12月に入りました。

ここ数カ月、ややブログアップが滞りがちだったのですが、
今年を締めくくるこの月は、
今まで通りの80's中心の曲紹介のほか、
今年を振り返る企画や、クリスマスソングなど、
出来る限り、数多くの曲を紹介していければと思います。

また先日、来年2月に発表されるグラミー賞のノミネーションも
出そろいました。
近日中にその内容の報告もしていきたいと思います。


さて今回は予告通り、1回延期になってしまいましたが、

ABBAの二人のメインボーカリスト、
アグネッタとフリーダの二人が放ったソロヒットについて、
紹介したいと思います。



まず、アメリカにおいて、先にソロヒットとなったのが、
フリーダのナンバー。


「予感」


ABBAが事実上の解散状態にあった、1982年の秋に、
レコーディング、リリースされ、
ヨーロッパを中心に各国で大ヒットをし、
アメリカでも最高位13位のスマッシュヒットとなった、
重たいビートと緊張感のあるサウンドで引き付けられる、
ロストラブソングです。


①MTVでもよくオンエアされた、ミステリー仕立てのPV。
 (2016.9.29 新たに動画を貼りなおしました)




②スタジオ収録のボーカル映像。
 TV番組という風には見えないのですが、
 これもプロモーション映像としてはよく使われていたようです。



☆Frida "I Know There's Something Going On"
from the album "Something's Going On"
 1983年Billboard Hot100 最高位13位


I can see that it won't be long
You grow cold when you keep holding on
You know you've changed
And your words they lie
That's something you can't deny

>> もう長くはないように思えるの
>> 抱かれている間もどんどん冷たくなっていくあなた
>> あなたは変わったわ
>> だってあなたの言葉はうそばかり
>> あなたを受け入れられない何かがそこにあるのよ

I call, you're not at home
You're home, but you're not alone
If you wanna leave
Then why don't you say
Your love has gone anyway

>> 電話してもあなたは家にいないし
>> 家にいたとしても一人じゃないわよね
>> 別れるというならば
>> 一言言ってくれない?
>> あなたの愛はどこに行こうとしてるかを

I know there's something going on
I know there's something going on
I know it won't be long
Won't be long before you're gone
There's something going on
There's something going on

>> 何かが起こりつつある予感
>> 何かが動いているのはわかっているの
>> もう長くはないんだと
>> あなたが去っていくのにそんなに時間はかからないのだと
>> 何かが起こっている
>> 何かが動き出している

I know a good thing must come to an end
But it's hard to take losing a friend
I know what you think
And what's in your mind
So darling, why pretend

>> 終わりを迎えることがいいことなのはわかってる
>> でも友達を失うのはつらいこと
>> あなたが何を考え
>> 何を思っているかはわかっている
>> ねえあなた、なんで取り繕うとするの?

I know there's something going on
I know there's something going on
I know it won't be long
Won't be long before you're gone
There's something going on
There's something going on

>> 何かが起こりつつある予感
>> 何かが動いているのはわかっているの
>> もう長くはないんだと
>> あなたが去っていくのにそんなに時間はかからないのだと
>> 何かが起こっている
>> 何かが動き出している

I know there's something going on
I know there's something going on
I know it won't be long
Won't be long before you're gone
There's something going on
(repeat)

>> 何かが起こりつつある予感
>> 何かが動いているのはわかっているの
>> もう長くはないんだと
>> あなたが去っていくのにそんなに時間はかからないのだと
>> 何かが起こっている
>> 何かが動き出している
(repeat)


ABBAメンバーのソロ作品の中でも、
世界的セールスベースでは最も成功した作品の一つです。

イギリス、カナダでの成績は今一つでしたが、
アメリカではスマッシュヒットとなり、
ヨーロッパではいくつかの国でNo.1になるなど、
世界で350万枚の大ヒットシングルとなりました。

この曲が収録されている、彼女のファーストソロアルバム、
「サムシングズ・ゴーイン・オン(Something's Going On)」も
各国で大ヒットを記録しています。

このヒットの要因には色々あると思うのですが、
時代とうまく適合し、当時の色々なヒット要素も加わっていたことが
あるのでしょう。

アルバムを通し、この曲をプロデュースしたのは、
当時ソロとして輝かしいスタートを切っていた、
ジェネシスのフィル・コリンズ。
彼のプロデュースパートナーでもあるヒュー・パジャムとのコンビで、
フィル自身がドラムスとコーラスでも参加しています。

これは、フリーダがABBAとは全く違うソロ作品を作ろうと考えた時、
当時大変気に入って聴いていた、フィルのファーストソロアルバム、
「夜の囁き(Face Value)」のようなサウンドで自分も作りたいと考え、
彼にプロデュースを依頼したことから始まっているのです。

