さて、今回は、1985年の全米No.1ヒットを紹介するシリーズです。


前回、1985年2月16日付から3週間のNo.1だった、
ワム!(ジョージ・マイケル)の「ケアレス・ウィスパー」に代わり、

1985年3月9日付から3月23日付までの3週間No.1だった曲です。


REOスピードワゴン「涙のフィーリング」


1960年代後半に、イリノイ州シャンペーンで
3人のミュージシャンが集まって結成されたロックバンド。

1971年にデビュー後、数多くの作品を残すもヒットに恵まれず、
しかしながら、1980年暮れに発売したアルバム、
「禁じられた夜(Hi Infidelity)」が突如として爆発的ヒットとなり、
シングル「キープ・オン・ラヴィング・ユー(Keep On Loving You)」も
全米No.1を記録した彼ら。

そのアルバムから、1枚挟んで1984年にリリースされた、
彼らにとって13枚目のアルバム、
「ホイールズ・アー・ターニン(Wheels Are Turnin')」からの
セカンドシングルで、
彼らにとって2曲目の全米No,1となりました。

恋人への溢れる想いを歌いあげた、美しく力強いバラードナンバー。
結婚式などにもしばしば用いられ、
80年代の定番曲ともなっている名曲です。


①ボーカルのケヴィン・クローニンが1曲の中で、
 1人の男の人生を演じている、印象に残る名作PVです。




②こちらのビデオはあまり流されたことがないかと思いますが、
 リハーサル部分も含めた、スタジオ演奏シーンで作られている、
 ライブ感にあふれたビデオです。




③2010年のアメリカでのコンサートから。
 現在もライブ活動を続けていて、メンバーはだいぶ変わり、
 ボーカルのケヴィンは、やや声に張りが無くなってきているものの、
 バンドとしては変わらず安定した音を聴かせてくれています。



☆REO Speedwagon "Can't Fight This Feeling"
 from the album "Wheels Are Turnin'"
 1985年Billboard Hot100 最高位1位(3/9-23付の3週間)


I can't fight this feeling any longer
And yet I'm still afraid to let it flow
What started out as friendship has grown stronger
I only wish I had the strength to let it show

>> もうこれ以上この気持ちを抑えられないよ
>> まだその気持ちを表にするのは怖いけどね
>> 友達として始まったこの気持ちはどんどんと強くなって
>> ただその気持ちをはっきりと示せたらいいのになって思うんだ

I tell myself that I can't hold out forever
I say there is no reason for my fear
'Coz I feel so secure when we're together
You give my life direction, you make everything so clear

>> このままの気持ちじゃいられないって自分に言い聞かせてる
>> ボクがとまどっている理由なんてないといいたいんだ
>> だってボクらが一緒にいるときは何も怖れなんて感じないんだから
>> 君はボクの人生の指針を与えてくれ、すべてはっきりとさせてくれるのだから

And even as I wander I'm keeping you in sight
You're a candle in the window on a cold dark winter's night
And I'm getting closer than I ever thought I might

>> だからボクが戸惑っている時でさえ、君のことははっきり見据えていられる
>> 君は凍えた暗い冬の夜の窓辺のキャンドルなんだ
>> 自分が思っていた以上にボクは君に近づいているんだ

And I can't fight this feeling anymore
I've forgotten what I've started fighting for
It's time to bring this ship into the shore
And throw away the oars forever

>> だからボクはもうこの気持ちと戦えない
>> ボクがいったい何と戦おうとしてたのかすら忘れたよ
>> この船を岸辺に近づける時がきた
>> もう、このオールは投げ捨てよう

'Cause I can't fight this feeling anymore
I've forgotten what I've started fighting for
And if I have to crawl upon the floor
come crashing through your door
Baby I can't fight this feeling anymore

>> だってボクはもうこの気持ちを抑えられないんだから
>> ボクが何を抑え込もうとしてたのだか忘れてしまった
>> だからもしボクがじたばたしていたとしても
>> 君の心のドアを打ち破りに来るから
>> ベイビー、ボクはもうこの気持ちが抑えられないよ

My life has been such a whirlwind since I saw you
I've been runnin' round in circles in my mind
And it always seems that I'm following you girl
'Cause you take me to the places that alone I'd never find

