さて、今年は、今から27年前、1984年の全米No.1ヒットを、
27年前にNo.1を獲得した日に合わせて紹介する、
「'84 US No.1」シリーズを続けてきましたが、
いよいよ、1984年最後のNo.1ヒットの紹介です。


前回、1984年12月8日付から2週間No.1だった、
ダリル・ホール&ジョン・オーツ「アウト・オブ・タッチ」に代わり、
1984年12月22日付から1985年1月26日付まで、
6週間No.1となった曲です。


マドンナ「ライク・ア・ヴァージン」


ついに、この四半世紀を代表する女性アーティストであるマドンナが、
ブログに初登場です。


1982年にダンスミュージックの世界から登場し、
1984年末に発表された、彼女のセカンドアルバム、
「ライク・ア・ヴァージン(Like A Virgin)」のタイトル曲であり、

アメリカ、そして世界のポップス界の女王へと上り詰めていく、
その第一歩となった、記念すべき初の世界的No.1ヒットです。


①もう何度見たことでしょうというくらい、数多くオンエアされ、
 彼女の代表作といってもいい、話題となったセクシーPV。




②リリースの翌年からスタートした、「ライク・ア・ヴァージン」ツアーの
 ステージから。
 まだシンガー、アーティストとしては駈け出しともいえる時期ながら、
 このパフォーマンスでも、間にマイケルのあの大ヒットを挟んでみるなど、
 すでに独自のスタイルをもったステージパフォーマンスを展開しています。




③1990年の「ブロンド・アンビジョン・ツアー」での来日公演でのステージ。
 曲のアレンジも大胆だけど、ステージも官能ショー化しています。



☆Madonna "Like A Virgin" from the album "Like A Virgin"
 1984~1985年Billboard Hot100 最高位1位('84 12/22付~'85 1/26付の6週間)


I made it through the wilderness
Somehow I made it through
Didn't know how lost I was
Until I found you

>> 荒野を突き進んできたわ
>> 何とかしてここまでやってきたの
>> どれだけ迷ってきたことでしょう
>> あなたに巡り合うまで

I was beat incomplete
I'd been had, I was sad and blue
But you made me feel
Ya, you made me feel
Shiny and new

>> 鼓動がドキドキ鳴りっぱなし
>> 騙され続け、哀しくてブルーな気分だった
>> でもあなたは感じさせてくれる
>> そうよ、あなたこそが感じさせてくれる人
>> キラキラして新しい気分を

Like a virgin
Touched for the very first time
Like a virgin
When your heart beats
Next to mine

>> ヴァージンみたいね
>> まるで初めて触れられた気分
>> 処女の気分よ
>> あなたの鼓動が
>> 私のものへと伝わってくるの

Gonna give you all my love, boy
My fear is fading fast
Been saving it all for you
'Cause only love can last

>> 私の愛を全部あげちゃうわ、ボーイ
>> 恐れなんてどこかに行ってしまう
>> あなたのために尽くしていくわ
>> だってこの愛は続いていくのだから

You're so fine and you're mine
Make me strong, ya you make me bold
Oh your love thawed out
Ya, your love thawed out
What was scared and cold

>> とても素敵で、私だけのもの
>> 私を強くしてくれる、そう勇気を与えてくれるの
>> ああ、あなたの愛が解いてくれた
>> そうよ、あなたの愛が取り去ってくれたの
>> 恐れや凍りついた心を

Like a virgin
Touched for the very first time
Like a virgin
When your heart beats
Next to mine

>> ヴァージンみたいね
>> まるで初めて触れられた気分
>> 処女の気分よ
>> あなたの鼓動が
>> 私のものへと伝わってくるの

Oooh, oooh, oooh

You're so fine and you're mine
I'll be yours 'till the end of time
'Cause you made me feel
Ya, you made me feel
I've nothing to hide

>> とても素敵で、私だけのもの
>> 最後の時までずっとあなただけのもの
>> だってあなたは感じさせてくれる
>> そうよ、あなたこそが感じさせてくれる人
>> 逃げ隠れする必要なんてないわ

