詩④ 扉の前 「入っていいなら、入れてくれ」 扉の前に立つ言葉 答えも決定も私に委ねて 心臓が跳ねて大きな音を立てている 決して聞かせたくない誰にも 扉から離れ そこに居る者を忘れてしまいたい 扉を開けて 顔も見ぬまま抱擁し合いたい どちらも私 矛盾する私の願い 貴方が立ち去ることを 望んでいる 怖れている どちらも私 ひとつの肉体 扉の前で