GW全休してしまいましたm(_ _)m

もう初夏の陽気の毎日で、
しかも雨が多かったり、雷や突風が起きるような、
まるで梅雨後半のような荒れた天気の日もあって、
外出にもいろいろ注意が必要ですね。


このGWにアップしようとしていたものを、
遅くなりましたが紹介したいと思います。

先々週に放送されていた、「全米トップ40 The 80's」の
1982年4月29日付にもチャートインしていました。

ちょうど、今から30年前に日本でも話題となり、
ラジオやディスコでも大変な人気となった
ダンスナンバーとしても革新的な2曲のヒットナンバーです。


トム・トム・クラブ「悪魔のラヴソング/おしゃべり魔女」


アメリカのニューウェーブロックバンドとして、
70年代からカルトな人気を博した、トーキング・ヘッズ。

そのバンド内から、ベースのティナ・ウェイマスと、
ドラムスのクリス・フランツの2人によるサイドプロジェクトとして
バンドと並行して活動していたのがトム・トム・クラブです。

1981年にリリースされたファーストアルバム、
「おしゃべり魔女(Tom Tom Club)」から、
アメリカのポップチャートでヒットしたセカンドシングルが、
「悪魔のラヴソング」。
一足先にファーストシングルとしてリリースされ、
イギリスや日本で大ヒットとなったのが「おしゃべり魔女」。

トーキングヘッズでのリズムセンスを生かしつつも、
テクノやレゲエ、ファンクミュージック、カリプソ、アフリカンなど、
いろいろな音楽要素を取り入れ、遊び心も楽しいダンスナンバーです。


まずは、アメリカでヒットを記録した「悪魔のラヴソング」。


①彼らのアルバムのアートワークを担当しているジェームズ・リッツィの絵による
 ポップアニメーションで話題となったPV。




②1984年のトーキング・ヘッズのライブツアーの映像作品、
 「ストップ・メイキング・センス(Stop Making Sense)」の中で、
 デヴィッド・バーンが休憩中に演奏されたライブ映像。
 オリジナルよりもピッチが速く、よりアメリカンファンクよりな
 演奏スタイルですね。




③2009年に幕張メッセで開催された「SUMMER SONIC」で披露されたライブから。
 こちらはオリジナルのピッチに近く、レゲエ、ヒップホップな雰囲気もあって、
 中盤からのノリや後半のラガマフィンの入る盛り上がりには特に注目です。



☆Tom Tom Club "Genius Of Love" from the album "Tom Tom Club"
 1982年Billboard Hot100 最高位31位


What you gonna do when you get out of jail?
I'm gonna have some fun
What do you consider fun?
Fun, natural fun

>> シャバに出たら(自由になったら)どうするつもりさ?
>> 楽しいことするわよ
>> どんな楽しいことさ?
>> 楽しいことよ、おっかしなこと

I'm in heaven
With my boyfriend, my laughing boyfriend
There's no beginning and there is no end
Time isn't present in that dimention
He'll take my arm
When we're walkin', rolling and rocking
It's one time I'm glad I'm not a man
Feels like I'm dreaming, but I'm not sleeping

>> 天国にいるみたい
>> あたしのボーイフレンドと一緒に、笑ってる彼氏と一緒に
>> 始まりもなけりゃ終わりだってないの
>> この次元に時間なんて存在しないの
>> 彼はあたしの腕をとって
>> 歩きながら、ロールしてロックして
>> この時ばかりはあたし男じゃなくてよかったって思うわ
>> 夢見てるみたい、でも眠ってるわけじゃないよね

I'm in heaven
With the maven of funk mutation
Clinton's musicians such as Bootsy Collins
Raise expectations to a new intention
No one can sing
Quite like Smokey, Smokey Robinson
Wailin' and shakin' to Bob Marley
Reggae's expanding with Sly and Robbie

>> 天国にいるみたい
>> 変わり者のファンク通
>> ブーツィー・コリンズみたいな(ジョージ)クリントンのバンドマンたちと一緒にね
>> 新しい何かへの期待でわくわくするのよ
>> こんなの誰も歌えやしない
>> スモーキー、スモーキー・ロビンソンみたいに完璧にはね
>> ボブ・マーリーに向かって叫び、揺れ動いて
>> スライ&ロビーと一緒にレゲエを広めていくのよ

