急なニュースのために、ちょっと延期してしまったのですが、
今回は、1985年の全米No.1ヒットシリーズ⑦です。


ところで、今回紹介する1985年5月18日付から、
8月17日付までの約3か月間の間に、
8曲の全米No.1ヒットが誕生しているのですが、

そのうち、1曲カナダ人アーティストが入るのを除き、
残り7曲は、全てブリティッシュ勢になります。

そういえば、今年の7月下旬から8月中旬にかけて、
ロンドンオリンピックが開催になりますね。

たまたまそんなタイミングと一致したのもあるのですが、
この85年周辺の時期には、No.1以外でも、
多くのブリティッシュ勢が活躍しており、

今回のアーティストも含めて、
久々に、80'sブリティッシュインヴェイジョン、
「英国襲撃シリーズ」のアーティストを、
これからどんどんと紹介していくことになりそうです。


ということで、

前回1985年5月11日付でNo.1であった、
マドンナの「クレイジー・フォー・ユー」に代わり、
1985年5月18日付でNo.1となったのが、


シンプル・マインズ「ドント・ユー?」


もちろん、ブログには初登場。
「英国襲撃シリーズ29」にもなります。


70年代後半に、スコットランドのグラスゴーで結成された、
ニューウェーブ系ロックバンド。

80年代に入り、イギリスでNo.1アルバムを出すなど、
評価の高まっていた中で、
ジョン・ヒューズ監督の青春映画、
「ブレックファスト・クラブ(The Breakfast Club)」の
メインテーマとしてリリースされ、

彼らにとって、初のアメリカでのHot100チャートイン曲が、
初の全米No.1ヒットにもなりました。


①映画のシーンを織り込みながら、
 ボーカルのジム・カーの動きをカメラで追った映像が印象的なPV。




②1997年のオランダでのライブステージから。
 彼らのオリジナル曲でないこともあって、あまりライブで演奏されないとのことで、
 貴重なライブシーンだと思います。



☆Simple Minds "Don't You (Forget About Me?)"
from the soundtrack album "The Breakfast Club"
 1985年Billboard Hot100 最高位1位(5/18付)


Hey, hey, hey ,hey
Ohhh...

Won't you come see about me?
I'll be alone, dancing you know it baby
Tell me your troubles and doubts
Giving me everything inside and out and
Love's strange so real in the dark
Think of the tender things that we were working on
Slow change may pull us apart
When the light gets into your heart, baby

>> オレのこと見に来てくれないか?
>> オレはひとりぼっちで、踊っているのさ、わかるだろベイビー?
>> お前のイザコザや疑いがあるなら教えてくれ
>> 外から内からお前のすべてを知りたいんだ
>> この暗闇の中では愛は異様な真実なのさ
>> オレたちがしなきゃいけなかった思いやりについて考えなければ
>> ぐずぐずしてるとオレたち離れ離れになってしまう
>> お前の心の中に明かりが灯る時なんだよベイビー

Don't You Forget About Me
Don't Don't Don't Don't
Don't You Forget About Me

>> オレのこと忘れないでくれよ
>> どうか、どうか・・・
>> オレのこと忘れないでいてくれよ

Will you stand above me?
Look my way, never love me
Rain keeps falling, rain keeps falling
Down, down, down
Will you recognise me?
Call my name or walk on by
Rain keeps falling, rain keeps falling
Down, down, down, down

>> オレの前に立っていてくれよ
>> オレをずっと見つめていて、でも決して惚れちゃだめさ
>> 雨が降り続く、ずっと降り続く
>> ずっと、ずっと・・・
>> オレのこと認めてくれよ
>> オレの名前を呼ぶか、さもなきゃずっとそばを歩いていてくれよ
>> 雨が降り続く、ずっと降り続く
>> ずっと、ずっと・・・

Hey, hey, hey, hey
Ohhhh.....

Don't you try to pretend
It's my feeling we'll win in the end
I won't harm you or touch your defenses
Vanity and security
Don't you forget about me
I'll be alone, dancing you know it baby
Going to take you apart
I'll put us back together at heart, baby

>> 見せ掛けはやめてくれないか
>> オレにはわかってるんだ、最後には勝つんだと
>> オレはお前を傷つけたりしないよ、守るべきものや
>> 見栄とか不安なことにだって触れやしない
>> オレのこと忘れないでくれよ
>> オレはひとりぼっちで、踊ってるのさ、わかるだろベイビー?
>> こんなところから離れて
>> オレたち心の中で一緒にならないか、ベイビー

Don't You Forget About Me
Don't Don't Don't Don't
Don't You Forget About Me

>> オレのこと忘れないでくれよ
>> どうか、どうか・・・
>> オレのこと忘れないでいてくれよ

As you walk on by
Will you call my name?
As you walk on by
Will you call my name?
When you walk away

>> そばを歩くっていうなら
>> オレの名前を呼んでくれよ
>> そばを歩くっていうなら
>> オレの名前を呼んでくれよ
>> どこかへ行ってしまうんだったら

Or will you walk away?
Will you walk on by?
Come on - call my name
Will you call my name?

>> そう、お前がどこかへいってしまうんだろう?
>> それとも一緒に歩いてくれるのか?
>> ここにきて、オレの名前を呼んでくれ
>> オレの名前を呼んでくれないか?

I say :
La la la...


