【普通、の奥】

   
BUCK-TICKをずっと

楽しめるのには、新譜を

聴いた時の「…ナニコレ」と

唖然とさせられるような衝撃が

いつもあるから。

   
タイトルだけ聴いて、

自分の中で想像してたものの

斜め上をいつも見せられるから。

(「エリーゼのために」とかは

最たるものだった)

   
しかし、今回の「太陽とイカロス」を

聴いた時には、実は、

その衝撃はあんまりなくて汗うさぎ

   
太陽とイカロス、という

タイトルから、空を飛ぶのかな、

とか、疾走感のある、爽やかな…と

いうキーワードが浮かんで、

結構、その思い描いたキーワード通りの

曲だったからだ。

   
「うーん、普通…」というのが

今回の感想でした笑い泣き笑

   
思いながらも

彼らの曲って頭に残るから

結局何回も聴いちゃって。

   
聴いてるうちに、「普通」に

思える奥に、見えてきたものがあった。

  
まず、疾走感のある軽やかな

メロディなんだけど、

歌詞と合わせると全然

楽しそうじゃない。

   
私の中でイメージできたのは

戦争で、死ぬことを分かってて

飛行機で飛び立つ人。

   
「悲しくは無い  これで自由だ」

   
死ぬのはもちろん

嫌なんだけど、これで

何にも縛られることはない、

だからいいんだって

そんなふうに自分に

言い聞かせているよう…

だから、涙があふれるのかな。

 

「あなたに会いに行くよ」   

    

これは、死んだあと、

何にも邪魔されずに

大切な人の元へ帰るってことかも。

 

「ああ 燃えている 水平線」

 

これはもしかして自分が

乗っている飛行機が既に

燃えていて、水平線さえも

赤く見えるのかもしれない。

 

とか。

シンプルなメロディだからか

余計に歌詞の世界に

入り込める感じがあった。

 

MVも見たが、やっぱり

全然楽しそうな雰囲気じゃなく。

 

背景は暗く、一点だけ

赤いのは、夕暮れなのか、

炎の明るさなのか…

曲の爽やかさが、むしろ

不気味なほどに響く…

 

それがただの悲しい歌にならないのは、すごく

バランスよく冷静に演奏も歌も

表現されているから。絶妙な塩梅!

 

アッちゃんがヴェールを

被っているあのジャケ写も

鎮魂のイメージ?…

涙を流すマリア様の姿が

なんでこのジャケ写?と不思議だったけど

このイメージならすべて結びつく。

 

色んなことに思いを巡らせると

何度か聴いた後に、涙が出てきた。

    

イカロスは、より高く

飛びたくて太陽に近づきすぎ、

そのため翼が溶けて死んだ、

ギリシャ神話の中の有名な話。

 

求めても手に入らないもの、

ということでこのタイトルだったのかな。

だとしたら、本当に悲しい。

 

もう一曲の

「名も無き私」は、情緒的な曲。

むしろ歌謡曲でしょ!とびっくりした!笑

 

でも、彼らは特にジャンルを

決めて音楽してるわけではないから。

そして、どんな音楽でも

彼らが演奏し、アッちゃんが

歌えば、みんなBUCK-TICKに

塗り替えられいくから不思議!…

 

歌詞はアッちゃんらしいなあ、と思った。

(その一言済ませるなって

感じだろうけど笑い泣き)

彼の、繊細で柔らかで、

なぜだかいつもちょっと

自信のない姿が浮かぶ。

 

「名もない 私にも 蝶や 風や 夢が」

 

なんて、まるで詩集の中の

一節みたいで、本当に美しい。

    

この曲は「花鳥風月MIX」と

なっていて、この表現が

曲調にぴったり!スター

 

春を思わせるような

温かさや儚さがあり、

花吹雪の中で歌うのを

ぱぁっと、イメージできた。

 

 

…と、シングルを聴いて、

へえー、アルバムこんな感じなのかな、

と思い込んでアルバムを聴くと

全然違う!!と頭をぶっ飛ばされるような

衝撃を与えられたこと多数なので笑

あまりイメージを固めずにいたいです笑

 

BUCK-TICKが創り出す

新しい物語、「異空-IZORA-」。

 

楽しみに待っています!