このところ、ホイットニーにしろ、デイヴィー・ジョーンズにしろ、
色んなアーティストを見送るようことが多くなってしまい、

ブログでも、自分の若い日に活躍していたアーティストたちが、
今は生の歌を聴くことができなくなってしまっていることが多く、
年月の移り行きを感じて寂しくなることも多いですね。

3月だから余計なのかな。


さて、今回紹介するアーティスト本人ではないのですが、

先月2月2日、アメリカの伝説的R&B音楽ショーのTV番組、
「ソウル・トレイン(Soul Train)」の司会者でプロデューサーでもあった、
ドン・コーネリアス氏が、ロサンジェルスの自宅で、
銃による自殺で亡くなっているのが発見されました。


「ソウル・トレイン」というと、
まず、このテーマ曲が頭に浮かんできますよね。

MFSB「ソウルトレインのテーマ」

フィラデルフィアのファンクバンド、MFSBが、
コーラスにスリーディグリースをフィーチャーさせて演奏された、
準インストナンバーで、
後に「ソウル・トレイン」のテーマ曲として採用され、
全米No.1となる大ヒットとなった曲です。



☆MFSB featuring The Three Degrees "Soul Train" from the album "MFSB"
 1974年Billboard Hot100 最高位1位(4/20,27付の2週間)
 

おそらくこの動画は編集ものだと思うのですが、
この番組で司会をしていたドン・コーネリアスの名調子とともに、
後追いで放送の始まった日本でも、
すっかりおなじみになったテーマ曲がこの曲でしたね。


次の動画は、その「ソウル・トレイン」に出演した数々のスーパースターや、
ダンスシーンがまとまっているものです。




元々、ベトナム帰還兵だったドン・コーネリアスが、
シカゴのソウル専門のラジオ局でDJを始め、
人気を得たのがきっかけで、
シカゴのローカルTV局で、R&B専門の音楽番組をスタートさせたのが、
この番組の前身で、

1971年10月にはロスにスタジオを移し、
メジャー展開を図るべく新たな番組をスタートさせたのが、
「ソウル・トレイン」でした。

ドン・コーネリアスは、1971年10月のスタートから、
1993年まで司会兼プロデューサーとして活躍した名物男で、
それ以降も総合プロデューサーとして、番組にかかわった、
R&Bの歴史を語る上で、なくてはならない人物でした。

マーヴィン・ゲイ、アレサ・フランクリン、スティーヴィー・ワンダーなど、
R&Bのアーティストがこぞって番組出演して歌を披露するとともに、

「ソウル・トレイン・ダンサーズ」と呼ばれた、
番組内でダンスを披露する観客たちのダンスにも注目が集まりました。



さて、今回のメインはここからで、

その「ソウル・トレイン」でのダンサーからスタートし、
やがてボーカルグループとして、ドン・コーネリアスらのサポートを得て、
人気者になっていった、70年代後半から80年代にかけて活躍した、
3人組の、日本のディスコでとりわけヒットしたナンバーを紹介します。


シャラマー「ナイト・トゥ・リメンバー」


14歳の時に「ソウル・トレイン」のダンサーとして注目を集めた、
女性メンバーのジョディ・ワトリーと、
同じく男性リードシンガーであるハワード・ヒューイット、
コーラスと個性的ダンスで人気を得ていたジェフリー・ダニエルの3人組。

1982年に発売され、
いわゆるディスコブームの去ったアメリカでよりも、
イギリスや日本で大ヒットした、
とりわけジョディのボーカルの実力が光るダンスナンバーです。


①時代的にPVを作り始めていた時でもあったことから、
 こういうビデオが作られていたんですね。
 実際には今回の検索で初めて見たPVです。




②ディスコのライブバンドとしての実力が発揮されているライブステージから。




③イギリスの音楽番組に単独で出演したジェフリー・ダニエルズが披露した、
 あのムーン・ウォーク。
 実はTVでこのダンスを披露したのは、彼が最初で、
 マイケル・ジャクソンに教えたのも彼だったんですよね。