All the weekend
Boyfriend was missing
I surely miss him
The way he'd hold me in his warm arms
We went insane when we took cocaine

>> 週末が来るたびに
>> 彼氏はどこかにいなくなっちゃうの
>> あたし彼がホントに恋しくて
>> 彼の暖かな腕の中で抱きしめてくれるようにして
>> あたしたちコカイン吸いながらいっちゃってたわ

Stepping in a rhythm to a Kurtis Blow
Who needs to think when your feet just go
With a hiditihi and a hipitiho
Who needs to think when your feet just go ...
Who needs to think when your feet just go ...
James Brown, James Brown
James Brown, James Brown

>> カーティス・ブロウのリズムでステップ踏みながら
>> あなたの足の動きを誰か気にしてくれるかしら?
>> hiditihi、hipitihoって感じで
>> あなたの足の動きを誰か気にしてくれるかしら?
>> あなたの足の動きを誰か気にしてくれるかしら?
>> ジェームズ・ブラウンさ、ジェームズ・ブラウン
>> ジェームズ・ブラウンさ、ジェームズ・ブラウン

If you see him
Please remind him, unhappy boyfriend
Well he's the genius of love
He's got a greater depth of feeling
Well he's the genius of love
He's so deep

>> もし彼に気づいたならば
>> 彼のこと覚えていてね、不幸な彼氏のことを
>> そうね、彼って愛の天才だわ
>> 彼にはとっても深~いフィーリングがあるのよ
>> そうよ、彼は愛の天才だわ
>> 彼ってとってもディープなの


薬も入ってるのか、かなりヘロヘロな感じの不思議な詞の内容で、

この曲が影響を受けていて、詞にも登場するアーティスト、
スモーキー・ロビンソンなどのR&Bや、
ジェームズ・ブラウン、さらにブーツィ・コリンズといったファンク、
ボブ・マーリーなどのレゲエを渾然一体にして、
クリスとティナのセンスで料理した、
当時のダンスサウンドとしてはかなり先端的ナンバーだったと思います。

もちろん、ダンスクラブチャートではNo.1を記録。
R&Bチャートでも2位を記録しました。

のちのヒップホップのサウンドに大きな影響を与えていて、
この曲をサンプリングに使用してヒットさせている曲も多く、

有名なところでは、1995年のマライア・キャリーの全米No.1ヒット、
「ファンタジー(Fantasy)」に、
この曲のリズムトラックがそのまま使われてますね。




(動画のPV映像、左右が反対になってます)


さてもう1曲、日本ではこちらのほうが大ヒットしました。
「おしゃべり魔女」。

④こちらはPVは作られていないので、オリジナル音源は静止画です。




⑤③同様、「SUMMER SONIC」からのライブ映像。
 テクノののりと、当時としてはやはり先端をいっていたラップで、
 最近の音として聴いても古さを感じさせません。



☆Tom Tom Club "Wordy Rappinghood" from the album "Tom Tom Club"


こちらは、さらに詞が言葉遊びというか、
韻をふんだり、ノリだけで作られているのと、
フランス語も混じっていたり、サビのコーラスもあって、
訳詞はしませんでした。


What are words worth?
What are words worth? - words

Words in papers, words in books
Words on TV, words for crooks
Words of comfort, words of peace
Words to make the fighting cease
Words to tell you what to do
Words are working hard for you
Eat your words but don't go hungry
Words have always nearly hung me

(A ram sam sam chorus)

What are words worth?
What are words worth? - words

Words of nuance, words of skill
And words of romance are a thrill
Words are stupid, words are fun
Words can put you on the run

mots pressés, mots sensés
mots qui disent la vérité
mots maudits, mots mentis
mots qui manquent le fruit d'esprit

(A ram sam sam chorus)

What are words worth?
What are words worth? - words

Its a rap race, with a fast pace
Concrete words, abstract words
Crazy words and lying words
Hazy words and dying words
Words of faith and tell me straight
Rare words and swear words
Good words and bad words

(A ram sam sam chorus)

What are words worth?
What are words worth? - words

(A ram sam sam chorus)

