鉛色の思考から解放された私は、少し、建設的な考えができるようになりました。
洗面所の鏡に映る自分に対して、やめてもいいんだ、と言いながら微笑みかける余裕すら出てきました。
やめてもいいんだ、実家の農家を継いだっていいじゃないか。
まだまだ、将来の選択肢はいくつもある。
そう思えるようになりました。
とても前向きな気持ちになれました。
その時、ある考えが浮かんできました。
・・・薬剤師になるか。
以前記したように、薬学部の4年制学科を卒業し、修士課程を修了している私は、後2、3年かけて足りない単位を取得すれば薬剤師の国家試験の受験資格を得られます。
もちろんそれには、大学に残って授業を受ける必要があります。
鉛色の意識に支配されていた時にも考えてはいたことですが、大学に残るという時点で、選択肢から外れていたプランです。
奇しくも、やめていいという言葉のおかげでやめない選択肢を選ぼうとしている私がいました。
人には逃げ道が必要なんだなぁと痛感しました。
もし、身近にうつ病の方がいらっしゃるならば、その人に逃げ道を与えてあげてください。
それが、もしかしたら、立ち直るきっかけになるかもしれないのです。