☆Shalamar "A Night To Remember" from the album "Friends"
 1982年Billboard Hot100 最高位44位


When you love someone it's natural, not demanding
And that's one thing I'm proud to say I found in you
I'm so glad we reached an understanding
Now I know my heart is safe with you, hoo...
So now my love to you, baby, I surrender

>> あなたが誰かを愛するのはごく自然なことだから、問い詰めたりしない
>> 私はあなたのことを認めるって誇りを持って言えるわ
>> お互いを理解しあえてとてもうれしい
>> 今私の心はあなたに守られてるって感じるの、Hoo
>> そう、今私の愛はあなたのもの、ベイビー、ついていくわ

Get ready tonight
Gonna make this a night to remember
Get ready (Oh, baby) tonight
Gonna make this a night to remember

>> 用意はいい?今夜よ
>> この夜を想い出にしましょう
>> 準備はいい?(ああ、ベイビー)今夜よ
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

Celebrations and my heart could stay united
And there's nothing in this world to come between me and you
We're together and it keeps me so excited
To think of what the power of love can do, ooh...
And I'm filled with a love that's, oh, so tender

>> お祝いしよう、ボクの心は君とずっと一緒さ
>> この世界の中ボクと君の間を切り裂くものなんてないのさ
>> ボクたちずっと一緒にいてずっと興奮し続けるんだ
>> 愛の力で出来ることを考えているとね、おお
>> ボクは愛で満たされている、それってああ、なんて優しいんだろう

Get ready (Baby) tonight (Girl)
I'm gonna make this a night to remember
Get ready (Get ready) tonight
I'm gonna make this a night to remember

>> 用意はいい?(ベイビー)今夜だよ(ガール)
>> この夜を想い出にしようじゃないか
>> 準備はいい?(いいかい?)今夜よ
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

Make this a night to remember

>> この夜を素敵な想い出にしましょう

Get ready tonight
Gonna make this a night to remember
Get ready (Get ready) tonight
Gonna make this a night to remember

>> 用意はいい?今夜よ
>> この夜を想い出にしましょう
>> 準備はいい?(いいかい?)今夜よ
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

Get ready (Baby) tonight (Darlin')
Gonna make this a night to remember
Get ready (Darlin') tonight (Baby)
Gonna make this a night to remember

>> 用意はいい?(ベイビー)今夜よ(ダーリン)
>> この夜を想い出にしましょう
>> 準備はいい?(ダーリン)今夜よ(ベイビー)
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

This night you won't forget
Gonna make this a night to remember
'Cause your love I won't regret
Gonna make this a night to remember

>> 今夜あなたは忘れられなくなるわ
>> この夜を想い出にしましょう
>> だってあなたの愛を後悔するなんてありえないもの
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

Get ready [Baby] tonight (Darlin')
Gonna make this a night to remember
Get ready [It won't be like the past] tonight (I will make it last)
Gonna make this a night to remember

>> 用意はいい?(ベイビー)今夜よ(ダーリン)
>> この夜を想い出にしましょう
>> 準備はいい?(昔とは違うようにね)今夜よ(死ぬまで一緒よ)
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

Tonight
Make this a night to remember
Tonight
Make this a night to remember

>> 今夜
>> この夜を想い出にしましょう
>> 今夜
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

Let's make a toast to those who helped make this occasion
They turn their back on love and that's what drove you straight to me
Now to you I make a lasting dedication
I'll show you all that love and life can be, hoo...
And each day that I live I will deliver

>> この時を作ってくれた人たちのために乾杯しよう
>> 彼らは愛することをあきらめて、それが君がボクへと向かわせることになったのだから
>> 今君のためにボクは死ぬまで愛を捧げるよ
>> ボクは君にこの愛と命で出来る全てをみせよう、Hoo
>> いつだってボクは愛を届けるために生きてるんだから

Get ready (This night you won't forget) tonight
Gonna make this a night to remember
Get ready (‘Cause your love I won't regret) tonight
Gonna make this a night to remember

