“まだ20分ある…。”

中学生みたいだと思った。待ち合わせ場所で胸を高鳴らせて、待っている。

初めてのデートを思い出した。中3の時、渋谷で待ち合わせて、映画を見た後にどこに行っていいかわからずに、公園通りを何回も往復した。あの時以来の気持ちかもしれないな。

こうやって、大切な人を待っている時間。とても愛おしく感じた。待つのが好きなわけではない。どちらかと言うとせっかちな方で、待たされるのは嫌いな方だ。でも、必ず来てくれる人ならは、信じて待てる。
改札口のむこうで自分を見つけて顔が華やぐマミの姿を想うと、さらに心は高鳴った。

手持ち無沙汰で携帯を開いて、メールを打ち始めた。

『もう大宮は過ぎてるよね新幹線DASH!
大丈夫かな…起きてる!?
ほらっ…もうすぐ上野だよにひひ
ちゃんと起きてないと、そのままUターンしちゃうぞべーっだ!