早いですね、オリンピックももう終わってしまいました。それにしても日本チーム、金27個、金銀銅あわせて58個、よく頑張りました。
もちろんメダルの獲得は嬉しいのですが、本当に大事なのはメダルという結果ではないと思います。
勝ち負けに関係なく、「準備も含めて最後の瞬間まで投げずにどれだけ頑張ったか」、それこそが大切だとHead＆Tail係長は思っております。
ということで、今回は、民法の親族法最後のテーマ、扶養（ふよう）です。
参考：親族界の曼陀羅（学びのテーマ）※ピンク地のテーマ
扶養とは、ある人の生活維持のために、その人と一定の関係にある親戚（親族）が、経済的に支援をすることです。
具体的には、未成年の子供や、高齢者、病気・けが・失業などが原因で自立した生活ができない人への経済的支援義務です。
【扶養義務があるのは誰か】
●特別の事情がない限り、直系血族と兄弟姉妹（民§877）、そして配偶者です。祖父母、父母、子供、孫、兄弟姉妹や夫婦などがこれに当たります。
なお、民§877には「夫婦/配偶者」とは書かれていませんが、既に婚姻のところで学んだように、夫婦には互いに協力し扶助する義務がありましたね。また、直系血族には、養子も含まれるし、非嫡出子（婚外子）も含まれます。
●特別の事情がある場合は、家裁の審判で3親等以内の親族。
特別の事情というのは、いわば、上のグループの人たちに扶養義務を全うするだけの経済力がない場合です。
親族の範囲は第322回配信で学びました。3親等以内の親族となると血族では、おじさん、おばさん、おい、めい、姻族では、義父母、義理の兄弟姉妹などが入ってきます。
次に述べるように、この人達が負担する扶養義務は、2つある扶養義務のうちの軽い方（生活扶助義務）です。
【扶養義務の内容は】
当然と言えば当然ですが、扶養の義務は親戚としての関係が近ければ重たく、遠ければ軽いといえます。扶養義務には重ための生活保持義務と、軽めの生活扶助義務の2つがあります。
●生活保持（ほじ）義務：
本来共同生活をすべき人が負う義務。自分の生活費を削ってでも支援すべき程度の義務。未成年の子の親から子、夫や妻から相方に対する義務です。
金銭以外、現物支給、引き取りなどの形の支援もOKです。
●生活扶助（ふじょ）義務：
自分の生活費を削ってまで支援せずとも良い程度の義務（通常の自分の生活レベルを落とさない、余力の範囲内で支援すべき義務）。祖父母や兄弟姉妹、家裁の審判により扶養義務者とされた親族が負う義務です。
原則金銭の形での支援です。
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●発展：生活保護っていきなり支給してくれないの？
地方自治体（福祉事務所など）は、生活保護申請を受けた場合、即、生活保護を支給するわけではありません。
民法上の扶養義務者が扶養の義務を果たせるならば、まず、そちらで対応してもらおうというのが基本原則です。
それゆえ、福祉事務所などから扶養義務者に該当すると思われる人へ照会が入る場合があります。
ただし、生活保護受給申請は、もともと何らかの必要性（問題）があるからこそせざるを得ないわけで、照会された側としては複雑で不安な心境かも知れません。「あの人からは随分ひどい目にあった。だからもう金輪際かかわりたくないのに・・・」と思う方もいます（注）
自身が生活扶助（ふじょ）義務者に該当しそうな場合、「自分にその余裕がなければ、現在の生活を犠牲にしてまで支援する義務はない」点は覚えておくとよいと思います。
（注）フーテンの寅さんみたいな人が地方巡業中、病に倒れ、生活保護申請をし、福祉事務所からとら屋に照会が入ったとすれば、妹の桜やおいちゃんならすぐに「わかりました。虎次郎は当方でしっかり面倒見ます」となるでしょう。しかし、現実の世界はもっと複雑ですよね。
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山田洋二監督、故渥美清さん主演「男はつらいよ」“泣きのHead＆Tail係長”は、ほとんど全編見ております。
●ちなみに、扶養されるべき人は、扶養義務を負っている人に対して、経済的援助を求めることが出来ます（民§881/扶養請求権）。この扶養を受ける権利はその人に専属する権利であり、処分はできません（譲渡や相続の対象にはならず差押えも制限を受けます）。
扶養義務のこと、生活保護のことは、悩まずに行政や民間支援団体に相談くださいね。
厚生労働省HP
●次回からは、新たな大宇宙、民法の親族法に入っていきます。
“教授、教授の扶養はまだまだ不要“なんちゃって！（なぜかシニアクラス教授の受けがよい源有紀（みなもとゆき）ちゃん）
●ヘッドライトとテールライトHead & Tail
https://ameblo.jp/headtail/
こちらもどうかよろしくお願い致しますね！！！
●日本政府を通じた東日本大震災義援金受付
