前回は、海外…というか、アメリカにおける2011年のヒット状況を、
Billboard をベースにした形で紹介しました。

ただ、近年Billboardのはじき出すランキングに対する影響力が、
集計方法などの点から、実情にあってないんじゃないかと大幅に低下している上、

ラジオの音楽を中心に聴いている人たち、
CDを購入して聴いている人たち、
ダウンロードや着メロなどで聴こうとしている人たち、

それぞれの音楽に関する捉え方、生活への溶け込み方などさまざまで、
それが、Billboardのチャートに全て反映されているわけでもなく、
ましてや、うるさ方の音楽専門家たちの選出したグラミー賞に
反映されているわけでもないので、

ヒット曲が流行とは必ずしも言えないというのが、
いよいよ顕著になってきているんじゃないかと思います。


それは日本においても全く同じで、
CD実売の数字や、無理やり相対的評価に収めたランキングでは
測りきれないものがあると思うんです。


とはいえ、参考となるデータの一つであることには変わりないので、
今回は、日本での音楽のヒット状況というものを見てみたいと思います。


今年2011年のオリコン年間シングルランキングTop10を見てみると、


1 フライング・ゲット AKB48 (158.7万枚)
2 Everyday、カチューシャ AKB48 (158.6万枚)
3 風は吹いている AKB48 (141.8万枚)
4 上からマリコ AKB48 (119.8万枚)
5 桜の木になろう AKB48 (107.9万枚)
6 Lotus 嵐 (62.5万枚)
7 迷宮ラブソング 嵐 (61.4万枚)
8 マルマル・モリモリ! 薫と友樹、たまにムック。 (49.8万枚)
9 パレオはエメラルド SKE48 (43.4万枚)
10 Everybody Go Kis-My-Ft2 (44.1万枚)


まあ、すでに報道されている通り、AKB48が史上初、
1グループで年間Top5を独占、しかも全部ミリオン。

オリコンの年間Top50で探すと、

AKB関連の曲:16曲
ジャニーズ関連の曲:18曲
K-POP関連の曲:6曲

と、これだけで全体の8割を占めてるわけです。
さらにEXILEとB'zが2曲ずつ入ってるので、

他のアーティストの入る余地がほとんどないのです。

「フライング・ゲット」という言葉は、
CDなどの発売に先駆けて、誰よりも早くゲットする、
・・・つまり恋などにおいても、抜け駆けしてでもゲットする

という意味ということらしく、

つまり、AKB関連のCDを購入するスタイルだと考えてよいのですよね。
出たら、飛びついてすぐに買うのだと。

すごいと思うのは、AKB総選挙1位の前田や2位の大島が、
ともにじゃんけん大会で早期敗退し、レコーディングメンバーにいない、
「上からマリコ」ですら、こういう売れ方をしてしまうということ。


昔からこうだったのかもしれないのだけど、
こうなってしまうと、CD売り上げの年間チャートで、
音楽の流行といったことなど、全く判断できないですよね。


そういう意味で、今年の年間Top10の中で、
唯一、そういう音楽的流行が生んだヒット曲と言ったら、
これだなあと思うのが、





やっぱり、「マル・モリ」ですよね。

まあ、これだってマスコミの流行に踊らされている部分が、
大半だとは思うのだけど、
リリースから半年かけて、いつまでも売れ続けていて、
全部知らなくても、なんとなく知ってるよって曲になりましたよね。

※実際、自分、今回この動画を貼った時に、初めてフルコース聴きましたが…
※あと、割と最近まで、「たまにムック」のムックって、
 てっきり「ポンキッキーズ」のムックのことだと思ってました。
 ドラマ「マルモのおきて」見てなかった証拠ですね(;^_^A


さて、「マル・モリ」ほどのCD売り上げはまだあげてないですが、
先日ダウンロード100万枚を突破したという、


斉藤和義「やさしくなりたい」


この曲も・・・うまく勢いに乗った曲でしたね。


①PVのダイジェスト版。
 斉藤さん、前にもビートルズスタイルのPV撮ってたような・・・。




②ごく最近のテレビ番組から




言わずと知れた、最終回の平均視聴率が21世紀最高の40%を記録した、
日テレ系ドラマ「家政婦のミタ」の主題歌。


それにしても、このヒットに限らず、
これまでもミュージシャンとして評価の高かった斉藤和義が、
なんとなくだけど、今年になってテレビに登場する回数も増えたし、
東日本大震災の影響で発生した原発問題に際して、
「ずっと好きだった」の歌詞を変えて、

♪ずっと嘘だったんだぜ・・・

と歌ったりして話題になるなど、

えらくブレイクしたなあという感じではあります。



さて、CD売り上げに対して、ダウンロードなどはどうだったかという一例で、
iTunesのダウンロード年間Top10は、以下の通り。

1 ボーン・ディス・ウェイ レディ・ガガ
2 ミスター KARA
3 ジャンピン KARA
4 かぞえうた Mr. Children
5 Gee 少女時代
6 流星 コブクロ
7 ヘビーローテーション AKB48
8 フライング・ゲット AKB48
9 Everyday、カチューシャ AKB48
10 GO GO サマー! KARA