>> 用意はいい?(今夜あなたは忘れられなくなるわ)今夜よ
>> この夜を想い出にしましょう
>> 準備はいい?(だってあなたの愛を後悔するなんてありえないから)今夜よ
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

Get ready (Baby) tonight (Darlin')
Gonna make this a night to remember
Get ready [It won't be like the past] tonight (I will make it last)
Gonna make this a night to remember

>> 用意はいい?(ベイビー)今夜よ(ダーリン)
>> この夜を想い出にしましょう
>> 準備はいい?(昔とは違うようにね)今夜よ(死ぬまで一緒よ)
>> 今夜忘れられない夜にしましょうよ

Get ready tonight

>> 用意はいい?今夜よ


ノリノリの典型的ディスコナンバーながら、
結構歌詞が単純なようでめんどくさくて、
言葉数が意外に多い曲だったんですよね。

この当時のシャラマーは、番組でかなりの人気者だったとはいえ、
見た目にはだいぶ野暮ったい感じの3人組だったのだけど、

やがてグループを離れる、ジョディ・ワトリーなんかは、
ここでもまれて、イギリスでの成功を経て、
世界的人気シンガーになっていく頃には、
スタイリッシュな女性シンガーとして、
すごくかっこよかったなっていうのを覚えています。


シャラマーは、元々「ソウル・トレイン」のブッキングエージェントであった
ディック・グリフィーが、ドン・コーネリアスとともに、
経営していた音楽出版会社である「ソウル・トレイン・レコード」から、
番組で書ける曲を作ろうと、スタジオミュージシャンに歌わせたのが、
最初のことでした。

そのシャラマーというグループ名でリリースした、
「アップタウン・フェスティバル(Uptown Festival)」が、
全米で25位のヒットを記録したことから、
この曲を番組で披露させるために、
ディックが改めてシャラマーというグループを結成するに当たり、

やはり70年代の人気ディスコグループ、シルヴァースのメンバーである、
レオン・シルヴァースの目にとまったのが、
この「ソウル・トレイン」のダンサーやセッションシンガーをしていた
ジョディ・ワトリーとジェフリー・ダニエルで、
この二人にさらに最初のリードボーカリストだった、
ジェラルド・ブラウンに代わってハワード・ヒューイットが加入し、
シャラマーとしての正式な最初の3人組となったのが1977年のことでした。

シャラマーとして、最初のアルバム「アップタウン・フェスティバル」が
ヒットした後に、ドンが経営から退いてディックがレコード会社名を、
「SOLAR Records (Sound of LA Records)」と変更しました。

このソーラー・レコードは、後にレイクサイド、ウィスパーズ、
ミッドナイト・スター、キャロウェイ、ディールなどの、
いかにもフィラデルフィアファンクから80'sのブラコンまで、
次々と人気グループを生み出し、
LAリードや、ベイビーフェイスといった
ソングライター、プロデューサーとしても影響力を持つスターを
生みだすことになるのです。

シャラマーはボーカル&ダンスグループとして、
「ソウル・トレイン」のバックアップを受ける一方で、
アーティストとしても人気を確立し、

1979年暮れから1980年にかけて、R&Bチャート、ダンスチャートで、
No.1を記録した「セカンド・タイム・アラウンド(Second Time Around)」が、
Billboard Hot100でも最高位8位を記録する、
彼らにとっての最大ヒットとなります。

ただ、この頃になると、アメリカでのディスコ人気は下火になり、
彼らの人気の中心はイギリスに移っていきます。

ちょうどこの「ソウル・トレイン」人気にあやかってか、
イギリスの人気音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」でも、
同じようにダンスフロアを展開するステージスタイルが人気となり、
シャラマーのメンバーもこぞって出演し、
ダンスを披露することとなったのです。

1982年のアルバム「フレンズ(Freinds)」は、
アメリカのR&Bチャートでは初のNo.1アルバムになるものの、
むしろヒットの中心はイギリスでのTop5入りと、
ヨーロッパ、そして日本のディスコでした。