前回の'85 US No.1シリーズの時にも書いたのですが、
ここしばらく、バラード系のNo.1ヒットが続いていて、
そろそろ・・・と思っていたタイミングでの、
ロック系ナンバーの全米No.1ヒットとなったのですが、

これまた、当時の流れである、
サントラ盤からのヒット曲ということでもあったんですよね。

この映画「ブレックファスト・クラブ」は、
当時人気の若手俳優だった、エミリオ・エステベス主演で、
立場の違う5人の高校生が図書館で課せられた作文をめぐって
繰り広げられる友情を描いた異色の青春映画で、
映画としての大きなヒットにはならなかったものの、
評価の高い作品として知られています。

このサウンドトラックも、
全体のプロデュースを手掛けたキース・フォーシーが、
何曲かを自らプレイしているほか、
作品をアーティストに歌わせており、
ワン・チャン、E.G.デイリーといった、
若手注目株のアーティストをメインに構成された作品集になっています。


そして、この曲もシンプルマインズのオリジナルナンバーではなく、
キースとスティーブ・シーフによる作品で、

作品を書いたキースは、当初ブライアン・フェリーをイメージしていて、
彼にレコーディング依頼をしたのですが、断られ、

その後、ビリー・アイドルや、プリテンダーズにも頼み込んだものの、
そのプリテンダーズのクリッシー・ハインドから、彼女の旦那である、
シンプルマインズのボーカル、ジム・カーに話が回ったというのです。

ジムもまた、オリジナルでなく、
詞の世界にも納得のできないこの曲を当初は拒んでいたのですが、
キースがジムに映画プロットを見せ、
その作品性をわかってほしいと頼み込んだことから、
この組み合わせが実現したのでした。

この曲を実際にレコーディングしている最中にも、
何度も自分の思っている歌の世界観と合わずにやめようと思ったり、
かなりの葛藤を持ったまま作品を完成させリリースしたところ、
全く予想外に、全米No.1シングルとなってしまったのでした。


シンプル・マインズは、1977年、スコットランドのグラスゴーで、
ボーカルのジム・カーを中心に、5人組で結成されたロックバンド。

バンド名は、デヴィッド・ボウイの
「ジーン・ジニー(Jean Genie)」の中に出てくる、
simple minded - 純真、間の鈍い・・・からとったといわれています。

彼らが影響されていたのは、こういったグラムロックやパンクなどで、
1979年のファーストアルバム、
「駆け足の人生(Line In A Day)」では、
もっとパンク寄りのサウンドでした。

それが、ちょうど80年代に差し掛かり、
時代の流れに呼応して、ニューウェーブ系のサウンドへと変化していった彼らは、
イギリスやアメリカのディスコで、
アルバムからのナンバーをヒットさせ、
徐々に名前が知れ渡ることになります。

1981年にヴァージンレコードと契約した彼らは、
翌1982年、6枚目のアルバム、
「ニュー・ゴールド・ドリーム(New Gold Dream (81/82/83/84))」で、
初めてイギリスでTop3入りを果たし、
このアルバムからのナンバー、
「さらば夏の日(Someone, Somewhere in summertime)」が、
日本でもウイスキーのCMに起用され、話題を呼びました。

続く7枚目のアルバム、
「スパークル・イン・ザ・レイン(Sparkle In The Rain)」で、
U2らのプロデューサーとして知られる、スティーブ・リリーホワイトを起用し、
ついにイギリスのアルバムチャートでNo.1を獲得。
シングル「ウォーターフロント(Waterfront)」もヒットしました。

ちょうどこのころ、「全米トップ40」の後時間に放送されていた、
「全英トップ20」でしばしば彼らの名前を聞くようになり、
彼らの存在を意識するようになりました。

そんな彼らが、続くアルバムの製作途中に、今回の曲の依頼があり、
いまいち納得がいかないままレコーディングし、
しかもそれが全米No.1シングルになってしまったことで、
さらに彼らにとって釈然としないものとなったのですが、

これがきっかけで一気にアメリカでブレイクすることになった彼らが、
いよいよ発売された、8枚目のアルバム、
「ワンス・アポン・ア・タイム(Once Upon A Time)」で、
イギリスでのアルバムNo.1だけでなく、
アメリカでもアルバムチャートでTop10入りを果たし、

シングル「アライブ・アンド・キッキング(Alive And Kicking)」が、
全米Top3入りの大ヒットを記録したほか、
「サンクティファイ・ユアセルフ(Sanctify Yourself)」、
「聖女伝説(All The Things She Said)」もTop40入りするなど、
一発屋で終わらない成功を収めたのでした。

このアルバムは、ミステリアスさとバンドスケールの大きさが感じられた、
個人的にも好きな作品です。

その後、トレヴァー・ホーンがプロデュースを手掛けたアルバム、
「ストリートファイティング・イヤーズ(Street Fighting Years)」では、
全く違ったスケール感を見せて、
「ベルファスト・チャイルド(Belfast Child)」などのヒットを生み、

80年代終わりから90年代にかけて、メンバーチェンジを繰り返しながら、
グランジの要素も取り入れたロックサウンドへと回帰していき、
4,5年に1枚のペースで、アルバムを発表し続け、
現在でもワールドツアーを行うなど、精力的に活動を続けています。

最新作は2009年のアルバム「落書き魂(Graffiti Soul)」。


ボーカルのジム・カーは、そんな中、2010年になって、
50歳を過ぎたところで、意外にも初のソロ作品集、
「Lost Boy! AKA Jim Kerr」をリリース。

私生活では、先にも書いた通り、プリテンダーズのボーカル、
クリッシー・ハインドと1984年に結婚し、1女をもうけた後、
1990年に離婚。
さらに1992年には、エイス・ワンダーのボーカル、
パッツィー・ケンジットと再婚し、1男をもうけるも、
やはり1996年には離婚しています。


この曲も1週のみのNo.1であったため、
次回の「'85 US No.1」シリーズは、5月25日の予定。

次回ももちろんイギリス勢で、
アルバムからの3曲連続No.1の3曲目となる人気デュオの、
全2作とは雰囲気の全く異なった、ミディアムスローな、
ソウルフルナンバーです。


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