彼女は毎日、学校が終わると私の下宿に来てくれました。
私にとって、彼女と過ごす時間だけが、少しだけ苦しみから解放される時間です。
朝、彼女が出かけて行き、夕方、彼女が帰ってくるまでの10時間弱。
その時間は、まさに地獄の時間でした。
テレビも見られない。
本も読めない。
食事も喉を通らない。
したくないのではなく、できないのです。
何もしない10時間、頭の中は鉛色の思考が暴れています。
他に何もできないのですから、その鉛色の思考の攻撃をまともに食らってしまうのです。
悲しい、辛い、ネガティブな感情が、次から次へと湧いてきます。
何かあって悲しいのであれば、その何かを解決することで対処できます。
しかし、私の場合は具体的な意味を持たない感情ですから、対処のしようもありません。
ただ、ひたすら、その感情の攻撃に耐え、時が過ぎるのを待つのです。