フィル独特のドラムスをかなりヘビーに使い、
ベースには、ザ・キュアのサイモン・ギャラップを起用して、
重たいビートながら、わかりやすいリフで、
ダンサブルな部分もあり、印象に残るサウンドであると思います。


この時のレコーディングはドキュメンタリーとしてテレビ放映され、
フリーダの映像作品の一部でリリースもされていたようです。




フリーダこと、アンニ・フリード・リングスタッドは、
1945年ノルウェーのバランゲン生まれで、現在66歳。
ドイツ人の父親とノルウェー人の母親との間に生まれ、
戦後のナチス弾圧から逃れるために、
母たちとスウェーデンに移住したようです。

13歳の頃から音楽活動を始め、
18歳で自らのバンド、「アンニ・フリード4」を結成。
そのレコードデビューにあたって、シングル曲を手掛けたのが、
その3年前に知り合って結婚した、ベニー・アンダーソンでした。
また、デビュー後に出演したスウェーデンのテレビで、
アグネッタとも出会い、
二人がビヨルンとベニーの音楽活動に協力するようになって、
結成されたのがABBAでした。

ABBAデビュー前後で、スウェーデン国内のみのソロアルバムを2枚リリースし、
ABBA結成後は、グループの顔として数多くのヒットを、
アグネッタのボーカルとともに作り上げていきました。

ABBAが解散する1年前の1981年にベニーとは離婚し、
1982年にこの曲を含む、英語でのファーストソロアルバム、
「サムシングズ・ゴーイン・オン」をリリースし大ヒット、

1984年にも「シャイン(Shine)」というソロアルバムを発売しているものの、
以降は音楽面での目立った活動はしばらくなく、

1992年にはドイツ人のロイス侯爵と再婚し、侯爵夫人となりました。

しかし、1998年は娘を交通事故で、1999年にはロイス侯爵を亡くしています。

現在では、ときどきテレビの音楽番組などに登場するほか、
2004年には元ディープ・パープルのジョン・ロードのソロアルバムに、
ボーカリストとして参加していたようです。



さて、続いてもう一人のABBA女性ボーカリストのアグネッタのソロヒット。


「キャント・シェイク・ルース」



フリーダと同じ時期である1982年ごろから、ソロでのシングルリリースを続け、
1983年、英語でのファーストソロアルバム、
「ラップ・ユア・アームズ・アラウンド・ミー(Wrap Your Arms Around Me)」から、
リリースしたこの曲が、アメリカで最高位29位のスマッシュヒットとなりました。

軽快で独特のセンスの光るメロディをもった、
ミステリアスなムードを持ったロックナンバーです。


③こちらもコンセプトストーリー仕立てのPV。




④ライブ映像は、フリーダのものと異なり、
 レコード音源の音ながら、かなりライブ感のあるものになっています。



☆Agnetha Faltskog "Can't Shake Loose"
from the album "Wrap Your Arms Around Me"
 1983年Billboard Hot100 最高位29位


I don't wanna stay here but I can't leave
I'm in the spell of the magic you weave
Somebody wake me up
I wish I could break it up

>> もうここにはいたくないけど離れられないの
>> あなたの放つ魔力に捕らえられている
>> 何かが私の目を覚まして
>> これっきりにできないかと願ってる

But I can't shake loose, can't shake loose
I can't shake loose, can't shake loose
Any move that I make in the end I will lose

>> でも自分から振ったりなんてしない、失うなんてできない
>> 失うなんてできない、振りはらうなんてできない
>> 最後にどんなことをしたって私は負けてしまうのだろうけど

I can't shake loose
I try and I try but it ain't no use
I could go like I did before
But these old shoes keep walking to your door

>> 自分から振りはらうなんてできないわ
>> 何度も何度ももがいて、どうしようもなくて
>> 昔いた場所に戻ることだって可能
>> でもこの古い靴はあなたの場所へと歩き続けるだけ

I wanna hide but when I hear you call
I turn around, I know I would fall
One step people shake
No matter what move I make

>> 隠れようと思う時に限ってあなたの電話
>> 気がつくと私はあなたの手に落ちているのね
>> だれかが動き出すのよね
>> どんなに注意をはらって動こうとしていても

Cos' I can't shake loose, can't shake loose
I can't shake loose, can't shake loose
Any move I'll make in the end I will lose

>> だってあなたを振り払うなんてできない、失うなんてできない
>> 失うなんてできない、振りはらうなんてできない
>> 最後にどんなことをしたって私は負けてしまうのだろうけど

I can't shake loose
I try and try but it ain't no use
I could go like I did before
But these old shoes keep walking to your door

>> 自分から振りはらうなんてできないわ
>> 何度も何度ももがいて、どうしようもなくて
>> 昔いた場所に戻ることだって可能
>> でもこの古い靴はあなたの場所へと歩き続けるだけ

I don't wanna stay here
But you know I can't leave
Please let me go dear
Please let me leave

>> もうここにはいたくないの
>> でも離れられないのをあなたは知っている
>> お願いどうか私をいかせて
>> ここから逃がしてほしいの

I can't shake loose, I can't shake loose
I can't shake loose, can't shake loose
Any move I'll make in the end I will lose

>> あなたを振り払うなんてできない、失うなんてできない
>> 失うなんてできない、振りはらうなんてできない
>> 最後にどんなことをしたって私は負けてしまうのだろうけど

I can't shake loose
I try and I try but it ain't no use
I could go like I did before
But these old shoes keep walking...
I can't shake loose, oh...