>> ボクが君を見かけたときからボクの人生は竜巻が吹き荒れたみたいになった
>> ボクの心の中をぐるぐると想いがめぐり続けている
>> まるでボクがもう君の傍にいるかのように見えたよね
>> だって君はボクを孤独の地から連れ出してくれたんだから

And even as I wander I'm keeping you in sight
You're a candle in the window on a cold dark winter's night
And I'm getting closer than I ever thought I might

>> だからボクが戸惑っている時でさえ、君のことははっきり見据えていられる
>> 君は凍えた暗い冬の夜の窓辺のキャンドルなんだ
>> 自分が思っていた以上にボクは君に近づいているんだ

And I can't fight this feeling anymore
I've forgotten what I've started fighting for
It's time to bring this ship into the shore
And throw away the oars forever

>> だからボクはもうこの気持ちと戦えない
>> ボクがいったい何と戦おうとしてたのかすら忘れたよ
>> この船を岸辺に近づける時がきた
>> もう、このオールは投げ捨てよう

'Cause I can't fight this feeling anymore
I've forgotten what I've started fighting for
And if I have to crawl upon the floor
come crashing through your door
Baby I can't fight this feeling anymore

>> だってボクはもうこの気持ちを抑えられないんだから
>> ボクが何を抑え込もうとしてたのだか忘れてしまった
>> だからもしボクがじたばたしていたとしても
>> 君の心のドアを打ち破りに来るから
>> ベイビー、ボクはもうこの気持ちが抑えられないよ


メロディがわかりやすくて、
のびやかに歌いやすそうに思える曲ですが、
結構言葉数が多いし、何よりボーカルの強弱をはっきりさせないと、
特にサビの盛り上がりは、かなりの力量がないと
難しい曲かもしれません。

ケヴィンは、ソフトに歌う部分は高くささやくように、
しかし力強く歌う所では、非常に伸びのある芯の通った声で、
心の中に入ってくる声質なんじゃないかなと、
この曲を聴いていて思います。

さらにこの曲はなんといっても、
イントロのニール・ドーティのやさしいキーボードのメロディと、
ブリッジでのゲイリー・リッチラスのソロギターが非常に印象的で、

聴いていてもあまりおおげさ感を感じさせないけれど、
非常にドラマティックに感じるバラードだと思います。

ジャーニーやフォリナーなどと同様に、
いわゆる産業ロック系バンドと言われる彼らですが、
バラードナンバーが有名ながら、
軽快なロックンロールに真価があるバンドとしても知られており、
ライブバンドとしての力強さを持ったバンドだと思います。


REOスピードワゴンは、
イリノイ州シャンペーンの同じ大学に通っていた、
キーボードのニール・ドーティ、
ギターのゲイリー・リッチラス、
ドラムスのアラン・グラッツァーの3人が中心となり、
ボーカリストやベースを集めて、1968年に結成します。

バンド名は、アメリカの「REOモーターカンバニー」という所で作られた、
『スピードワゴン』から取られた名前です。

1971年にファーストアルバム、
「REOスピードワゴン(REO Speedwagon)」をリリースするものの、
この1枚で当時のボーかリストが脱退。

これを受けて、新たなボーカリストとして、
現在もボーカルとして活躍するケヴィン・クローニンが加入。

バンドは70年代、ライブやベストアルバムなども含め、
毎年のように1枚ずつ作品をリリースしては、
年間300本にも及ぶライブツアーを繰り返していきました。

しかしながら、チャート上位に結びつくヒットには全く恵まれず、
「全米で最も有名で最も売れないバンド」という、
ありがたくない称号までもらう始末でした。

ただそんなありがたくない状況でも、
地方の小さなライブ会場では、観衆を沸かせる存在に徐々になりだし、
1979年にリリースされたライブアルバム、
「ナイン・ライブス(Nine Lives)」は、

※ごめんなさい、誤りでした。正しくは、
⇒1977年のライブアルバム、
 「ライブ~嵐の中へ(Live - You Get What You Play For)」が、
じわじわとヒットを続け、最終的にはミリオンセラーにまで到達しました。

この長いどさ周りを続ける中で、徐々にファンの支持を得てきた彼らが、
1980年暮れに、初のセルフプロデュースとなった11枚目のアルバム、
「禁じられた夜(Hi Infidelity)」をリリースすると、
それまでのじわじわした人気が一気にセールスへと結びつき、
またラジオでも、シングルカットされたバラード、
「キープ・オン・ラヴィング・ユー(Keep On Loving You)」が、
高いオンエアを続けた結果、

