“着いた。”

新幹線が着いたらしい。改札口にたくさんの人がむかってくる。まずはスーツ姿の人達が、急ぎ足で通り過ぎていく。

ここでこうしてマミを待つのは何回目だろう。もう10回は超えているな。マミもここにいることはわかっているだろう。

“まだ…かな。”

人ごみは少なくなりつつある。新幹線の端の方の座席だから、まだ来ないのかな。それともトイレにでも寄っているのか。



“どうしたんだろう…。”

心配になりつつあった。出口を間違えたのか、それとも…。
それ以外の可能性は思い当たらなかった。
それにしても、メールか電話はくるはずだ。いままでだったら、新幹線がホームに着いた時に「着いたよ」メールが来るはずだったが、今日はそれもない。



握りしめていた携帯を開き、コールしてみた。

“えっ…!!”

着信メロディが聞こえた。

“近くにいる!?”

マミの好きな歌手の曲、確か曲名は『最愛』。