Like a virgin
Touched for the very first time
Like a virgin
When your heart beats
Next to mine

>> ヴァージンみたいね
>> まるで初めて触れられた気分
>> 処女の気分よ
>> あなたの鼓動が
>> 私のものへと伝わってくるの

Like a virgin, ooh, ooh
Like a virgin
Feels so good inside
When you hold me
And your heart beats
And you love me

>> ヴァージンみたいね、ああ
>> 処女の気分よ
>> 心の中を素敵な気分にしてくれる
>> あなたが抱きしめてくれる時
>> そしてあなたの鼓動を感じ
>> あなたが私を愛してくれる

Oh, oh, oh, oh, oh, oh, oh, oh, oh

Ooh, baby
Can't you hear my heart beat
For the very first time?

>> 私の鼓動が聞こえるかしら?
>> 初めての時のみたいでしょ?


この曲の発売当時の衝撃はかなり大きかったですね。

1982年にデビューして、何曲かアメリカでもヒットが続いていたとはいえ、
まだその頃は、一介のダンスポップミュージックのシンガーにすぎないと思ってたし、

この曲を含むセカンドアルバム「ライク・ア・ヴァージン」で、
ここまで変わってしまうとは全く予想できていませんでした。

ただ、マドンナ側としては、すでにそれなりの勝算もあっての、
作品づくりをしていたのでしょうね。


この大ヒットを受けて、確か1985年にプロモーションでの初来日を果たし、
「夜のヒットスタジオ」にも生出演を果たしていたのを思い出しました。

それでもあの頃は、まだおじさんおばさんたちには、
キワモノ扱いされていたと思われるし、
実際、このテレビでのパフォーマンスだけでは、
これだけのステージングをするシンガーということは、
伝わってきませんでした。

この先も、たびたび彼女はブログに登場することになると思うので、
今回は、生い立ちから、この「ライク・ア・ヴァージン」の成功に至るまでの
流れを簡単にまとめてみたいと思います。


本名、マドンナ・ルイーズ・ヴェロニカ・チコーネで、
1958年8月、ミシガン州ベイシティ生まれの、今年53歳。

イタリア系アメリカ人の両親から8人兄弟の3番目で生まれ、
母親が5歳の時にガンで亡くなったこともあり、
かなり面倒見のいいお姉ちゃんとして幼少期をすごしていたようです。

母の死後に、父親が再婚するものの、
この頃から父親との確執が続き、幼少期の影を落とすとともに、
彼女の音楽性の一つとして語られる、父親との関係や、
宗教のことなどにもつながっていくのです。

幼少期からモダンジャズやバレエなどを習うなど、
ダンスに目覚めていき、
1976年には大学に進学するもののすぐに中退。

わずか35ドルを握りしめて、ミシガンの地から長距離バスに乗り、
ニューヨークまで出てきたという上京サクセスストーリーは、
よく知られていると思います。

このニューヨークの地で、クラブに所属し、
ダンサーとしての活動を始めます。
またこの頃には、いわゆるポルノものの映画にも出演しており、
流出した映像が後に話題となることもありました。


1982年、ワーナーブラザーズ傘下のサイアーレコードと契約し、
「エヴリバディ(Everybody)」でシングルデビューを果たします。
この曲がアメリカのダンスチャートで3位となり、
続く「バーニング・アップ(Burning Up)」もダンスチャート3位。

この曲を元に製作したファーストアルバム、
「バーニング・アップ(Madonna)」から、
ポップチャートで、まず「ホリデイ(Holiday)」が、
最高位16位のスマッシュヒットになり、

続く「ラッキースター(Lucky Star)」で初のTop10入りとなる、
最高位4位となります。
さらに「ボーダーライン(Borderline)」が最高位10位と、
ファーストアルバムからのヒットを連発し、
スターの仲間入りを果たします。

ただ、やはり全体的にダンスミュージック中心のサウンドで、
続くセカンドアルバムからは、
より高い音楽性を目指して製作していこうと、
プロデューサーにシックのナイル・ロジャースを起用します。