このアルバムからのファーストシングルが、今回の、
「ナイト・トゥ・リメンバー」で、
日本で彼らの名前をメジャーにしたのはむしろこの曲と言って
いいのだと思います。

この頃から、ソーラーレコード側との意見が合わなくなった、
ジョディ・ワトリーと、ジェフリー・ダニエルが、
翌年1983年に発売されたアルバム「ザ・ルック(The Look)」を
最後にグループを脱退してしまいます。

このアルバムも、アメリカよりはイギリスでヒットを記録し、
シングル「デッド・ギブアウェイ(Dead Giveaway)」は、
アメリカで22位、イギリスで8位を記録するヒットとなります。

二人の抜けたシャラマーに、新たに女性シンガーのデリサ・デイヴィスと、
男性ギタリストのミッキー・フリーが加入し、
第2期シャラマーとしての最初のアルバムである、
1984年のアルバム「ハートブレイク(Heartbreak)」から、
映画「フットルース(Footloose)」にも使用されて、
アメリカでも最高位17位のヒットとなったのが、
「ダンシング・イン・ザ・シーツ(Dancing In The Sheets)」。

この頃は、イギリスでの人気も受けてからか、
音作りが70'sディスコから、イギリスのニューウェーブの影響を
受けた、パンキッシュなダンスサウンドとなり、
音楽的にも大きな変化となったことで、
最後のオリジナルメンバーであった、ハワード・ヒューイットも
グループを脱退してしまいます。

2代目リードボーカルのデリサ・デイヴィスもソロとなり、
新たなメンバーが追加されたものの、その後2枚のアルバムを残して、
シャラマーは1991年に解散。

最初にグループを抜けたジョディ・ワトリーは、イギリスに渡り、
そこでバンド・エイドにアメリカ人シンガーとして参加し、
「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス(Do They Know It's Christmas?)」では、
コーラス隊の一人としてPVでも顔が見られます。

しばらくの活動模索を経て、プリンスファミリーの一人であった、
アンドレ・シモーンのプロデュースで、
1987年ソロシンガーとしてデビュー。

「ルッキング・フォー・ア・ニュー・ラブ(Looking For A New Love)」が
ポップチャートでTop10入りの成功を収めると、
「リアル・ラブ(Real Love)」「エヴリシング(Everything)」、
「フレンズ(Friends)」などの大ヒットを次々と発表し、
R&Bダンスポップからバラードまで歌いこなす大人のスタイリッシュなシンガーとして、
アメリカ、ヨーロッパはもちろん、近年は日本でもしばしばライブを行うなど、
活動を続けています。

ジェフリー・ダニエルもパフォーマー、振付師として、各地で活躍を続け、
ハワード・ヒューイットもソロ活動を行いアルバムを発表します。

この全盛期の3人は、1996年に1度だけ再集結してライブを行っていますが、

2005年になり、ディック・グリフィーがプロデュースをしていた、
イギリスの音楽番組「Hit Me Baby」の企画として、
ハワードとジェフリーの2人に、ディックの娘であるキャロライン・グリフィーが
加わって、新生シャラマーとしてテレビ出演やライブ活動を続けています。


「ソウル・トレイン」はTV放送としては2006年で終了。
シャラマーを始め、多くのR&Bアーティストを育てた、
ディック・グリフィーは、一昨年2010年に他界。
そして、1か月前にはドン・コーネリアスも他界し、
「ソウル・トレイン」の生き証人たちが次々いなくなってしまうのは、
非常に残念ですね。


ところで、日本では昨年、この「ソウル・トレイン」の日本での
公式サイトというのが立ち上がっています。

ソウル・トレイン・日本公式サイト


通信販売で、70年代を中心とする「ソウル・トレイン」黄金期の、
パフォーマンスを集めたDVD5枚組セットというのも売られているようなので、
貴重な70年代のR&Bパフォーマンスを見てみるのも、
いいんではないでしょうか。


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