今回は、またまたかなりマニアックというか、
全米Top40ヒットの中でも、かなり地味なヒットで、
日本でもさほどプッシュして紹介されていた記憶もないし、
アーティストともども、地味なヒットで終わった曲ですが、

どうしてもこの暖かいボーカルとキーボードのサウンド、
そしてメロディを紹介したくて、今回持ってきました。


ジム・キャパルディ「ザッツ・ラブ」


イギリス人ドラマー、ボーカリストで、
1960年代後半から70年代前半にかけて、
イギリスのロックシーンで活躍をしたロックバンド、
トラフィックのメンバーとして活躍をしてきた人で、

1970年ごろから並行して行っていたソロ活動の中で、
唯一アメリカでヒットしたのが、
1982年発表のアルバム、
「フィアス・ハート(Fierce Heart)」からの、
シングルであるこの曲でした。

そして、この曲のサウンドの重要な位置を占めている、
キーボーディストこそ、
同じトラフィックのメンバーとして、長年活動をともにした、
スティーブ・ウィンウッドでした。


①男女のちょっとした愛をテーマにした、
 ショートストーリー仕立てのPV。
 ジムとスティーブがカメオとして、脇役でちょこっと出演しています。




②彼はソロでのライブはあまり行わなかったのか、
 ソロでこの曲を歌っているライブ物はこれだけでした。
 TVショーのようですが、フェンシングプレーの間で歌ってるのはなぜ?



☆Jim Capaldi "That's Love" from the album "Fierce Heart"
 1983年Billboard Hot100 最高位28位


One day you're up
Next day you're down
She's got your head
Spinning aruond
That's love
It's happening all the time

>> ある日は機嫌がいいかと思うと
>> つぎの日は落ち込んでたり
>> 頭を抱えながら
>> ぐるぐると回している
>> それって恋なんだよ
>> いつだって起きえることなのさ

You walk out the door
Head for the train
Then in a while
You're back again
That's love
You'll never change the world
Not in a million years

>> 君が外に出かけて
>> 列車に乗り込もうとしていても
>> ちょっとした時間の後
>> また戻ってくるよね
>> それって恋なんだよ
>> 君には勝手に世界を変えられないんだ
>> 何百万年あろうとね

And I know that I
Could never live without you girl
You stood by me
All through the good times
And through the bad times

>> だからわかるんだ
>> ボクは君なしでは生きていけないんだよ
>> 君はずっとそばにいてくれた
>> どんなに良い時も
>> どんなに悪い時だって

One gentle heart
Easily burned
After a lifetime
You still haven't learned
That's love
It's happening all the time

>> ちょっとしたやさしい気持ちが
>> 簡単に燃え尽きてしまうんだ
>> この生涯を終えた後には
>> 君にはまだわかってないだろうけど
>> それって恋なんだよ
>> いつだって起きえることなのさ

And I know that I
Could never live without you girl
You stood by me
All through the good times
And through the bad times

>> だからわかるんだ
>> ボクは君なしでは生きていけないんだよ
>> 君はずっとそばにいてくれた
>> どんなに良い時も
>> どんなに悪い時だって

Young couple there
Going insane
Fussing and fighting then they
Make up again
That's love
It's happening all the time
You'll never change the world
You'll never change the world
No no no no

>> そこにいる若いカップル
>> たまに気がおかしくなって
>> わめいたりケンカしたりしたとしても
>> またよりを戻していくもんだ
>> それって愛なんだよ
>> いつだって起こりえることなんだ
>> 君は勝手に世界を変えられないんだ
>> 君は勝手に世界を変えちゃいけないんだ
>> 駄目さ、駄目なんだ

You'll never change the world
You'll never change the world
You'll never change the world
You'll never change the world
(Repeat)

>> 君は勝手に世界を変えられないんだ
>> 君は勝手に世界を変えちゃいけないんだ
>> 君は勝手に世界を変えられないんだ
>> 君は勝手に世界を変えちゃいけないんだ


サウンドが比較的おとなしい感じで、
派手さはないものの、ちょっときけばわかる、
スティーブ・ウィンウッドの特徴的キーボードサウンド。
そして、ジム自身の刻みこんでいくようなドラミングも、
なんだか安心感を与えてくれる音です。