この曲が1981年3月、彼らにとって初の全米Top40ヒットとなるどころか、
全米1位というおまけまでつく大ヒットとなりました。
以前ブログで紹介した、「Billboard Hot100の1000曲のNo.1」の、
500番目のNo.1ソングとなっているんですよね。

アルバムも全米だけでトータル1000万枚以上のセールスとなり、
同時期にリリースされた、ジョン・レノンの、
「ダブル・ファンタジー(Double Fantasy)」を抑えて、
年間No.1アルバムにも輝いています。

このアルバムから、
「テイク・イット・オン・ザ・ラン(Take It On The Run)」が5位、
「ドント・レット・ヒム・ゴー(Don't Let Him Go)」が24位、
「涙のレター(In Your Letter)」が20位と、
4曲のシングルヒットを出しています。

当時、日本では「涙のレター/キープ・オン・ラヴィング・ユー」の
カップリングでシングルカットされヒットしました。

それまでの厳しい下積み生活が一転して、
大ヒットアルバムを出したプレッシャーからか、
1982年に出した12枚目のアルバム、
「グッド・トラブル(Good Trouble)」は、そこそこ売れたものの、
前作の大ヒットには遠く及ばない売り上げとなった上、
彼らにとっては、納得のいかない作品となってしまい、
それまで毎年のように作品リリースしてきた彼らにとって、
ここで、しばしのオフをとることになりました。

1984年に入り、アルバム製作に入ったものの、
一度完成しかけた作品に納得がいかず、
時間をかけながら新しい作品を生み出してきたのが、
この年の暮れにリリースされた13枚目のアルバム、
「ホイールズ・アー・ターニン」です。

先行シングルとなった、「愛はきままに(I Do'wanna Know)」は、
軽快なロックンロールナンバーで、
最高位29位と、やや伸び悩んだ結果となったものの、

彼らが自信をもって臨んだ続くシングルである、
今回の「涙のフィーリング」は、
当時のバラードが売れるヒット状況にもマッチしたからか、
一気にチャートを駆け上がり、
「キープ・オン・ラヴィング・ユー」の1週No.1を越える、
3週間のNo.1となり、彼らにとっての最大のヒット曲となりました。

アルバムからは、
「ワン・ロンリー・ナイト(One Lonely Night)」と、
「リヴ・エブリ・モーメント(Live Every Moment)」とシングルヒットし、

さらに1987年の14枚目のアルバム、
「人生はロックンロール(Life As We Know It)」をリリースするも、
このあたりから再びセールス的に厳しい状況となり、
翌1988年にはオリジナルメンバーだった、
ドラムスのアラン・グラッツァーが脱退。
さらに、1989年にはケヴィンとともにバンドの顔であった、
ギターのゲイリー・リッチラスも脱退してしまいます。

その後、新たなメンバーで作品をリリースするも、
1991年にはベストアルバムをリリースして解散。

ところが、翌1992年には、この解散当時のメンバー、
ボーカルのケヴィン、キーボードのニール・ドーティ、
78年からメンバーのベース、ブルース・ホールと、
90年に加わった、元ワン・チャンのドラムス、ブライアン・ヒットと、
元テッド・ニュージェント・バンドのギター、デイヴ・アマトにより、
再結成を果たします。

その後も、オリジナルアルバム、
さらにベストアルバムやライブ・アルバムを定期的にリリースしては、
変わらず全米津津浦浦とツアー生活を続けており、

2009年にはカップリングツアーで回った縁で、
スティクスとのコラボレーションシングルもリリースされています。

いわゆる80'sヒットツアーとして、
このスティクスや、デフ・レパード、パット・ベネター、
ブロンディなどと一緒に回るツアーでも人気を博しているようです。


次回の「'85 US No.1」ヒットシリーズは、3月30日の予定。
イギリスの3人組ロックバンドのボーカル、ドラマーである彼の、
前年の映画主題歌の全米No.1に続く、2曲目のソロNo.1ヒット。
非常に静かに語りかける、やさしいバラードナンバーです。


さて、現在来日中で、ニュースなどもにぎわしている、
80'sを代表する女性シンガーのコンサートが、
金曜から日曜の3日間、都内で行われるのですが、
その土曜日のコンサートに、行ってくる予定です。

できれば、次回はそのコンサートレポートができればと思います。


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