心待ちにしていた翻訳本が出版されました。
私にとってゲシュタルトは生きることについての
一生の仕事だと思う時があるのですが
そのベースは人間が有機生命体だという事実です
私がより鮮明にこう思うようになったのは
これまでのあらゆる経験に加えて
センサリーアウェアネスとの出会いが大きかったと考えています
そのセンサリーアウェアネスを世に広めた
シャーロット・セルバーの逐語録が翻訳されました
翻訳は現NPO法人センサリーアウェアネスジャパンの斎藤由香さんです
とても読みやすい,正統でしなやかな日本語訳です
感覚が人間にとってどのようなものなのか
生きているということがどのようなことなのか
もしかしたら新しい何かを見つけられるかもしれません
- センサリーアウェアネス: つながりに目覚めるワーク (実践講座)/シャーロット セルバー
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センサリーアウェネスの概略について
私がGNJのニュースレターに書いた文章の一部を参考に転載します
センサリー・アウェアネスの源流は一人のドイツ人,
エルザ・ギンドラーに始まります。
ギンドラーはハーモニック・ジムナスティック(調和体操)の先生でした。
ある時,彼女は肺結核に罹りました。
当時は空気のきれいな山にあるサナトリウムで
療養する以外の治療法はありませんでした。
お金のなかったギンドラーには叶わないことで,
医師からは死を宣告されたのです。
彼女は考えました。
肺はふたつある。
ひとつの肺が病気なら休ませればいい,
もうひとつの肺で呼吸をすればいい。
彼女は完治し,医師は「奇跡だ」と言ったそうです。
ギンドラーは自分の見つけた方法を
人々に提供するようになりました。
その方法に名前はつけませんでしたが,
多くの人が彼女のもとで学びました。
その中にはモーシェ・フェルデンクライスもいます。
ギンドラーの弟子の一人,シャーロット・セルバーが
アメリカのニューヨークでギンドラーに学んだことを教え始めました。
後年セルバーは,自分の提供するワークを
「センサリー・アウェアネス」と名付けました。
さまざまな人がギンドラーとセルバーに学びました。
ゲシュタルト療法のフリッツ・パールズもその一人です。
フリッツの妻ローラはギンドラーに学んでいました。
二人はニューヨークでセルバーのもとに通い,
感銘を受けたフリッツは2年ほど
セルバーのワークショップで探求を深めたということです。
セルバーは1963年にエサレン研究所に招かれ,
エサレンで教え始めることになり,
身体・心・精神に関わる人間の可能性を
探求しようとする人々や療法に大きく影響をもたらしました。
こうして書いていると,
私がゲシュタルト療法に出会い,生き方を学んでいると直感して,
自分と世界を探求し続ける中で
センサリー・アウェアネスに出会ったのは必然に思えます。
日本では,セルバーに深く学んだ
ジュディス.O.ウィーバーPh.D(ライヒアン心理学博士)が,
1985年から現在まで来日してワークを提供してくれています。