そのサウンド同様、本当に何気ないことを歌った歌詞なんだけど、

You'll never change the world
という大事な言葉を繰り返しながら、

変えようのない、変えるべきでない思いやり、愛情について、
暖かく示してくれている、そんな歌だと思ってます。

「愛」と「恋」という日本語のニュアンスは、
違っているものだけど、
英語だとどちらも、「Love」という言葉でしか表現されているのを、
この訳詞では、なんとなくシチュエーションから使い分けてみました。


ジム・キャパルディは、1944年イギリス、ウスターシャ生まれ。
19歳の頃に、当時の音楽仲間であったギタリストのデイヴ・メイスンらと、
ザ・ヘリオンズというグループを結成。

ドイツのハンブルグのクラブでライブを行っていた時、
当時そこで知り合った、スペンサー・デイヴィス・グループの、
ボーカリストでキーボーディストのスティーヴ・ウィンウッドと出会い、
彼の黒人ばりのR&Bフィーリングあふれるボーカルステージングに感動し、
その後、彼や彼を通して知り合ったジミ・ヘンドリックスらのステージに、
ゲスト参加するようになります。

1967年、ジムとスティーブ、そしてデイヴ・メイスンと、
同じ時期に知り合ったクリス・ウッドとともに、トラフィックを結成。
もともとボーカリスト志向のあった彼でしたが、
バンドでは、ドラムスとソングライティングを担当。

シングル「ホール・イン・マイ・シュー(Hole In My Shoe)」、
「ペーパー・サン(Paper Sun)」がイギリスでヒットし、
ファーストアルバム、「ミスター・ファンタジー(Mr. Fantasy)」も
Top10入りする大ヒットとなります。





セカンドアルバム「トラフィック(Traffic)」発売後、
デイヴがバンドから脱退し、スティーヴも同じ頃、
エリック・クラプトンらとのブラインド・フェイス参加のため、
トラフィックは一時活動を休止。

再びジム、スティーブ、クリスの3人に、
サポートメンバーを何人か入れて活動を再開した彼らは、
よりブルース色を強めたアルバムを作り、
これまで以上にアメリカでのアルバム評価が高まりましたが、
1974年にバンドは解散。

その数年前から、バンド活動と並行してソロ活動を行っていたジムは、
1972年ソロアルバム、「Oh How We Danced」を発表。
以降、10枚のソロアルバムを残しています。
残念ながら、ソロとしての大きなヒットというのは少なく、
イギリスで最高位4位を記録した「ラブ・ハーツ(Love Hurts)」と、
1982年のアルバム「フィアス・ハート」に収録された、
この「ザッツ・ラブ」がアメリカで最高位28位を記録したのみでした。

1983年の6月ごろというのは、ボクにとっても、
「全米トップ40」をすごく熱心に聴きこんでいる時期で、
派手なヒット曲の中にあって、この抑え目なサウンドのこの曲の暖かさに、
なんとなく魅かれていったのですが、

きっと、この時にジムの紡いでいるこのメロディ、サウンドとともに、
ボクの心を捉えていたのは、
スティーヴのこのキーボードの音だったように思います。

「That's Love」だったんでしょうね。

1982年11月末から「全米トップ40」を聴きはじめたボクが、
スティーヴの曲が初めにチャートに入ってくるのは、
1986年まで待たないといけなかったんですが、
しばしば番組内で彼の曲を聴く機会があり、
それが彼への想いをさらに高めていたんだと思います。

解散していたトラフィックは、1983年クリスの逝去によって、
オリジナルでの再結成は不可能となっていたのですが、
1994年、再びスティーヴとトラフィックを再結成し、
アルバムの発表とツアーを行います。
さらに1998年にはデイヴともアメリカでのライブツアーを実施。
間には、イーグルスへの楽曲提供や、ジョージ・ハリスン、
エリック・クラプトンとのライブでも共演しています。

2004年にトラフィックはロックの殿堂入りをし、
その授賞式ではジムとスティーヴに加え、デイヴも参加していたものの、
ステージでの演奏はデイヴが拒否し、3人でのステージは実現しませんでした。

2005年には再結成の話があったものの、その年の1月に、
ジムは60歳で胃がんのため他界してしまいました。

2007年にはジムをしのんで、
スティーブとポール・ウェラー、ピート・タウンゼントらが
トラフィックの曲を演奏するステージが行われたということです。


ということで、ここまで書いてしまうと、
次にスティーブの曲を紹介せざるをえませんね。

次回は、彼の曲の中でも忘れられない一曲、
Billboardチャート上では二度チャートインした名曲を、
紹介したいと思います。


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