と、こちらはK-POP、とりわけKARA人気が高く、
しかもNo.1はガガ様ときてます。

AKBにしても、一番が去年のシングルの「ヘビーローテーション」
なので、だいぶ雰囲気が違います。


さらに、こういったCD売り上げとダウンロード、
そしてラジオオンエアを相対的に評価している、
Billboard Japanの年間チャートでは、

AKB48の「Everyday、カチューシャ」の方が1位になっています。

こちらのチャートは、CD売り上げの比率が高いため、
オリコンとある程度は一緒なものの、
上位には、レディ・ガガやアヴリル・ラヴィーンが入ってきてます。


ということで、このBillboard-Japanの年間チャートで、
洋楽のダウンロードとエアプレイを集計した、
「Digital and Airplay Overseas」の年間Top10、

つまり、日本における洋楽ヒットのTop10を見てみます。


1 ボーン・ディス・ウェイ(Born This Way) レディ・ガガ
2 ワット・ザ・ヘル(What The Hell) アヴリル・ラヴィーン
3 ジューダス(Judas) レディ・ガガ
4 ウォーターフォール~一粒の涙は滝のごとく(Every Teardrop Is A Waterfall)
 コールドプレイ
5 プライス・タグ feat. B.O.B. ジェシー・J
6 ブーン!(Boom!) マイア・ヒラサワ
7 ギブ・ミー・エブリシング feat. NE-YO、アフロジャック&ネイヤー(Give Me Everything)
 ピットブル
8 オン・ザ・フロア feat. ピットブル(On The Floor) ジェニファー・ロペス
9 ベイビー・アイ・ラブ・ユー(Baby I Love U) シェネル
10 ラン・ザ・ワールド(ガールズ)(Run The World (Girls)) ビヨンセ


昨日紹介した、アメリカBillboardの年間Hot100との違いが、
ずいぶんありますよね。

まあ、これは今に始まったことではないですが。


実際にアメリカでのヒットが、うまく日本でも反映された、ピットブル関連の2曲、
さらにレディ・ガガやビヨンセ、アヴリル・ラヴィーン、コールド・プレイと、
元から日本での人気の高いアーティストは別として、

6位と9位の曲は、ちょっと毛色が違うと言うのか、
むしろ日本発のヒットと言える曲なのだと思います。


まずは、スウェーデン人と日本人のハーフという、
マイア・ヒラサワの「ブーン!」




今年の3月10日に開通した、九州新幹線の開業を記念して、
当日TVで放映されたのが、3分以上に渡るスケールの大きいCM。

このバックで流れていたのが、この曲だったのです。

この翌日に東日本大震災が起こったことで、
祝いムードのこのCMが自粛されてしまったのですが、
このCMをYoutubeにアップされたものが大きな反響を呼び、
それがヒットにつながるという、
まさに世間の音楽的流行から生まれたヒットなのです。

もともと、シンガーソングライターとして、
日本でも、この花王「エッセンシャル」のCMソングでも
知られていた彼女だったのですが、



今年1月にこの「It Doesn't Stop」を含む、
ニューアルバムを発表後、
さらに、この九州新幹線のCM曲「ブーン!」を発表した彼女。

実は、昨年1年間、仙台に滞在していたということなのです。

今年、この「ブーン!」のリリースに合わせて再来日し、
まさに仙台に向かおうとしていた、その時に大震災が発生して、
仙台に向かうことができず、

改めて後日、仙台に入ることができたそうで、
思い出の地を再び訪れることができて、本当によかったということでした。


さらに、9位の「ベイビー・アイ・ラブ・ユー」。

元々は、昨年日本でダウンロードチャート1位を記録するなど、
話題となっていた、日本人男性シンガー、TEEのナンバー。




それを、2007年に日本デビューを果たした、マレーシア出身の、
女性R&Bシンガー、シェネルが、発表した、
日本の歌のカバーアルバム「ラヴ・ソングス」の中で、
この曲を英語でカバーしたのが大きな話題となり、




この英語カバーが、レコチョク週間着うたダウンロードランキング1位となり、

彼女の来日に合わせて、オリジナルを歌うTEEとのデュエットが、
実現したのでした。




必ずしも洋楽とは呼べない曲が、チャート上位になる。

日本においては、売れる曲というのは、
色んな意味で、お茶の間、仲間内(カラオケなんかもそうですよね)、
日常生活の中に取り込まれる曲でないと、
ヒットするのが難しい時代になってきていて、

世代や環境などによっても判断されるものがまちまちで、

これぞ、誰もが納得するヒットなんて、
たぶん今後はあり得ないんじゃないかなという気がします。


まあ、自分が好きな音楽を聴いていれば、
それでいいのかもしれないですけどね。


今年の日本は、東日本大震災の影響で、
メディアに現れる音楽や映像にも、
さまざまな想いが込められたものが多かったなと思います。


最後になりますが、

Youtubeでこんなパロディ見つけました。




来年、どんな音楽がヒットし、
感動できる、笑える、泣ける、音楽に出会えるのか・・・。


「それはあなたたちが決めることです。」(笑)


日付が変わって、大みそかになってしまいましたが、
もう1曲、今年を占める曲を、
次の記事で、アップしていきたいと思います。