「王子ぃーっ!!」

「はぁ…」


何度目だろうか。
前から小人が走ってくる。


「またですか?」

「また、です」


今週だけで四回目だ。

何がって?
愛しき少女が眠るのが、だ。


「何度言ったらわかるんだか…」

「でも、王子にしか頼めないんです」


眠り姫は王子のくちづけで目が覚める。
それはわかっている。

だが、頻繁なのはどうなんだ?


「わかった。いつもの場所かい?」

「はい」

「行くよ」


白馬を走らせて数分、見飽きてしまった花畑で彼女は横たわっていた。


「あ、王子!助けてくれよぅ」

「姫が起きないんだよー」

「気の毒だな、キミらも」

「慣れっこだけどさ、突然は困る」


そうだろうな。

流石に公衆の面前で唇を重ねるのは恥じらいというものが生まれる。
小人たちを(言い方は酷いが)小屋へ追いやると姫に近づいた。


「まったく…世話のやける姫だ」


桃色に色づき柔らかな頬を両手で包む。
まるで視界の隅に見えるかじり跡の残った林檎のような唇に自分のソレを重ねた。


「っ、ん……あら?」

「……目が覚めたかい?」

「ふふっ…来て下さったのね」

「来ることくらい、最初からわかっていたんだろう?」


彼女は僕の前にちょこんと座ると、年の割には妖艶な笑みを浮かべた。

不覚にもドキリとする。


「だって…こうでもしなくちゃ貴方は来てくださらないでしょう?」

「…それは」

「私、寂しいわ。貴方が、嘘でも他の村娘たちと仲良くしているなんて」

「ただの社交辞令だと前にも…」

「ねぇ、王子様…知ってるかしら。女の嫉妬って恐ろしいのよ?」

「キミに逢って実感したよ」

「ふふっ…渡さないんだから。私、貴方に逢う為なら何度でも眠りに堕ちるわ」

「っ…王には話をつけた。明日、一緒に城へ来て婚約発表をしよう…」

「まあ!私、嬉しいわっ」


そう言って抱擁をかわす笑顔の裏には嫉妬に狂った闇があるんだろう?

僕の愛する姫は毒薬症候群。
生死をさ迷う眠りへと自ら立ち入る。
それは全て僕を一時も傍から離さない彼女の計画。


「王子、愛してるわ…」

「僕もだ」


それでも僕が彼女を愛し、執着するのは
僕が彼女の計画によって…







壊サレタカラ――――
















何だコレw

第二弾は白雪姫

いや、眠り姫か!


「アリス、アリス、今日はアリスの為にお花を貰ってきたんだ!」

「あら、どこから?」

「"ニホン"っていう国から持ってきたって、ヘビが言ってたよっ」

「ニホン?…わからないわ」

「僕も知らないや。でもね、ニホンにはサクラっていう綺麗な花があるんだよ!」

「サクラ…素敵な名前ね」

「ほらっ!」


僕は、湖の前に座り込むアリスの鼻にサクラを近づけた。


「いい香り…優しい感じがするわ。色は?何色なの?」

「あ……」


僕は、…忘れていた。
アリスの目が見えないことを。
シロウサギがアリスの視力を持って逃げたんだ。
絶対に追いかけてくるように。

不意に、視界が滲む。


「色はね…薄い桃色だよ。白に近い」

「まぁ、可愛い色ね」

「、…ウン」


アリスは純粋だ。
視界が真っ暗でも僕らの為に笑っている。
アリスは、悲しい顔をしていると僕らが哀しむってわかってるんだ。

僕らは、わかってて気付かないフリをしている卑怯者。


「……チェシャ?」

「……………。」

「チェシャ!」

「!…な、なにっ?」

「…不安にさせないで。黙っちゃったから居なくなったのかと思ったじゃない」

「あ、ごめんね」

「ねぇ、チェシャ。私思うの。私の目が見えないなら他を活かせばいいんじゃないかって」

「え…?」

「目が見えない分、鼻が、耳が、感覚が私に世界をくれる」


また、だ

僕がどこに座ったかなんて、わからないはずなのに…
アリスは見えてるかのように、当たり前のように僕の頭を撫でる。


「私だって、たまに怖くなる。早くシロウサギを見つけて色が欲しい。でも、焦ってないの」

「どうして?僕なら怖いし焦るよ…視力を奪われるなんてヤだ」

「私の目は、私の隣に居る」

「…?なに、それ?」

「チェシャが、私の目になってくれるでしょう?」


そう言ってアリスは、ふんわりと笑った。

ああ、そうか。
アリスは僕を頼ってくれていた。
僕の存在がアリスの不安をなくしていたんだ。

何でかな、顔が熱いよアリス…


「ウン。…シロウサギ、追いかけよっか」






















長くなりました。

第一弾、盲目アリス。

そんな感じな私の心←

シリアスktkr

さて、次は何にしようかな