>> 自分から振りはらうなんてできないわ
>> 何度も何度ももがいて、どうしようもなくて
>> 昔いた場所に戻ることだって可能
>> でもこの古い靴はただ歩みを…
>> 逃れることなんてできないのよ、ああ…

I can't shake loose
I try and try, but it ain't no use
I could go like I did before,
But these old shoes keep walking to your door

>> 自分から振りはらうなんてできないわ
>> 何度も何度ももがいて、どうしようもなくて
>> 昔いた場所に戻ることだって可能
>> でもこの古い靴はあなたの場所へと歩き続けるだけ

I can't shake loose
No, I can't shake loose
I can't shake loose
I can't shake loose
(repeat)

>> あなたを振り払うなんてできない
>> いいえ、あなたを失うなんて無理
>> あなたを振り払うなんてできない
>> あなたを失うなんてできない


フリーダの曲と、このアグネッタの曲。
実は曲を書いたのは、どちらもラス・バラードです。

フリーダの曲は、そばに居ながら自分に気のないことがわかり、
別れの予感を感じながら相手を責めていく歌であるのに対し、

アグネッタの曲は、自分をダメにする男から離れたいけれど、
見えない何かにつかまれて、逃れられない苦しい愛を歌った曲。

どちらも、微妙な女性心理を捉えたラブソングなのですよね。

このアグネッタの方は、プロデュースが、
ブロンディやザ・ナックなど、アメリカのニューウェーブ系で、
大変多くのアーティストを手掛けた、マイク・チャップマン。
ABBA的なポップさもありながら、ニューウェーブロックの音を、
前面に出した音作りで聴きごたえがありますね。

この曲が収録されている、彼女の英語でのファーストソロアルバム、
「ラップ・ユア・アームズ・アラウンド・ミー」からは、
2曲の先行シングルである、
「ザ・ヒート・イズ・オン(The Heat Is On)」
「ラップ・ユア・アームズ・アラウンド・ミー(Wrap Your Arms Around Me)」は、
ともに、ヨーロッパでヒットし、
「ザ・ヒート・イズ・オン」はスウェーデン、ノルウェイではNo.1となっていますが、

3枚目のシングルであるこの「キャント・シェイク・ルース」は、
アメリカで29位、カナダで26位、他ベルギーでもスマッシュヒットとなったほかは、
さほどのヒットにはなりませんでした。


アグネッタ・フォルツコグは、
1950年、スウェーデンのヨンショービング生まれの61歳。

幼少時からボーカリストとしての才能をあらわしていた彼女が、
1967年にスウェーデン国内でソロシンガーとしてデビューし、
まだ10代ながら、国内ではかなりの人気を誇っていました。

1968年に、ビヨルン・ウルバースと出会い、
また同時期にフリーダやベニーとも出会います。
ABBAがグループとしての活動を開始する少し前の、
1971年にはビヨルンと結婚しています。

ABBAとして大成功を収めている間も、ソロ活動も続けていて、
67年のデビューから解散直前である1981年までの間に、
スウェーデン語でのソロアルバムを発表しています。

1983年に英語でのファーストソロアルバム、
「ラップ・ユア・アームズ・アラウンド・ミー」をリリースし成功した後も、
2枚の英語ソロアルバムをリリースし、スウェーデンを中心に、
ヒットを記録しています。

1988年にアルバムリリースの後、一時音楽界を引退し、
1990年にスウェーデン人の男性と再婚するも3年後に再び離婚。
さらにオランダ人男性と交際するも、結婚には発展せず、
しかもその男性にストーカー行為を受けるなど、
90年代はかなり苦しい時代だったようです。

2004年に久しぶりのソロアルバム、
「マイ・カラーリング・ブック(My Colouring Book)」を発表し、
再びスウェーデン国内でNo.1を獲得。

以降は新作のリリースはないものの、
音楽番組などには時々出続けており、
ミュージカル「マンマ・ミーア」の公演で、
元夫ビヨルンと久しぶりに姿を見せたり、
ベニーとも同じステージに立つなど、

ABBA再結成は望めないものの、現在もそれぞれ交流があり、
独自に音楽活動を続けているようです。


さて、次回内容は未定ですが、
80'sヒットの中から気になった曲を紹介する予定です。


Something’s Going on/Frida

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Wrap Your Arms Around Me/Agnetha Faltskog

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