&Bナンバー「ゴー・ホーム(Go Home)」がTop10ヒットに、
さらに日本でも大変人気のあるメロディアスな美しいナンバー、
「オーヴァージョイド(Overjoyed)」もTop30ヒットとなっています。
この曲はメアリー・J・ブライジもカバーしてましたね。


スティーヴィーの近況としては、
アルバムは2005年の「タイム・トゥ・ラブ(A Time To Love)」以来
まだ予定されていないようですが、
今年は、先のホイットニー・ヒューストンの葬儀の際に、
「リボン・イン・ザ・スカイ(Ribbon In The Sky)」を
歌ったことが伝えられています。



「'85 US No.1」ヒットシリーズ。
次回は、11月9日の予定。

ブログでこの全米No.1ヒットシリーズを書き始めてからは、
初のインストゥルメンタルナンバーの登場です。
当時アメリカで大ヒットを記録し、日本でも放映された、
ドン・ジョンソン主演の人気TVドラマシリーズのテーマ曲です。



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