この「ライク・ア・ヴァージン」は、売れっ子作家チームである、
トム・ケリーとビリー・スタインバーグのコンビによる曲なのですが、
当初は、この曲を歌わせるシンガーを躊躇しており、
歌詞のイメージから、マドンナの曲にと抜擢されたものの、
ナイルも当初は、この歌詞にいい感情を持たなかったといいます。

今ではごく当たり前に使われている、こういった官能的な用語も、
やはりこの時代では抵抗感も多かったのだと思うのですが、
それをマドンナが見事に消化してナイルを驚かせ、
ヒットを確信したのだということです。

またそのイメージとして、当時のマドンナは、
マリリン・モンローの再来とも言われていましたが、
実際、マリリンと反対の右の口元にほくろがあるという、
話題づくりもあって、
MTVを中心とするビジュアル時代のポップスターとして、
見事な成功を収められたのだと思います。

「ライク・ア・ヴァージン」が、
セクシーで官能的女性の象徴である曲なのに続き、
アルバムからのセカンドシングルである
「マテリアル・ガール(Material Girl)」では、
物質文化に取り込まれた高飛車な女性をイメージした曲とビデオで、
また大きな話題となり、全米最高位2位の大ヒットとなります。

アルバムからは、他に、
「エンジェル(Angel)」(最高位5位)、
「ドレス・ユー・アップ(Dress You Up)」(最高位5位)と、
いずれも大きなヒットとなり、
アルバム自体も、アメリカだけで1000万枚以上、
世界で2100万枚以上のモンスターヒットアルバムとなります。


プロデューサーを中心に、マドンナのアーティストとしての魅力を
この作品で見事に引き出したはもちろんのこと、
いわゆる「セックスシンボル」としての彼女自身の魅力も、
一気に開花していくのでした。


ただ、この作品だけで終わってしまう彼女ではなかったし、
むしろ、彼女の真価が発揮されたのは、
これ以降、次々と発表されるアルバム、
各国でのライブツアー、
映画出演や製作、処々の活動、
そして何より、彼女自身の生きざまそのものが、
この四半世紀に渡って、大きな影響力となって、
「マドンナ」というブランドを築いていくことになるのです。


彼女のことは、まだまだこれだけでは説明しつくせないので、
これ以降の作品や色々なエピソードについては、
今後、彼女の作品をブログで取り上げる機会に、
折に触れて紹介していきたいと思います。

まだ、次回登場は未定ですが、
来年ブログでも展開する「'85 US No.1」シリーズでは、
5月に映画サントラからの彼女の2曲目のNo.1ヒットが登場するので、
その時にも色々と触れていきたいと思います。


ということで、1984年のNo.1ヒットシリーズは、
1月21日に紹介した、イエスの「ロンリー・ハート」から数えて、
この曲で全19曲。

⑰のワム、⑱のホール&オーツ、そして今回のマドンナの曲は、
年間チャート的には、1985年のものとして扱われていますので、
Billboard誌の発表による、1984年の年間No.1シングルは、
プリンスの「ビートに抱かれて(When Doves Cry)」と
なっています。


来年は、引き続き、1985年の全米No.1ヒットシングルを紹介する、
「'85 US No.1」シリーズを行っていく予定です。
マドンナの曲が、1985年1月いっぱいNo.1を続けるので、
このシリーズの第1回は、来年2月2日の予定。

1981年から82年にかけて、オリヴィア・ニュートン・ジョンの、
「フィジカル」の10週No.1の影響で、
同じ10週間第2位に甘んじたナンバーから3年後、
新作アルバムからのバラードナンバーで、初のNo.1を獲得する、
英米混成ロックバンドの大ヒット曲です。


あさっては、いよいよクリスマスイブ。

今年はバタバタして、クリスマスソングは次回の1曲のみに
なりそうですが、
日本でもドラマ主題歌として大ヒットした、
90'sディーバによるクリスマスソングを紹介します。
実は、今年男性アイドルシンガーによるこの曲のカバーに、
彼女も参加して再び話題になってるんですよね。

(ちなみに、彼女は上の'85 US No.1で取り上げる、
バラードナンバーもカバーしていますね)



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