What are words worth?
What are words worth? - words

Words can make you pay and pay
Four-letter words I cannot say
Panty, toilet, dirty devil
Words are trouble, words are subtle
Words of anger, words of hate
Words over here, words out there
In the air and everywhere
Words of wisdom, words of strife
Words that write the book I like
Words won't find no right solution
To the planet earth's pollution
Say the right word, make a million
Words are like a certain person
Who can't say what they mean
Don't mean what they say

With a rap rap here and a rap rap there
Here a rap, there a rap
Everywhere a rap rap

Rap it up for the common good
Let us enlist the neighbourhood
It's okay, I've overstood
This is a wordy rappinghood, okay, bye

(A ram sam sam chorus)

What are words worth?
What are words worth? - words

What are words worth?
What are words worth? - words


これも、ベースとしてラップミュージックを取り上げているのと、
トーキング・ヘッズ自体が影響を受けていた
ワールドミュージックのエッセンスも入っていて、

本家トーキング・ヘッズではかなりマニアックだった部分を、
わかりやすくとらえられる音にしていますね。

詞は先にも書いた通り、ノリで書かれているのと、
サビに入っているコーラスがアフリカンな雰囲気ですが、

このコーラスの詞の最初のほうは、
モロッコの子供たちに歌われている、
「A Ram Sam Sam」という歌がベースになっています。



このコーラス部分全体の歌詞は、どこのサイトにも書かれていないので、
わからないのですが、

♪A ram sam sam a ram sam sam
♪Guli guli guli guli ram sam sam

というフレーズの部分がオリジナルから引用されていて、
後半も現地語をベースに作られたのか、
メンバーのノリで書かれたのかわかりませんが、
この部分が、日本でもおもしろいと当時受けてたんですよね。

アメリカでもダンスチャートではNo.1を記録していますが、
ヒットとしてはイギリスで7位、日本でも洋楽チャートで1位になるなど、
異色のダンスヒットとして残っています。


トム・トム・クラブのベースであるトーキング・ヘッズは、
1974年にニューヨークのパンクシーンから登場したバンドで、
ボーカルでソングライターである、デヴィッド・バーンを中心に結成。
ラモーンズやブロンディらとともに、CBGBsのライブハウスで活躍し、
やがてデヴィッドを中心にアフリカンリズムに傾倒した音を次々と制作。
ライブにおいても、独特のノリで人気を博していました。

彼らがレコーディングのために作った、
バハマのコンパスポイントスタジオにある施設の名前がトム・トム・クラブで、
1980年のアルバム「リメイン・イン・ライト(Remain In Light)」の
レコーディング後に、
ベースのティナ・ウェイマスとドラムスのクリス・フランツが、
同じスタジオでサイドプロジェクトとしてレコーディングを開始したのが、
このトム・トム・クラブというユニットです。

彼らの音源は、まずトーキング・ヘッズの「リメイン・イン・ライト」ツアーの中で、
「トム・トム・クラブ」パートとして設けられ、
デヴィッドが休憩をしている間に披露されていました。

1981年にその音源としてファーストアルバム、「おしゃべり魔女」をリリース。
このアルバムには、トーキング・ヘッズの作品にもゲスト参加している、
キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューや、
スティーブン・スタンレーなどのジャマイカのレゲエミュージシャンたち、
さらにコーラスには、ティナの姉妹のローラ・ウェイマスらも参加。

「悪魔のラヴソング」と「おしゃべり魔女」が世界的にヒットしたほか、
ザ・ドリフターズの1964年の大ヒットのカバー、
「渚のボードウォーク(Under The Boardwalk)」もシングルリリースし、
単なるサイドプロジェクト以上の成功を収めました。

その後、トーキング・ヘッズの活動と並行して、
トム・トム・クラブもアルバムの5枚のオリジナルアルバムのリリースと、
ライブアルバム、コンピレーション作品も発表し、
1991年にトーキング・ヘッズが解散した後も、
継続して活動を続けています。

動画映像にある通り、2009年には「SUMMER SONIC '09」のため来日し、
日本でも彼らのライブが話題となりました。

80年代以降、彼らやピーター・ゲイブリエルなどの活動で、
アフリカやラテン諸国のサウンドが注目され、
やがて、ワールドミュージックブームにつながっていく。
一方、90年代以降のヒップホップ全盛のきっかけにもなっている
彼らのサウンドは、一歩先をいっていた音だったといえるんでしょうね。



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