泣いたら落ち着いた。

“逃げるのはやめよう。”

ともかく、アツくんの顔だけでも見たい。できれば、プレゼントは渡したい。怒鳴られてもいいし、殴られてもいい。嫌いになられるのだけは嫌だけど。

“存在さえ知ってもらえてないのに…。”

そうだった。好きも嫌いもない。嫌われるのが怖いなんて、考えることさえおこがましい。でも…。

頭の中にいろんな考えが渦巻きながらも、足は改札口にむかっていた。

改札に切符を通そうとして、足が止まった。

“もう…来てる!”


新幹線の改札の正面にアツくんの姿が見えた。間違いない。



改札を走って抜けて、アツくんに飛びつく。アツくんは黙って強く抱きしめ、頭を撫でてくれる。とても優しく。




そんな光景が頭をよぎる中、下をむいて改札に切符を通した。