2週間ほど前、フジTV系「僕らの音楽」で、アメリカ人演歌歌手のジェロが、
影響を受けて大好きな曲として、番組中でオリジナルを歌う岩崎宏美と
デュエットしてするコーナーがあった。

ジェロも、いささか演歌調になるとはいえ、きれいな日本語で歌い切り、
よかったが、何といっても岩崎宏美の素晴らしさ。

50歳を過ぎて、以前のように伸びる高音というわけではないものの、
感情を込めた表現力の素晴らしさは、優しく、包み込まれるような
温かさを感じた。

そのコーナーで歌われた曲が、「思秋期」。

岩崎宏美は、最近はあまり見ていなかったものの、思い出深い人。

僕が中学1年の時にデビューして、たちまち大人気になった。
当時から、歌唱力が抜群のアイドル歌手。

ちょうど、ラジオからの音楽を聴くことが愉しくなり始めたころ、
彼女の曲をよく聴いて、レコード買って、ポスターまで貼っていた。
そんなにアイドル趣味ではなかったし、部屋に誰かのポスターを貼る
なんてことは、あまりしなかったのだが。
たぶん、自分的にはルックスがよかったというより、歌が好きで、
ポスターなんかを貼ってたんだと思うのだが。

この曲は、自分が中3の時の大ヒット曲。

作詞:阿久悠、作曲:三木たかし
ともに近年他界されたが、日本を代表する作詞作曲家による名曲。


・こちらは、当時「夜のヒットスタジオ」に出ていた時の、
 若々しくて、広い音域、伸びる高音が魅力の歌唱。




・こちらは、おそらく近年ステージで歌われたもの。
 高温はいくらか抑え気味(出ない?)だが、
 素晴らしい表現力を感じさせる。
 変わらずきれいだしね。




この曲、実は自分の親父の思い出の曲でもある。

親父は、大学時代、グリークラブに所属していて、
歌うとなると、朗々とした歌い方をする人でだった。

クラシックもさることながら、ジャズ好きで、
おまけに新し物好きときていた。

洋楽もブラザース・フォアとかPPMとか、
サイモンとガーファンクルとか好きだったし、
カーペンターズやオリビア・ニュートン・ジョンなんて、
ところは、父から教えてもらったくらいだし。

自分の音楽好きは、明らかにこの父から影響を受けていると思う。

そんな父が、自宅の風呂場で歌う歌ベスト3といえば、
まず、ダントツで五輪真弓の「恋人よ」。
(これはわかるのだが)

そして、都はるみの「北の宿から」。
(いまだ、なぜこの曲が気に入ってたかは、覚えてない)

そして、この「思秋期」が入る。

なぜか、3曲とも女性の曲。

「マイウェイ」あたりは、よく歌ってたと思うが、
「昴」なんかは聴いたことなかったし、
男性曲って、そんなに聴いたことなかった記憶がある。

そういえば、めったにカラオケなど行くことのない、
家でも歌なんて歌うことはまずない自分も、
歌うとなると、意外と女性曲歌うことが多かったりして。

もし、今生きてたら、MISIAの「Everything」なんて、
絶対歌ってたろうな。
ドリカムあたりもレパートリーに入ったかな。



頑固で融通がきかない一方、新し物好き、女性好きで、
自分の学生時代、そして就職してからなど、
それなりに反抗期もあって、なかなか話しづらかったり、
うざいなんて思う時期もあった一方、
そうした父へのあこがれみたいなものもあって。

すでに、他界して22年が経とうとしているが、
自分の音楽の思い出の中に、父の思い出が出てくることは、
数知れない。


今日、そんな親父に会いに、ちょっと旅に出てきます。

ごく短時間だけど、今眠っている父の地へ。